向井理さんと上白石萌歌さんが、初共演となるお互いの印象を語りました。
“音楽青春コメディ”『パリピ孔明』(フジテレビ)は、「ヤングマガジン」(講談社)にて現在も連載中の人気コミックが原作(原作:四葉夕トさん、漫画:小川亮さん)。
中国三国時代の名軍師・諸葛孔明が現代の渋谷に若かりし姿で転生し、歌手を目指す1人のアマチュアシンガー・月見英子(つきみ・えいこ)のために、魔法のような作戦を考えては、彼女の前に立ちはだかる壁を軍師のごとく切り崩し、成功に導いていくサクセスストーリーです。
<『パリピ孔明』豪華キャスト11人が登場するポスタービジュアル解禁!>
本作で孔明を演じる向井理さんと、英子を演じる上白石萌歌さんにインタビュー。初共演となるお互いの印象、本作の魅力、「撮影で交流を重ねた今だからこそお互いに気になること」などを聞きました。
向井理 「孔明をやるといったら『パリピ孔明』」その認知度の高さに驚き
<向井理、上白石萌歌 インタビュー>

──オファーを受けた際の心境を聞かせてください。
向井:オファーをいただいて…タイトルがキャッチーなので、どんな内容なのかと思い、原作を読んだんです。
そうしたら、タイトルから想像できないほど、英子という1人のシンガーが成長していく様をしっかりと描いた骨太な作品だなと感じて。これはふざけた感じにはしたくないと思いましたし、タイトルに負けないドラマにしなければいけないなと思いました。
上白石:私はもともと原作も、アニメが放送されていることも知っていて、お話をいただく前から「パリピ孔明」という作品の持つ影響力は存じ上げていました。
原作はドラマのお話をいただいてから読ませていただいたのですが…今、向井さんがおっしゃった通り、タイトルからは想像できない、人が夢を追う美しさや孔明と英子をはじめとする一人ひとりの信念がぶつかり合う、とても真面目な人間ドラマだなと感じました。
鮮やかで、きらびやかに、楽しくやりつつ、ちゃんとした人間ドラマになるように、現場ではみんなで真面目にふざけています(笑)。それがすごく楽しいです。
──本作への出演が発表された際の周囲の反応はいかがでしたか?
向井:反響あった?
上白石:私の周りには原作を知っている人やアニメを見ている方がたくさんいたので、今までにないくらいの反響がありました。「英子やるんだ?」と言われることも多かったですし、よりこの作品の持つ影響力を痛感して、「頑張らなきゃ」と気が引き締まりました。
向井:僕も「あのシーンはどうやるんですか?」と聞かれることは、今までで一番多かったかもしれないです。
あとは、前の作品の現場で「次、何やるの?」という話になったときに「諸葛孔明の役」と言うと、「『パリピ孔明』やるんだ?」と言われて。2023年の今、「孔明の役をやる」といったら「パリピ孔明」らしくて、すごく認知度が高い作品なんだなと感じましたね。
上白石:「あの曲歌うの?」と、アニメを見ている方から聞かれることもありました(笑)。すごく期待してくれている感じがしていて、うれしいです。
──歴史上の人物である諸葛孔明にはどのようなイメージを持っていましたか?
向井:三国志は漫画で子どもの頃に読んでいましたし、ゲームもやったことがあって、実写作品でも真面目なものからコメディまでいろいろな作品がありましたし、三国志の登場人物はおぼろげながら分かる程度です。
そういったもので目にしたなかで諸葛孔明は、知性、計略を駆使した天才軍師で、浮世離れした人というイメージが強かったですね。
上白石:私は…三国志を知らない英子を演じるために、情報は取り入れないようにしているんです(笑)。現場には三国志ファンの方が多くて、とくに英子がバイトをするB.B.ラウンジのオーナー・小林役の(森山)未來さんが語る三国志談は役を超えていて…。
向井:森山くんはさ…すごいよね(笑)。
上白石:もともとオーナーの三国志にまつわるセリフは長いのですが、未來さんがしゃべり出すと3倍くらいになっているときがあって、私は英子のように完全に置いていかれているという(笑)。そんな未来さんに対して、向井さんも応えているのがすごいなと思いますし、皆さん、それぞれの役を演じることは宿命だったようにすら感じます。

上白石萌歌 英子として「今まで挑戦してこなかった歌に挑戦できた」
──本作の、ドラマだからこその魅力はどこにあると思いますか?
