富田望生さんが、再び「ボクと父ちゃんの記憶」のナレーションを担当します。
富田さんは『ザ・ノンフィクション「ボクと父ちゃんの記憶2023~父のいない家と母の夢~」』(10月22日14時~/フジテレビ※関東ローカル)の“語り”を担当。
家族が大好きな父ちゃんが若年性認知症になり、施設へ入って2年。それまで父ちゃんの介護を続けてきた家族の暮らしは変わり始めます。
次男の大介さんは就職し、自身のプライベートの充実も考えられるように。母の京子さんは、以前から抱いていた大きな夢を具現化するため動き出します。
番組が家族に出会って3年、第2章ともいえる展開が紹介されます。
富田さんは、シリーズ初回からナレーションを担当。収録後に、感想などを聞きました。
また、10月8日、15日に放送された「今晩 泊めてください ~ボクと知らない誰かのおうち~前・後編」が、10月29日まで、TVer、FODでの無料配信中です。
家族がまた一緒に暮らすために…母が下す大きな決断
みんなが大好きな父ちゃんが、家からいなくなって2年が過ぎました。
子どもたちは、それぞれの時間を過ごすようになり、当たり前となった父不在の生活の中で、母はある決意を固めていました。
2021年夏。番組は、緑に囲まれた千葉・睦沢町で暮らす林さん一家に出会いました。50歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断された父・佳秀さん(65)を、高校3年の大介さんを中心に、母・京子さん(53)と2人の妹たちで介護をしてきました。

しかし、病気は進行し、京子さんは佳秀さんを介護施設に入所させることを決めました。離れて暮らせば、父の記憶から家族の存在は消えてしまう。それは実質的な父との「別れ」を意味しました。
コロナ禍の影響で、佳秀さんと直接会うことが叶わない日々。2022年夏に、ようやく面会が許されました。覚悟はしていたものの、佳秀さんの変わり様に京子さんは驚きを隠せません。
さらに、ひとつ屋根の下で暮らせないのは佳秀さんだけではありません。生まれつき重度の障害があり、病院で暮らしている長男・安土さんのことも気がかりです。
「また家族一緒に、みんなで暮らすことはできないか…」思い悩んできた京子さんは、大きな決断を下し、動き始めます。

<富田望生 インタビュー>

――約1年ぶりに「ボクと父ちゃんの記憶」のナレーションを読んでいかがでしたか?
まず、こんなにも長く、この家族と一緒に走れていることがうれしいなぁ、と思います。ありがたいです。今回は、大介さんのプライベートな胸のうちも知ることができて感慨深いと思いました。
これまで読ませていただいたなかで、大介さんの夢については紹介されていましたので、そこを応援し、見守りたいと思ってきましたが、今回、(母親の)京子さんの夢についても知ることができて。「こんな思いがあったのか」と驚きました。
改めてこの家族の絆の強さ、意志の強さ、父ちゃんへの愛の深さも知ることができて、グッときました。
――改めて、京子さんの印象を教えてください。
本当にパワフルで、見ていてパワーをいただきました。今回は、京子さんが(認知症について)相談される側になる場面もありますが、そんなときの京子さんの言動や場の(空気の)つくり方みたいなところでも、京子さんの人との接し方の“根っこ”がにじみ出ていた気がしました。
――一方、大介さんのプライベートな一面、成長も見られます。
以前は、ボウルを抱えてご飯を食べていたり、上半身裸のままだったり、少年そのまま、という感じでしたけど、今回「大介くん」から「大介さん」になったような感覚がしました。
大人になってさらに頼りがいが増していました。それは就職もしてお金を稼ぐことにも慣れたことで、学生時代とは違う夢も出てきて、そこに一生懸命になっているからかなと思いました。でも、まだ19歳なんですよね。そこにも改めて驚きました。
それと、昔の小さいころの映像が出てきますが、そこでの妹たちへの接し方を見ていても、やっぱりやさしい人だなって思いました。

――今回、大介さんの恋についても紹介されますが、やさしいが故の“押しの弱さ”も見られますね。
そうですよ!ディレクターさんに言われていましたもん、「好きって言ってなかったの?」って。こっちも同じ気持ちでした。
強さを見せてグッと進まないと、ダメだぞ、大ちゃん(笑)。
――お姉さんのような目線でしょうか?
今まで、大介さんと父ちゃんの関係を見せていただいてきましたけど、さらに大介さんのプライベートな部分を見せていただくとなると、ナレーションを読んでいるだけではいられない。ちょっと突っ込みたくなってくるかもしれません(笑)。
――ほか、どんな場面が印象に残っていますか?
(次女の)野風ちゃんが、小学校の卒業式のあとに(お父さんが入所している)施設に行く場面。窓越しだけれど、父ちゃんが野風ちゃんを見ながら微笑んでいるような顔をしていたというのに、グッときました。
それと、オンラインの面談で、この日が結婚記念日の京子さんが父ちゃんに「分かる?」って聞いたときの「分かるよ」っていう会話も。
ああいうやりとりは何度もナレーションさせていただいた場面ではありますけど、“分からなくなっても、分かる”んですよね。
記憶は薄れても、心や本能では忘れることはない。「分からない」と「分かる」ってこんなにも共存しているものなんだ、という。新たな気づきを得て、嚙みしめました。
――改めてこのご家族の印象を教えてください。
安易な言葉でいうと「山あり谷あり」、本当にいろいろなことが起こりますが、そのたびに力がみなぎり、絆も強くなっていく家族なんだなと思いました。
父ちゃんを施設に入れること、(障害のある長男の)安土さんを病院に預けること、一般的な家族よりも、苦しい決断を踏んできているかもしれませんが、そういった選択や決断をしながら、常に前を向いて進んでいこうとされるところが素晴らしいと思います。
家族の誰かが「よし、やってみよう」と思っても、ひとりでできるものではないですよね。それを家族も「やってみよう!」ってなって、支えて行動できるというのが、本当にすごいことだと思います。

――今回、そんなご家族の第2章ともいえる展開がありますね。
本当に希望が感じられるラストになっています。今までは希望というより、(少し低いトーンで)「この家族、今後どうなっていくんだろう…」という終わりだったのが、今回は(明るいトーンで)「この家族、今後どうなっていくの?」と、同じような言葉でもテンションが変わってきていると思います。
――富田さんは、このシリーズのすべてのナレーションを担当していますが、周囲から反響はありますか?
「あのシリーズ、また望生がナレーションするんだね」ということを言われることはありますが、特によく話すのは、母ですね。
母は介護の資格を持っているので、興味があるようで、今日も「大介さんのナレーションに行ってくるね」と話したら、「新しいシリーズ?」って聞かれました。
「新しいお話だよ」と伝えたら、絶対に見るし、絶対に録画する、と言っていました。
――今後もまだ物語は続きそうですね。
今回、読ませていただいて「(今後も)あるぞ!」ってちょっと思いました(笑)。でも、その心構えはもうできていますので、また、みなさんにお会いできたらいいな、と思っています。
<ナレーションの一部を先行紹介>
<予告動画>
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10月22日(日)14時~「ボクと父ちゃんの記憶2023~父のいない家と母の夢~」予告