今年で58回目を迎えた『上方漫才大賞』が、5月27日(土)に大阪市のCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで行われた。プラス・マイナスが大賞を受賞した。また、当日披露した漫才の審査で決まる奨励賞には吉田たち、新人賞にはカベポスターが選ばれた。
受賞後の会見で、これまで大きな賞レースに絡んだことがないと話していたプラス・マイナスの岩橋は「めっちゃ希望が持てたというか、自分たちは自分たちなりにやっとけば、誰かが見てくれているんだろうなっていうのを今回の受賞ですごく感じました」と受賞の喜びを語り、兼光は「漫才師が一番欲しい賞で、本当に名誉ある最高峰の賞なんでね。これ以上ないですね」と話した。
奨励賞を受賞した吉田たちのこうへいは今後の目標について「次は『THE SECOND』取って、(上方漫才)大賞取って、っていうのが一番理想的なコースかなと思いますね。僕らもお客さん呼べる人になりたいですね。…今全くなってない。(笑)6月の単独ライブのチケットも30枚ぐらいしか売れてないので」と語った。新人賞を受賞したカベポスター・永見は「今回が3回目の新人賞ノミネートで、悔しい思いもしてきました。他の芸人が全員面白かったので、トリでネタを終えて受賞が発表された瞬間は、“あの面白いネタよりもウケたんだ”っていう喜びがありました」と語った。
~大賞 受賞者のコメント~
プラス・マイナス

Q,受賞の感想は?
(岩橋)
初めて新人賞いただいたのが2012年で、そこからもう9年間ぐらい奨励賞にノミネートされることもなかったんですね。M-1グランプリでミキに敗者復活戦で惜しくも負けて、ラストイヤーで決勝っていう景色を見ずに、この人生終えるんだって感じやったんです。この世界って残酷じゃないですか。でも、そういう世界でなんとか奨励賞で、次、大賞ってなって、もうバトル形式じゃないので、あとはゆっくり待たせていただこうと。正直、5年後ぐらいになるんじゃないかなとか、50歳までにもらえたらありがたいなとかいう感じでやってて、そこからは『THE SECOND』が始まったんですけども、やっぱりそういう肩書きがないもんで、そこでやっぱ劣等感もありました。
コンビ解散したり、やめたりするのが、最近ずっとニュースでいろいろ流れてますけど、売れるっていう山を登っていく中で、いろんなパターンあるんやでっていうのを見せられたかなというのは 1個ありますね。やっぱ賞レース一点集中主義になってるんで。だからあえて“無冠の帝王”がこうやっていただけるっていうのは、今回すごくいい経験になりましたし、非常にうれしく思っております。で、『THE SECOND』、またこんなん始まるんかい、ってなってます、今。(笑)やっと戦いから解放されたと思ったんですけど、また始まるんかい。多分、出るでしょうし。とりあえずこの大賞をかみしめたいと僕は思います。
上方漫才大賞っていう、新しい可能性というか、“普段を見ていただいての受賞あんのや”っていう、めっちゃ希望が持てたというか。間違ってなかったし、人と比べるのもちょっと違うなと思いましたし。自分たちは自分たちでなりにやっとけば、誰かが見てくれてるんだろうなっていうのは、今回の受賞ですごく感じました。
(兼光)
僕らって人気があるコンビでもないですし、すごく知名度があるコンビでもないので、普段の営業とか劇場はやっぱり一番ウケないといけないなっていうのは、自分たちでずっと思ってまして。で、1回1回の舞台を大切にしてきて、ウケても、よりどう笑ってもらおうかっていうのを修正に修正を重ねると。本当に相方が細かいんですけど、それがないとここにはいないとも思ってますし。本当は、その修正に修正を重ねて、より、ウケるようになって、自分たちが一番ウケてるやろうなっていう自負もありますし、それを社員さんが見てくれて、評価してくれて、舞台の回数もすごい多く入れていただいて、ホント社員さんに感謝しております。本当に漫才師が一番欲しい賞で、本当に名誉ある最高峰の賞なんでね。これ以上ないですね。
Q,賞金200万円の使い道は?
(岩橋)
家のローンはお互い78歳まであるんですよ。100万入れたとこでどうにもならないので、なんも買われへんので、とりあえず、うちのお母さんが、あと上方漫才大賞さえ取ってくれたら、ホンマにいつ死んでもええって言ってくれてるんで。僕、大学行くのに1年間浪人して、大学4回生で辞めてるんですよ。もうそっからお笑い芸人なんとか言い出してるんですよ。むちゃくちゃやったんですけど。“自分で決めたんやったらもう振り向くな、思っきりやれ”って言ってくれてた両親、あと、家を守ってくれてる嫁と子ども2人を家族旅行に連れて行きたいです。いつも家族旅行ってね、15万ぐらいで収まったらええなって思うんですけど、1回ちょっと、50万ぐらい思いっきり使う家族旅行に行きたいなと思いますね。
(兼光)
保険を見直したいです。あとは、せっかく大賞を取ったので良いスーツを買いたいです。カウス師匠にも“これから高級なスーツを着ていかなあかんで!”と言われてきたので。
Q,今後の目標は?
(岩橋)
漫才の賞で言うと、一番好きで憧れていた、歴史と権威のある上方漫才大賞をいただけたので、まず本当に喜びがすごくあります。今後は上方漫才大賞を取った芸人として、お客さんのハードルもちょっとずつ上がってくると思うので、NGK(なんばグランド花月)や吉本の劇場でしっかり笑いを取って、出番がどんどん遅くなっていくような芸人さんになっていきたいです。
あとは、優勝候補みたいな記事も出ていた『THE SECOND』をどうしようかなというところです。でも、上方漫才大賞をいただいていれば、逆に他の賞レースは気楽に出られるのかもしれません。
僕たちまだ(新幹線の)移動がグリーン車じゃなくて、3人席の間のB席に座ることも多いんですけど、先に巨体が座っていたらものすごく嫌がられるんです。東京と大阪の往復も多いので、グリーン車に乗れるようになりたいです。
(兼光)
上方漫才大賞をいただきましたが、2回、3回と取っておられる先輩方もたくさんいるので、1回で満足せずに、ゆくゆくは紫綬褒章も目指して漫才も精進していきたいと思います。
~奨励賞 受賞のコメント~
吉田たち

