『新宿野戦病院』第9話あらすじ完全版
<小池栄子&仲野太賀W主演!水10ドラマ『新宿野戦病院』登場人物・キャスト一覧>
ここは東洋一の歓楽街・新宿歌舞伎町。
男性の悲鳴が聞こえ、ラブホテルで目が覚めた岡本勇太(濱田岳)は、酒に酔っており、状況が飲み込めない。
部屋には岡本しかいないが、ソファには南舞(橋本愛)の仕事着である赤のエプロンベストが置かれていた。
状況を理解し、酔いが冷めた岡本は歌舞伎町内を駆け回り、南が働くNPO法人「Not Alone」へ。到着した岡本は、動揺しながら南にエプロンベストを返す。
NPO法人「Not Alone」には、アメリカのケーブルテレビが取材に訪れていた。
以前、南がYouTubeに投稿した動画がバズったことをきっかけに、海外メディアの取材だけでなく、南目当てで歌舞伎町を訪れる海外の観光客も増えたと、同僚の若井あかね(中井千聖)が岡本に説明する。
どこかモジモジした感じで高峰享(仲野太賀)の元にやって来た岡本は、南から自分のことを何か聞いていないかと尋ねる。しかし、享はどこか彼氏ヅラで状況を理解しておらず、適当に返事をするのだった。
その後、南と行きつけ中華料理屋で食事をする岡本。南は、享の話は自慢話ばかりでつまらないと愚痴をこぼすが、岡本は前にも同じような話をしたことがあると思い出す。
南は岡本と食事に行く際、いつも享の愚痴を話していたのだった。
そんななか、ホテルでの件を南に切り出す岡本。南に「覚えてないの?」と返され、苦し紛れにアメリカのコメディを例えに出しながら、酔っていて覚えていないこと伝える。
実はあの日、2人はホテルのベッドに並んで寝転がりながら映画の話をしていた。名作のモーテルでのバスタイムシーンの話で盛り上がる2人。その後、南はシャワーを浴びに立ち上がり…。
そのことを思い出しながら、南は享にはっきりと好きじゃないし、付き合うつもりもないことを伝えると岡本に宣言。また、南は岡本とも付き合うつもりはないと言い、店を出て行ってしまった。
1人残された岡本には、なんとも言えない感情がこみ上げてくる。
聖まごころ病院では、高峰啓三(生瀬勝久)が不動産王の先輩・刈谷(パパイヤ鈴木)を連れて、高峰啓介(柄本明)に診察をお願いしに来ていた。
刈谷を診察した啓介は、腎臓があまりよくない状態であることを告げ、一度ちゃんとした医療機関で受診することを助言。知り合いの病院の先生への紹介状を刈谷に渡す。
診察を終えた啓介は高峰はずき(平岩紙)に呼び出され、タブレットで結婚相談所に登録された男性のプロフィール写真を見せられるが、どこか上の空。
はずきは、男性とすでに2回デートしており、結婚を前提としたお付き合いに前向きな様子。そこへタイミングよくヨウコ・ニ シ・フリーマン(小池栄子)がやってきて、はずきの旦那候補の写真を見て、ヒュー!ヒュー!と煽った。
啓介は、はずきに外科医をあきらめたのかと聞くが、はずきはヨウコがいるから十分だと答え、続けて、その男性が医療メーカーの営業職で東海地区のエリア主任であることを告げる。
婿養子になると勘違いした啓介は、その男性の仕事はどうなるのかと気にするが、はずきが向こうに嫁ぐことを伝えると、自分の世話は、誰がやるのかと不安になる啓介。はずきはヨウコがいると伝え、「ワシがおる!」と自信満々に答えるヨウコ。
顔が強張る啓介をよそに、イスにぶつかりながら、慣れない車椅子を押すヨウコだった…。
南とともに聖まごころ病院へやってきたアメリカのケーブルテレビの取材班。緊迫した医療現場のリアルを取材し、“まごころ”の面々が真剣に人の命と向き合う様子を撮影しにきたが、そういう時に限って救急コールは鳴らず、何も起こらない。
状況を見かねた啓介は、当直の医師たちが、“まごころ”へ運ばれて来た患者の症状や治療方法を報告して、意見交換し合うカンファレンスを行うことを提案する。
本当は毎日やるべきだが、 面倒くさくてやっていなかったという啓介。
さっそく、先週の木曜日に当直だった横山勝幸(岡部たかし)から当日の状況を説明。その日の夜、6歳の男児が腹痛を訴えて搬送されてきたが、男児の母親である星崎菜々(佐津川愛美)の様子がおかしく、酒の匂いもしたという。
