若村麻由美さんが、主演ドラマの裏側を語りました。
7月20日22時からスタートする木曜劇場『この素晴らしき世界』。本作は、平凡な生活を送る主婦が、ひょんなことから芸能界で活躍する大女優になりすましながら二重生活を強いられるという、“なりすましコメディ”です。
本作で、若村麻由美さんは、主人公の主婦・浜岡妙子と、妙子がなりすます大女優・若菜絹代の1人2役を演じます。
<若村麻由美『この素晴らしき世界』降板の鈴木京香へメッセージ「お会いできることを楽しみにしています」>
妙子は、スーパーマーケットでパートとして働いている主婦。主婦業とパートをこなしながらも「お前は社会を知らない」と夫・陽一(マキタスポーツ)と息子・あきら(中川大輔)からは低く見られる日々を送っていたある日、大女優である若菜の“替え玉”にスカウトされます。

若菜は、芸能事務所「プロダクション曼珠沙華」に所属するベテラン女優。裏ではわがまま放題で、“悪魔”と恐れられています。そして、報じられたスキャンダルの謝罪会見が嫌で失踪。妙子がなりすまし生活を送るきっかけとなり…。

そんな妙子/若菜を演じる若村さんが取材会に出席。2役の演じ分けで意識していること、衣装のポイントなどを語ってくれました。
スーパーで野菜のパック詰めを体験「すごく楽しかった」
<若村麻由美 インタビュー>

──出演が決まった際、「準備期間が少なく不安に思う部分もありました」とコメントをしていましたが、その不安は払しょくされましたか?
まだです(笑)。でも、ドラマに出演させていただくことが決まり、ご挨拶をさせていただいたときにスタッフの皆さんが温かく迎え入れてくださって。「この中でなら、できるかもしれない」と思えたんです。現場に入り、スタッフさんや共演者の皆さんに囲まれ、セリフを言った瞬間には「一歩踏み出したんだ」という感じがして。
この作品はすでに全話台本が出来上がっているので、初日から各回のシーンを撮影していて、すごくバタバタして大変でした。でも、皆さんの放つ大きな安心感に包まれて、楽しく、怒涛の毎日を送っています(笑)。
そして、こうして取材陣の皆さんを通して視聴者の皆さんに作品を発表するということも、私のなかでは大きなことで。「いよいよ皆さんにお届けするんだ」と一層気合いが入りました。
──浜岡妙子、若菜絹代、妙子がなりすます若菜という、実質3役を演じ分けることになりますが、それぞれの役で意識していることを聞かせてください。まずは、妙子はいかがですか?
2役、3役であっても、浜岡妙子という“普通の主婦”を基本としています。
その妙子を作るうえで、マキタスポーツさん演じる夫・陽一と中川大輔さん演じる一人息子・あきらとの家族が基盤となっていて。撮影に入る前に、家族のシーンだけ本読みをさせていただいたんです。そのときに「あぁ、妙子はこういう旦那さんを持った奥さんなんだ…大変だな」と、思えるくらい、マキタスポーツさんが実感のあるお芝居をされていました。
具体的に言うと、陽一はいつも靴下をくるくると丸めて脱いでいて、妙子はそれが気になっているけど口には出さない。しかも陽一がその靴下を洗濯機に突っ込んで、洗濯機が動かなくなって…そういう日常生活の些細な積み重ねがあるんですよね。
そういうだらしない夫をマキタスポーツさんがしっかり演じてくださっていることが、妙子という人物を掴むうえではすごく大事な存在だなと感じています。

