『揺さぶられっ子症候群を検証した一連の報道』が調査報道大賞で映像部門“奨励賞”

公開: 更新: カンテレTIMES
『揺さぶられっ子症候群を検証した一連の報道』が調査報道大賞で映像部門“奨励賞”

優れた調査報道を顕彰する第4回調査報道大賞(NPO法人報道実務家フォーラム、スローニュース主催)が発表され、関西テレビ2017年から取材を続ける『揺さぶられっ子症候群を検証した一連の報道』が、映像部門で奨励賞を受賞しました。関西テレビが同賞を受賞するのは初めてです。

<受賞作品> 『揺さぶられっ子症候群を検証した一連の報道』 

<受賞理由> 「乳幼児の脳の受傷を虐待による揺さぶられっ子症候群と直結されるマニュアルの妥

          当性に疑問を呈した。当事者家族やマニュアル作成を主導した小児科医に徹底取材し、 

          虐待冤罪被害の全貌を緊迫感のある映像で明らかにした。」

 

 関西テレビは2017年以降、「揺さぶられっ子症候群(SBS)」の医学的根拠を検証する取材を継続。検証・揺さぶられっ子症候群シリーズとして、『ふたつの正義』(2018年)、『裁かれる正義』(2019年)、『引き裂かれる家族』(2023年)のドキュメンタリー番組3本を制作し、多くのニュース、特集も放送しました。『引き裂かれる家族』では、虐待冤罪被害にあった家族2組に密着取材をするとともに、揺さぶられっ子症候群の診断基準が記載されている「国の児童虐待対応マニュアル」を問題視。2018年以降、弁護士らで作るSBS検証プロジェクトが関与したSBSをめぐる裁判で10件の無罪判決が続出し、20243月、国が上記マニュアルからSBS診断基準を削除しました。

 

 

<上田大輔ディレクター(報道情報局 報道センター) コメント>

2017年からこの問題に関する取材を開始し、7年余りの月日が経過しました。これまでの地道な取材に光を当ててくださり励みになります。映像を通して「虐待冤罪」被害の深刻さをより多くの方に知っていただき、児童虐待防止と冤罪防止を両立させる社会に近づいていくことを願っています。』

 

『ザ・ドキュメント 引き裂かれる家族~検証・揺さぶられっ子症候群』

 

写真家の赤阪友昭さん。201711月、家族4人の平穏な暮らしが一変する。赤阪さんが自宅で生後2ヶ月の長男・優雨くんをあやしていた時、優雨くんの呼吸が止まっているような状態に。病院の検査で硬膜下血腫や眼底出血が見つかり、下された診断は「揺さぶられっ子症候群」だった。赤阪さんは身に覚えのない虐待を疑われ、優雨くんは児童相談所に一時保護される。そして、201810月、赤阪さんは逮捕・起訴された。

児童相談所は赤阪さんと優雨くんの同居を制限し続け、赤阪さんは家族と引き裂かれたままの生活を余儀なくされる。20204月、長女の卒園式の日を迎えその場に限って赤阪さん家族が集まることが許される。それは、一年半ぶりの家族再会だった。

 

【放送】  202377日(金)25252640

【ナレーション】 豊田康雄(カンテレアナウンサー)

【スタッフ】  <ディレクター> 上田大輔  <撮影> 平田周次  <編集> 室山健司

         <プロデューサー> 萩原守  宮田輝美

【制作著作】 カンテレ

 

<調査報道大賞とは> https://j-forum.org/award2024/

ジャーナリストらで作るNPO法人「報道実務家フォーラム」とスローニュース株式会社が主催し、調査報道の社会的意義を広めるとともに、現場で取り組む取材者を励ますために設立された賞。今回は、91作品の応募・推薦があり、報道実務家による投票と選考委員会の審査を経て選ばれました。

 

<参考情報>

●『引き裂かれる家族~検証・揺さぶられっ子症候群』はYouTube(カンテレNEWSチャンネル)で配信中です。

https://www.youtube.com/watch?v=WU20UIVMmIA

●『引き裂かれる家族~検証・揺さぶられっ子症候群』の受賞歴

*第61回 ギャラクシー賞 テレビ部門 選奨(2024年)  

*貧困ジャーナリズム賞(2024年)

  *第15回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル コンペティション部門・大賞(2024年)