触診で男児のお腹の様子を診るべく、服を脱がそうとするが、その光景を見た星崎は「服の上からでも診察できるだろう!」と激昂。横山は正確に診る必要があると伝えるが、星崎はネットに晒すぞと脅迫する典型的な“カスハラ”(カスタマーハラスメント)だった。
さらに、星崎は元看護師ということもあり、看護師の村木千佳(石川萌香)や吉野勇介 (萩原護)にも冷たい態度をとる。
触診をしている最中に吉野と横山は男児の腕に不自然なアザを発見。星崎の態度なども鑑みて、虐待の疑いを考えた横山は悟られないようにそれとなく星崎に家庭の事情を聞き出そうとする。
その間に男児の腹痛の原因が盲腸であることも考え、念のためCT検査をしようとするも、星崎に制止され、診察の継続まで拒否された挙句、診察費を支払って足早に病院から出ていってしまった。
ほかの打撲痕も発見できず、虐待の証拠も見つけられなかった横山は、自分の対応が良くなかったのかと啓介に問うが、啓介は「間違っていないよ。強いて言えば顔」と、まさかの一言を横山にぶつける。
続けて、逆撫でるような顔をしていると指摘すると、ヨウコも同意。享は心当たりないかと横山に尋ねると、心当たりがある横山は静かに自分の過去を語り始めるのだった。
横山は前の病院で働いていた時に、自分を含め、小児科の先生が何人かいたのにもかかわらず、なぜか横山だけ子どもが一切懐かず、病院へのクレームが止まらなかったという。
その原因が何か自分でも分からなかったが、妻にも寝顔を見ていると殺意が沸くと言われたことを思い出し、今回の一件を経て、相手を逆撫でる自分の顔がすべての原因だと気づくのだった。
虐待の件は児童相談所に報告しておいたほうがいいと啓介は伝え、逆撫で顔のくだりが冗談だと知った横山は呆気に取られる。
続いて、翌日の金曜日に当直だった田島琢己(馬場徹)は、女性用風俗店のセラピスト・OSAMU(浜中文一)が陰茎切断の重症で緊急搬送されてきたことを報告。
OSAMUには恋人がいて、関係も良好だったが、性行為において、恋人を満足させてあげることができず、負い目を感じてしまい、女性用風俗店のセラピストになったという。
搬送時に同行した女性は顧客で、彼女もまた夫との性生活に悩みを抱えており、勉強のためにお店を利用したとのこと。
愛する人を喜ばせるために始めたセラピストという仕事。しかし、サービスに徹するがあまり、OSAMUの身体は正直に反応してしまう。そんな自分の身体に嫌気がさしたOSAMUは自らカッターナイフで、陰部を切断したのだった。
しかし、緊急搬送された際はまだギリギリ繋がっていて、ヨウコの素早い白膜縫合術のおかげで何とか応急処置をすることができていた。
堀井は自分と同じような悩みを持つ人間がいることをOSAMUに伝え、「心と身体が一致しているなんてミラクル、奇跡なのよ!」と優しく説教。その後、OSAMUは転院し、経過良好だと堀井から報告される。
田島と堀井からの報告が終わり、岡本が買ってきた酒とつまみで飲み会をはじめる面々。
その光景に驚く南だが、啓介は18時を過ぎたら飲み会に移行すると言い、白木愛(高畑淳子)も月曜日は休診日だと伝え、皆で乾杯するのだった。
その流れでカンファレンスは続き、日曜日の当直だった享は、はずきとマユ(伊東蒼)と一緒だったことを伝え、その日は縊頸(いっけい)自殺未遂で19歳の片山涼香(駒井蓮)が搬送されてきたと報告。
携帯の充電コードで自殺未遂を図ったとされるが、意識は回復しており、大丈夫だから家に帰りたいと申し出る片山。しかし、はずきは断固として拒否。マユが居たこともあり、涼香は自殺を図った経緯だけでなく、自身の生い立ちや親子関係、将来への不安なども赤裸々に話してくれたという。
涼香は失恋話を聞いた享は、南舞という“歌舞伎町の赤いエプロンを着たジャンヌダルク”に一方的な恋愛感情を抱いていたことを静かに語り始める。
そして、南の誕生日当日に別れを告げられたと言いながら涙する享。別れたい理由を聞くと南は「好きなお巡りさんができたの」と、伝えられたと言い、続けざまにそのお巡りさんが岡本であることも明かされた。