向井:実写でやるうえで、生身の人間が歌って、踊って、フェスのシーンではお客さんがちゃんといて…という、生々しさみたいなものが大事なのかなと思っています。そこに渋江(修平)監督やプロデューサーをはじめとする、スタッフの皆さんの発想が詰め込まれた脚本の面白さもプラスされていて。
渋江監督はただのワンシーンで終わらせないんですよね。すべての映像がMVのようで、見たことないドラマを撮っている自負はみんなあると思います。
上白石:漫画は作者の方の感性でキャラクターが描かれていきますが、実写化する際はそれぞれの役者がその人なりの感性で役に身をはめていくことになります。それによってキャラクターの個性がより際立ち、原作とは違った光を放つところが実写化のいいところかなと思っていて。
もちろん原作へのリスペクトは忘れず、実写でしかできないことができたらいいなと思いながら撮影しています。
撮影中、「こんなことを、ドラマでやらせてもらっていいのだろうか」、「なんて贅沢な画角の中に身を置かせてもらっているんだろう」と毎日思っていて。それくらい各部が本気で、例えば「自分はこの照明の当て方がいいと思う」ということを常に全力でぶつけ合っている現場なんです。だからものすごく見ごたえのある映像になっていると思います。
──見ごたえというと、諸葛孔明の衣装もインパクト抜群ですね。
向井:ものすごく重量感のある衣装なのですが、当初よりも軽量化していただいたり、夏のロケのために少しでも熱が逃げるような工夫をしてくださったりしていて。僕の衣装だけでなく、登場人物すべて、頭の先からつま先までこだわって作られています。
それはビジュアルがとても大事な作品だから。僕たちはそのビジュアルに負けないお芝居をしなければいけないし、照明も、カメラマンもすべての部がこだわりを持っていて。「もうちょっと(照明の)青色を強くして」というくらい細かい指示が日々飛び交う現場なんです。
各部がこだわったビジュアルは、見ごたえのあるものになっていると思っています。
──今回、劇中でそれぞれ歌を披露していますが、芝居ではない部分の難しさはありましたか?
上白石:私は、役としての宿題というか、やるべきことがあるほうが演じ甲斐があると思っていて。普段、歌手としても活動をしていますが、英子としては今まで自分が挑戦してこなかったジャンルの歌に挑戦できています。その歌について理解を深めていくなかで、英子のキャラクターの輪郭がはっきりする感覚がありますし、すごく贅沢な役作りをさせていただいている気がします。
特にこのドラマで歌われる音楽は、さまざまなアーティストさんに制作していただいたので、その分大変なこともたくさんありますし、「この壁は越えられないかも」と思うこともありました。それでも、音楽チームの皆さんがすごく真摯に向き合ってくださったこともあり、今まで自分だけでは開けられなかったドアを開けてもらったような、そんな作品に出合えたなと感じています。
──「今まで挑戦してこなかった曲」は、クラブミュージックということでしょうか?
上白石:そうですね。あとはラップ調の曲や声を張るような曲とか。今回オリジナルの曲も、カバー曲もあります。ドラマ『パリピ孔明』から生まれた楽曲がたくさんあるので、楽しみにしていてほしいですね。
──向井さんはいかがですか?
向井:孔明は、パフォーマンスをするよりも、支える側の人間なので、あまり表に出て歌うことはないのですが…唯一、ラップをやります。
僕自身、ラップはやったことがないので、まったくやり方が分かりませんでした…。レコーディングをしたのですが、本番では、録音した音をほぼ使わずに生音で撮る暴挙…いや、挑戦をしました(笑)。
とにかくやったことがないから、頭から湯気が出そうだなと思っていたら、本当に頭から湯気が出る演出もあって(笑)。湯気を出しながら頑張って歌いました。
しかも、「お前、それ、ラップじゃなくてお経だな」と言われるセリフがあり、ラップが分からないのに、それをやろうとした結果、お経になるという…もう訳が分からなくて。そんな心境で“お経ラップ”を披露しています(笑)。
結果、どう仕上がったのかはオンエアを見てみないと分からないのですが、ただ、レコーディングの段階でいろいろなアイデアをみんなで出し合って歌っているので、すごくオリジナリティのある楽曲にはなっていると思います。
上白石:素晴らしかったです!
向井:ありがとう(笑)。

お互いへの素朴な疑問「23歳の頃どんな感じだった?」「何食べてる?」
──お2人は今回が初共演ということですが、印象はいかがですか?
向井:年齢や性別の違いはありますが、最初からそういうことを感じずに、一つの作品に向き合う“戦友”のように感じていて。「ここどうしようか?」「こうしてみようか」ということをちゃんと真摯に言い合える関係になれた気がしています。
上白石:私も同じようなことを感じていました。「この作品を良くしたい」という同じ意志をもっていて、同じまなざしで作品を見つめていける、心強い先輩です。
今回、物語の順番通りの撮影ではなく、いきなりクライマックスを撮るということもあって、その場、その場で対応しなければいけない場面も多くありました。そういうときに、向井さんは私の悩みを聞いてくださり、迷っていたら手を差し伸べてくださって、本当にうれしかったです。ご一緒できて幸せだなと感じています。
向井:それはこちらこそというか…特に身近でお芝居をする機会が多かったのですが、しっかりと作品と向き合う姿勢が頼もしくて、一緒にお芝居をするのが楽しいです。
──ここまで撮影してきて、「実は気になっていた、お互いに関する素朴な疑問」はありますか?