Q,奨励賞受賞の感想は?
(ゆうへい)
ほっとしたなっていうのが大きいですね。久しぶりの賞レースやったんで。大きい会場でしたし。
逆にトップバッターということで開き直れたかなっていうのはありますね。
(こうへい)
僕もほっとしたのが一番ですね。結構厳しい期間に入っていたので自分たち。絶対にとりたいなという気持ちは誰よりも強かったと思います。
Q, 賞金150万円の使い道は?
(ゆうへい)
僕は本当に…さっき相方が言っていた“厳しい”という…この3年ぐらいですよね。コロナで貯金を切り崩す生活やった…。(笑)まあ、奥さんになんか迷惑かけたので、そういう点では、おいしいもん食べさせてあげたいなと、言っておきましょう。(笑)
(こうへい)
一昨年、相方に子どもが生まれて…僕のもちろん甥っ子なんですけども、すごく可愛いので、貢ぎたいと。(笑)
(ゆうへい)
助かるわ。(笑)
Q,今後の目標は?
(ゆうへい)
新人賞もいただいたので、次も大賞はもちろんそうなんですけど、他にも『THE SECOND』やったり、いろんな賞レース(に挑戦して)、吉田たちの漫才を見に劇場に来てもらえるような漫才師になっていきたいなと思います。
(こうへい)
僕もやっぱり、次は『THE SECOND』取って、大賞取って、っていうのが一番理想的なコースかなと思いますね。僕らもお客さん呼べる人になりたいですね。…今全くなってない。(笑)6月の単独ライブのチケットも30枚ぐらいしか売れてないので。
~新人賞 受賞のコメント~
カベポスター

Q,奨励賞受賞の感想は?
(浜田)
去年、一昨年と悔しい思いをしてきて、今年こそ取れたらいいなと思っていたのでうれしいです。お客さんがずっと温かくて他の芸人もみんなウケていましたし、出順もトリで運が良かったのかなと思います。ホンマに勝ったんや…と思いました。
(永見)
今回が3回目の新人賞ノミネートで、悔しい思いもしてきました。他の芸人が全員面白かったので、トリでネタを終えて受賞が発表された瞬間は、“あの面白いネタよりもウケたんだ”っていう喜びがありました。
Q, 賞金100万円の使い道は?
(浜田)
来年、メジャーリーグを見に行くのに使いたいです!金額的にはちょうどいいんですけど、休みが5日いるので、この後マネージャーさんに電話して5連休をいただけるように交渉したいと思います。
(永見)
(使い道は)決まっていなかったんですけど、浜田が5連休を取ると僕も5日間休みなので、実家に帰ってめっちゃ親孝行したいと思います。
Q,今後の目標は?
(浜田)
今日あらためてプラス・マイナスさんと吉田たちさんを見て思いましたが、やっぱり奨励賞や大賞を目指して精進し続けたいと思います。賞レースを取るまでは、もっと評価してほしいって思う時が多くて悔しかったんですけど、今は実力以上に仕事や賞レースの運が向いてきている気がします。ノリに乗れているなとは思いますが、天狗にならないように気をつけます。
(永見)
上方漫才大賞の新人賞をいただいたので、次は上方漫才大賞の奨励賞、上方漫才大賞の大賞、上方漫才大賞のベストジーニスト賞…。ベストジーニスト賞って上方漫才大賞の中ですよね?それに向けて、デニムは良いやつを選びたいと思います!
賞レースで優勝する前までは、芸人向いてないのかな、早めに芸人やめた方がいいのかな、とずっと迫られている感じはありました。ただ、賞レースで優勝や受賞をさせていただいてからは、ここでいい成績を残さないと下り坂になってしまう、っていうプレッシャーに迫られる感じがあるので、追いかけられる対象が変わりました。