享は、涙と一緒に溢れ出る感情を爆発させる。そして「お洒落クソポリス岡本!!」と絶叫しながら、充電コードを首に巻き付ける享を慌てて止めようとするはずきとマユ。
ダサいと泣く享に、涼香は「私は患者なら人の痛みを理解してくれるお医者さんに診てもらいたい」と伝え、一緒に頑張ろうと励ましの言葉をかける。
こうして挫折を乗り越え、人の痛みを知り、医者として一回り大きく成長した気がした享だった。
良い雰囲気のなか、飲み会が続く“まごころ”。そこに星崎が押し掛けてくる。
慌てて隠れる横山。皆がお酒を飲んでいる状況を見てあ然とし、ネットに晒そうとする星崎。たまらなくなった横山は隠れるのをやめて、星崎の前に姿を見せる。
横山は星崎を診察室に通し、ヨウコや堀井、村木も同席のもと話を聞くことに。
星崎は別の病院で診てもらった際に、盲腸だと診断され、あと1日診察が遅れていたら敗血症で命の危機だったと伝えられたという。
横山の診察が誤診で医療ミスだと言い、責任を取れと問い詰める星崎。星崎の言い分に我慢できなくなった村木は、横山が診察で盲腸の疑いを示唆していたことを伝えるが、星崎は聞いてないと反論。患者側が覚えていなければ意味がないと突っぱねた。
状況を見かねた享は、タブレットで当日の状況を記載したカルテを見せるも、虐待が疑われる内容と診察拒否の記載を目にした星崎は怒りをあらわに。星崎は、息子のアザは自転車で転んだ時の怪我だとし、診断書ももらってきたと訴える。
これまでの会話を録音したので、訴訟を起こすと怒りが収まらない様子の星崎に、ヨウコは、医師は目で見た情報と患者の状態から最悪のケースを想定すると伝え、診断内容にもミスはなく、正しく治療を受けていればもっと早くに病気に気づけたと言い、始めから横山を疑っていたのが原因だと指摘する。
その言葉を受け「こんな病院なら辞めずに済んだのかな…」と小さく吐露する星崎。
実は、星崎は前に勤めていた病院で医療ミスを疑われ、警察沙汰に発展していた。しかし、事実は異なり、当時の研修医だった医局長の甥っ子による処方薬の指示ミスが原因だった。
病院は事実調査の結果を無視して、あくまで担当した看護師のミスとし、示談交渉という形でもみ消そうとする。
患者と患者の家族は示談に応じず、警察が介入するが、星崎は医療ミスをしていないと無罪を主張。結果、嫌疑不十分で不起訴となるが、病院側が自分にすべての責任を押し付けようとしたため、星崎は退職せざるを得なかったのだった。
落ち着きを取り戻した星崎は横山に謝罪せず、足早に“まごころ”から立ち去っていく。とりあえずは訴訟を起こされず、一件落着となり、安堵する横山。
そして、改めて皆で飲み直すことに。その日の“まごころ”は笑顔で締めくくられた。
月日は流れ、2025年。
世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスとは異なる未知の新種ウイルスの感染が拡大。各国ではロックダウンの検討がなされていた。
その頃、はずきは医療メーカー勤務の男性と順調に交際を続けていて、月の半分を三重で過ごしていた。マユは高校を何とか卒業し、春から看護学生として、新たな一歩を踏み出すことに。
南と若井は、児童養護施設での生活は今月いっぱいまでとマユに伝え、民間の駆け込みシェルターでの生活を提案。一緒に話を聞きにきていたマユの母・カヨ(臼田あさ美)は新生活を機に一緒に住まないかと伝えるが、マユはとりあえず1人で住んでみると断ってしまう。
しかし、マユはたまに洗濯物を持って行っても良いかと尋ね、 カヨはどこか安心した表情で相槌をうつのだった。そんな2人の様子を見た南は、2人の間にあった大きなわだかまりが徐々にほどけていくの感じ、優しく微笑む。
その頃、ヨウコは医師国家試験に挑み、無事合格して国家資格を取得。勝どき医療センターの研修医として4月から働くことになった。
そして、遂に日本でも初となる未知の新種ウイルスの感染者が確認され、テレビで大々的に報道され始める。これまでにない危機が日本、そして聖まごころ病院にも迫るのだった。