2021年10月2日(土)、"コント日本一"を決める『キングオブコント2021』が行われる。決勝に進出したのは、うるとらブギーズ、蛙亭、空気階段、ザ・マミィ、ジェラードン、そいつどいつ、男性ブランコ、ニッポンの社長、ニューヨーク、マヂカルラブリーの10組。
今年の『キングオブコント』で話題になっていたのは、即席ユニットでの参加が認められたことだ。これまでの大会では、正式なコンビやトリオでの出場しか認められていなかった。このルール改正が行われたことで、多くの即席ユニットが予選に加わることになった。
その中には、間寛平と村上ショージの「ヤギとひつじ」、チョコレートプラネットとシソンヌの「チョコンヌ」、ガンバレルーヤとゆりやんレトリィバァの「ガンバレルーやんレトリィバァ」、片桐仁と青木さやかの「母と母」など、有名芸人がユニットを組んで参加するケースも相次いでいた。
中でもチョコンヌは、もともとこの2組で10年以上前からライブを行っていた実績があり、単なる即席ではない本格派のユニットである。『キングオブコント』チャンピオンのシソンヌと、決勝常連で準優勝の経験もあるチョコレートプラネットの2組が手を組んでいることから、優勝候補の一角と噂されていた。
だが、ふたを開けてみると、チョコンヌは準決勝で敗退。それ以外の即席ユニットもすべて予選で敗れてしまい、決勝には1組も上がれなかった。大会の運営者には「1組ぐらいは即席ユニットを決勝に上げた方が話題になる」といった打算はなかったのだろう。これは審査が厳正に行われた証でもある。
ファイナリストの中で優勝候補を挙げるとすれば、真っ先に浮かぶのはマヂカルラブリーである。言わずと知れた『M-1グランプリ2020』のチャンピオンであり、最近では数多くのテレビ番組にも出演している。
しかも、ボケ担当の野田クリスタルはピン芸の大会『R-1ぐらんぷり』(現在の表記は『R-1グランプリ』)でも優勝を経験しており、『キングオブコント』で優勝すれば前人未到の「三冠」を達成することになる。話題性も十分だ。
マヂカルラブリーのネタは、突飛な設定のものが多いため、見る側に彼らを受け入れる態勢ができていないと、面白さが伝わらないことがある。
だが、今の彼らはすでにテレビにもたくさん出ていて、そのキャラクターも広く認知されている。この状況は彼らにとって追い風となるだろう。唯一の弱点を克服している今、彼らが今大会の大本命であるのは間違いない。
そんな彼らの対抗馬となりそうなのがニューヨークである。ニューヨークもマヂカルラブリーと並んで今をときめく芸人の1組である。『M-1グランプリ』『キングオブコント』で活躍して以来、テレビに出る機会が増えて、冠番組も始まった。
ニューヨークは皮肉っぽい目線を生かしたネタを得意としているが、それだけにとどまらない多彩なネタを持っている。彼らのキャラクターはテレビ・お笑い好きにはすでに知られている。普段通りにネタを演じることができれば、それだけであっさり優勝してしまうかもしれない。
個人的に好きなのはニッポンの社長である。ネタ作りには0から1を生む最初の発想が重要だと思うのだが、ニッポンの社長はその「ゼロイチ」のセンスがずば抜けている。最初の「1」のところですでにほかの人が思いつかないような変なところに行っている。2人が2人とも何を考えているのかわからない底知れない不気味な雰囲気を持っており、それが彼らのコントをさらに奥深いものにしている。
もちろん、ここに挙げた3組以外のファイナリストもそれぞれ突出した実力を持っていて、文句なしに面白い。10月2日(日)に行われる決勝で、見事に優勝してキングの称号と賞金1000万円を手にするのは誰なのか。実力派のコント芸人たちによる息詰まる熱戦が期待できそうだ。
(文=ラリー遠田)
◆放送・配信情報
『キングオブコント2021』
2021年10月2日(土)14:00から始まる『お笑いの日2021』のファイナルを飾る。
また、動画配信サービス「Paravi」では『キングオブコント』の過去大会や『キングオブコントの会』、『ザ・ベストワン』が配信中。
決勝戦の放送に先立ち、ファイナリスト10組の素顔に迫る『キングオブコメント2021~ファイナリストからファイナリストへの質問』が9月25日(土)頃から独占配信開始。
大会当日の深夜には、ファイナリスト全員参加の『キングオブコント2021大反省会』もライブ配信予定。