そんな普通の主婦である妙子さんが、思わぬ世界に巻き込まれて、芸能界で起こるさまざまなことにカルチャーショックを受けながらも、なんとかこなしていきます。
シェイプアップ作戦をして、ハイヒールを履く練習を一生懸命して、カツラをかぶって、つけまつげをして、つけ爪をして、若菜絹代に扮してまずは謝罪会見に臨むのですが…「うまくいったんじゃないか」と思っている事務所は、次から次へと妙子に若菜の仕事をさせることになっていくんですよね。
最初は及び腰だった妙子も、徐々に自分の未知なる可能性に気づき始めて、前向きに「やってみる」と言うようになっていく。その変化は意識しています。
──「妙子がなりすます若菜」を演じる際はいかがですか?
現場では“妙子若菜”と呼んでいて…余談ですが、若菜絹代って「若菜」も「絹代」もどちらも名前みたいですし、しかも若菜の本名は「若林絹代」で、私は若村ですし…たまに混乱するんですよね(笑)。
妙子が若菜絹代になりすますことになってから、大女優である若菜の夫・夏雄(沢村一樹)から「どう?」と軽いノリで話しかけられるシーンがあるのですが、妙子は「何が何やら」と返すんです。それはまさに今の私と同じで。
主人公と似たような状況にいるので、“妙子若菜”に関しては何かを意識することなく、無理なく演じることができています。
──若菜絹代を演じる際はいかがですか?
なかなか登場しないので、この人が一番ミステリアスなんですよね。
若菜は周囲から“悪魔”と呼ばれ恐れられていますが、それはマイペースだからなのかな、と私は感じていて。まだあまり若菜のシーンは撮影しておらず、つかみ切れていないので、演じるのを楽しみにしているところです。
ここまでお話してきましたが、演じ分けという部分については、シチュエーションがしっかりと用意されているので、相手役の方とセリフを交わすなかで、表現しづらいのですが…役の重心が決まってきます。それによって自然と声のトーンや姿勢、歩き方も変わってくるので、あまり意識をせずに演じられている気がしています。
やはり人間は人との距離感で人物が出来上がっていくんだなということを、この作品をやらせていただくことで改めて気づかされました。
──妙子、若菜、妙子がなりすましている若菜のなかで、特に共感できる人物は?
妙子に共感できます。いや、共感というか…スーパーで働いたことはないのですが、楽しそうだなと思っていて。子どもの頃から「パックのラップはなんでくっついてるんだろう」と思っていたのですが、今回ロケをしているお店で、実際に野菜のパック詰め作業を体験させていただいたんです。それがとても楽しかったです(笑)。

あとは、家族から「妻・母が全部やって当たり前」と思われてしまう感じが…共感というか「分かるな」と。
劇中で、息子はカギを忘れていき、夫はカギを無くしていてという状況で、「でも、どうせお前(家に)いるだろう」とカギがないことは気にせず出かけていくシーンがあって。世のお母さんはいつも家にいて、ご飯を作って、みんなが出かけるのを見送り、帰りを迎えて。「本当に、お母さん、いつもありがとう」と改めて思うことがたくさんありますね。
妙子は白×デニムのスタイルが基本!徐々に表れるデザインの変化にも注目
──それぞれの役のビジュアルに関して、何かアイデアを出していますか?
特にないです。髪の毛が伸びっぱなしになっていたので、役に合わせてカットしようと思っていたのですが、スタッフさんから「そのままでいいです」と言われたくらいで(笑)。パーマが取れかかっている状態だったのですが、そのままのほうが妙子としては“日常感”があるということで、そのまま撮影に臨んでいます。
若菜に関しては、ぱっつんのストレートロングヘアというイメージが制作側にあったので、そのイメージのままですね。私は本当に身一つで現場に来たという感じです(笑)。
──衣装に関してはいかがですか?
妙子は基本シンプルで、上が白、下はデニムなどのパンツスタイルが多いのですが、とにかく白とデニムのコーディネートが多くて。全話を同時進行で撮っていると、「あの白いトップスとデニムで!」と言われても、ほとんど同じなんです(笑)。
ただ、自分の内なるものに目覚めていくなかで、白いトップスもちょっとずつデザインが増えていって。スタイリストさんが、シンプルなスタイルのなかで、心境の変化を表現してくれているので、注目していただけたらと思います。

──本作は、芸能界の裏側を描くことも面白さの一つ。台本を読んで、実際に演じていて面白いなと感じた芸能界の裏側のシーンはありますか?
あるあるが毎話詰め込まれていて、一つには絞れないのですが…裏側ではどんな人たちが関わり、どんな思いをして作品を作っているのかということが描かれているので、視聴者の皆さんには面白がりながら見ていただけると思っています。
昨年末には全話脚本ができていたそうですが、そういう意味では、びっくりするネタもあるかもしれません。
──若村さんにとって、「この(役者の)世界」はどんなものですか?
私にとって素晴らしき世界です(笑)。
今回もそうですけれども、「あなたにこの役をやってほしい」と言っていただけることは、何よりもありがたいですよね。主婦の方も含めてどんなお仕事でも、必要とされるって本当に幸せなこと。ですから、「あなたに」と言っていただける役者でい続けたいなと思っています。