上白石:あまりこういう話にならなかったので、初めてうかがうのですが、向井さんが23歳の頃、どんな感じでしたか?
向井:ちょうどデビューした年くらいだから、何も分からなかったよ。だって、それまで文化祭でしかお芝居をやったことがなかったから。
上白石:そうなんですね。
向井:しかも、当時はそんなに仕事もなかったし。「(役者を始めるのが)遅いですね」ってよく言われたな…。周りは10代の頃から役者をやってたからね。
ただ、僕は役者になる前は大学で研究とかもしていたんだけど、それはそれで自分のプラスになっているから、全然ビハインドだとは思ってなくて。10代からこの仕事をしている人が経験できないことを経験してきたつもりなので。
上白石:確かに、その経験は強みになりますね。私は逆に10代の頃からこの仕事をしているのですが、自分が常に現場で一番年下だと思っていたのに、だんだん「僕19歳です!」とか言われるようになってきていて…。
向井:宮世(琉弥)くんね。
上白石:そうです(笑)。あとはスタッフさんにも年下の方が増えてきていて、とっても焦るんですよ。「これでいいのかな」と思っていたところなので、向井さんはどうだったのか気になっていました!
向井:なるほどね。その焦りは僕もあった。きっとみんな感じることだし、上白石さんは思うようにやれば大丈夫。
上白石:ありがとうございます。
──向井さんは、上白石さんに聞きたいことはありますか?
向井:私生活を全然知らないから…何食べてるの(笑)?
上白石:ははは(笑)。
向井:自分が1人のときって、どうやってご飯を食べてたかな、と思い出せなくて、気になったんだよね。
上白石:私、すごく料理が好きなんです。
向井:ちゃんと自分で料理するタイプなんだ?
上白石:はい。現場にも持ってきて食べていますし。
向井:確かに、持ってきてたね。
上白石:1人で作って食べるときもあるし、友だちを呼んで食べることもありますね。
向井:よく作る料理はある?
上白石:タイ料理をよく作ります!
向井:いいね。タイ料理大好き。
上白石:「いつもお店で食べるけど、自分で作ったらどうなるんだろう」っていう料理がすごく好きで。トムヤムクンとか生春巻きを作ったことがあります。あとは、うどんを打ってみたりもしています(笑)。
向井:ははは(笑)。すごい!
上白石:うどんは友だちとやったんですけどね。
向井:料理は苦じゃないんだね。
上白石:作品の撮影に入っているとできないこともありますけど、好きです。
──今年も残り約3ヵ月。年内にやっておきたいことはありますか?
向井:僕は旅行です。今年はずっと何かしら仕事をしていて、本当に暇がなくて、プライベートな時間がほとんどとれなかったんですよね。だから、旅行に行きたいです。
海外もいいですが、日本にも行ったことのない場所はたくさんありますし、年内の旅行は日本国内のどこかに行けたらいいな、と。行ったことのある地域でも見たことのない景色を探して、家族と楽しみたいです。
上白石:私も旅行がしたいです。作品を撮っている期間は、お休みがあったとしてもやることがいっぱいあって、なかなか行けないので。一旦ゼロになって、新しいものを取り入れたり、自分のやりたいことを思いっきりやる時間が持てたらいいなと思っています。今一番行きたい場所は香港です!
向井:いいね!
上白石:ウォン・カーウァイ監督の作品が好きなんですけど、そのロケ地めぐりをしたいと思っています。
──最後に、ドラマの見どころを聞かせてください。
上白石:なんと言ってもライブシーン!渋江監督はMVを多く手掛けていらっしゃることもあって、音楽への愛がとても強い方。なので、音楽シーンを美しく切り取ってくださっているなという実感があります。まずは音楽シーンを楽しみにしていてください。
そして、パリピ世代だけではなく、かつてパリピだった方も、三国志好きの方も、幅広い年代の方に楽しんでいただける作品になっていますので、見ていただけるとうれしいです。
向井:今上白石さんが言ったように、音楽、ライブのシーンは通常では地上波で見ることができないような素晴らしい画角と映像美で撮られています。そのインパクトが第一にあり、内容的には登場人物たちが成長していく姿、毎回ある出来事を乗り越えていくために使われる諸葛孔明の計略を楽しんでもらえたらと思っています。
いい意味で「なんだこれは!?」と思ってもらえるようなエネルギーが詰まった作品なので、とにかく1話を見てください。

撮影:河井彩美
【向井理】
スタイリスト:外山由香里
ヘアメイク:晋一朗(IKEDAYA TOKYO)
【上白石萌歌】
スタイリスト:道端亜未
ヘアメイク:冨永朋子