【ネタバレ】『東京、愛だの、恋だの』"ひとりでいること"の不自由さ

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【ネタバレ】『東京、愛だの、恋だの』"ひとりでいること"の不自由さ
【ネタバレ】『東京、愛だの、恋だの』"ひとりでいること"の不自由さ

好きな時に好きなものを食べ、好きな時間に眠ることができる一人暮らしは快適この上ない。この自由さ、気楽さは何物にも代え難くそう易々とは手放せない。しかし、それは通常運転時だからこそ言えることでもある。病気で寝込んだ時リアルに"死"という文字が頭によぎったり、救急車で運ばれた時なんかに「緊急連絡先」を聞かれて答えられる先がすぐに浮かばなかったりした時に、一人暮らしの不便さや寂しさ、何より危機感が突如襲ってくることもある。

動画配信サービス「Paravi」の完全オリジナル作品『東京、愛だの、恋だの』第6話に登場する29歳独身のWebデザイナー・大森すみれ(ファーストサマーウイカ)も正にそんな一人暮らしを謳歌する女性の一人だ。人付き合いが億劫で、だからこそ在宅業であるWebデザイナーという職種を選んだところもある彼女からすれば、"他人に目を向けない東京"は"ただの天国"だと言う。主人公・かえ(松本まりか)の勤める不動産会社のHPリニューアルを依頼されるも、そのやりとりもぶっきらぼうで、どことなく独りよがりだ。

しかし、そんなすみれも予想外の怪我をしてしまい急遽入院することに。同じ病室の他の患者の元にはお見舞いに家族や仕事関係者、友人が訪れる中、すみれはただひたすらスナック菓子を頬張りながら一人動画視聴をするしかない。これまで築いてきた人間関係、コミュニティー、そして自分が相手との間に積み上げてきた"信頼貯金"が可視化される残酷すぎる構図でもある。

退院準備をするにも一苦労のすみれは不自由さや孤独を感じながらも、周囲に助けを求めることができない。そこに救いの手を差し伸べたのは、仕事関係者であるかえだった。あまりに連絡のつかないすみれのことを心配し、周辺の緊急外来に聞き込みをして彼女の入院先を探し当てたのだ。

それでも尚、「大丈夫です」と強がってしまうすみれは、元々"自分から相手との間に線を引いてしまう"彼女の性質だけでなく、周囲との関係をシャットアウトしてきた自分がその代償として当然引き受けるべき孤独だと諦めてしまっているようにも見える。何事も自分のペースで自分の好きなものに囲まれて暮らすのは快適で心地いいのは間違いないが、こういう"想定外"の事態にはめっぽう弱い。そして気づくのだ。「一人は好きだけど一人では生きられない」と。

恋人・達也(梶裕貴)からのプロポーズを断り心機一転、環境を変えようとしている
かえにとっても、すみれの心の内がわからなくもないのだろう。

「他人と向き合うのって大変。変に感情消耗するくらいなら一人の方が楽」
「好きなものは別々でもいいんですよね。許せないものが同じなら」
「恋愛でもなく友情でもなくその間に浮かんでいるみたいな感覚になる関係が良い」

互いを"枠"に当てはめ何か"記号的"な呼称が付与される関係性や、四六時中一緒は嫌で"干渉"し合うような関係はまっぴらごめん。だけれども、緩やかにどこかで繋がっていられるような関係性を求めている人は今、少なくないのではないだろうか。"都合が良い""自分本位で我慢が足りない"と言われてしまえばそれまでだが、お互いに寄り掛かりすぎず、だけれどもふとした時に今日あった何気ない出来事を報告し合ったり、存在を気にかけ合う相手。互いのピンチには駆け付け合える関係。それは何も異性や恋愛関係だけに限らない。今回のかえとすみれのように様々な繋がりやパートナーシップがあっていいはずだ。

さて、かえと達也の関係解消とほぼ同時に芦屋(毎熊克哉)も彼女と別れ、さらには札幌に移り住むと言い出す。かえは自分にとって本当に大切な存在や、自分自身がどうしたいのかその本心に気付けるのだろうか。互いの隙間を埋め合うように重なり合う2人が、これを機にせっかく今まで築いてきた正に"形のない緩やかな浮遊した繋がり"をどう着地させるのか。次週が早くも最終回。かえがここ東京でどんな新たな一歩を踏み出すのか、どんな"自分らしい幸せのカタチ"を見つけるのか楽しみに見届けたい。

(文:佳香(かこ)/イラスト:たけだあや)

◆番組概要
Paravi オリジナルドラマ『東京、愛だの、恋だの』
動画配信サービス「Paravi」で第1 話~第6話配信中。
10月16日(土)12:00 最終話配信