11月12日(日)放送の日本テレビ「所さんの目がテン!」は「かがくの里2023収穫祭」。今年で9回目となるかがくの里の収穫祭の様子を先週に続き紹介しました。今週は毎年恒例のTokyo Bug Boysによる昆虫発表会の様子をお届け。
里の生物多様性を支える昆虫
かがくの里は今年から環境省が始めた自然共生サイトに認定されました。自然共生サイトとは、民間の取組などによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定するもので、9年にわたる取り組みと成果を評価してもらい認定となりました。
そんなかがくの里で今回はTokyo Bug Boysの平井文彦さんと法師人響さん、昆虫に詳しい斉藤秀生先生とともに、里の生物多様性を支える「昆虫」をクローズアップしていきます。
今年、かがくの里で取り組んだことは「インセクトホテル」。インセクトとは昆虫のことで、オスメスの出会い・越冬・産卵の場など虫たちにとってのすみかとなる場所を作ったのです。
かつて里山の農家には必ずあった薪や藁。これをインセクトホテルで再現し昆虫たちの住処を作ることで、生態系のバランスが整い、生物多様性も高められるといいます。
さっそく田んぼの横に作ったインセクトホテルに行ってみます。インセクトホテルはさまざまな種類の木々を使っていますが、中でも竹筒が人気なようです。
その竹筒にいるのは「狩りバチ」という蜂の一種。狩りバチは芋虫をエサにするハチで、作物にとっては益虫といわれています。狩りバチは、巣となる竹や土、木やホースなど小さな穴の中に、捕らえた獲物を運び込み、区切った部屋ごとに卵を一つずつ産みつけます。ハチの幼虫が孵化すると、その獲物をエサにするそうです。
里山では茅葺き屋根の材料である植物の切断面の穴や人間がよく利用する竹筒を好んで住処にしているということで、今回は狩りバチ好みの竹を選び設置。さらにTokyo Bug Boysは竹筒を半分にしてテープでくっつけることで、いつでも中を見られるように工夫を施しました。
「インセクトホテル」で様々な昆虫を発見
すると4ヶ月後、インセクトホテルにエサとなるクモを運ぶ小さなハチが登場。これも狩りバチの一種「クモバチ」で、クモバチも竹筒で子育てをするそうです。
さらに1ヶ月後に竹筒を見ると、子育てをした証拠である泥の蓋が。そして等間隔で部屋がくぎられ、クモバチの幼虫のエサとなるクモがたくさんいました。クモバチが産みつけた卵も観測できました。
他にも様々な昆虫がインセクトホテルを訪れ、同じクモバチの仲間でも獲物の脚を切断して運ぶ種類のクモバチも観測。脚を切断するのは運ぶのに軽くなる、どこかに引っ掛ける心配が少なくなる、さらに巣穴に詰めるときにスペースを取らないなどの理由が考えられるそうです。
「ハキリバチ」という種類で葉っぱを切って巣材として利用する性質のハチも。今年の夏、コスタリカを番組が訪れた時に観測したハキリアリと似たような性質を持つハキリバチ。ハキリアリは集めた葉にキノコの菌を植え付け、育てたキノコをエサにします。一方ハキリバチは、穴の空いている木の中などに巣を作り、そこに葉を持ち込み巣材にします。穴の中で葉っぱを筒のかたちに器用に折ってそこに花粉や蜜を溜めるそうです。
今回、インセクトホテルにケヤキの木を置き、ハキリバチが利用できるよう穴を開けておいた所、狙い通り7月にハキリバチがやってきました。さらに、葉を切って巣に運ぶ貴重な映像の撮影にも成功。
大きい葉っぱを上手に丸く切る姿に所ジョージも興味津々。さらに、かがくの里の草木の中でどの葉っぱをハキリバチが取っているか探し回っていた様子の映像も紹介しました。
続いて、今年里でTokyo Bug Boysが撮影した驚きの昆虫は「ムラサキシャチホコ」という蛾。 ムラサキシャチホコは枯葉に擬態するのに長けており、 前羽が丸まった枯葉の模様になっています。
緑色の「コカマキリ」も。枯葉の多い地表で暮らすコカマキリはほとんどがそこに溶け込む茶色をしていますが、ごく希に緑のコカマキリがいて、それが毎年かがくの里で見つかっているのです。
斉藤先生曰く「普通のところだったら何万匹に1匹」という頻度だという貴重な緑のコカマキリを飼育していると、卵も産みました。 緑のコカマキリはあまりに個体数が少なく、なぜ緑色が生まれるのか解明されていませんでしたが今後卵から成虫までを見ていくことで、いつどのような条件で緑色になるかが判明する可能性があるといいます。
「里の宝石」だというアオカナブンも。 アオカナブンの体全体の輝きは「非常に細かい凹凸があって、その凹凸が光の反射を様々な方向に屈折させることでこのように見える」と法師人さんは解説。
今後について「(ホテルが)満室になっちゃったんですよ、すぐ。なので好みの穴をもう少し多めに開けること。あと、人気のないエリア、藁とか小枝のゾーンは全部竹にしちゃおうかと」と平井さん。
たくさんのカブトムシの幼虫も
続いてはカブトムシプロジェクトの成果について。さかのぼること1年半前、夏の昆虫調査でクワガタはたくさん採集できましたが1匹もカブトムシが見つからず。そこで立ち上がったのがカブトムシを里に呼ぼうというプロジェクトでした。
土を耕しシイタケの榾木を積み上げ、さらに横には稲藁を置き、育成地をつくりました。榾木や藁を使うのが大事だそうです。
それから1年が経過、 朽ちた木の下や土の中を探ると捜索開始早々、巨大なカブトムシの幼虫が。その後掘り進めたところたくさんの幼虫に出会えました。来年6月の夏の昆虫調査ではカブトムシにきっと出会えるはずです。