松本まりかさんが、夢を追うタクシードライバーの物語を読みます。
松本さんは、『ザ・ノンフィクション「夢を追うタクシー ~目的地はまだ遠くても~」 』(6月25日14時~/フジテレビ※関東ローカル)のナレーションを担当。
30歳を過ぎて、タクシードライバーとして働きながら、グラビアモデル&俳優としての成功を夢見る女性と、同じく声優を目指す男性。
二足の草鞋を履きながら、夢へ向かって走る二人にカメラが迫ります。夢と現実のギャップ、自身の葛藤、親との確執などが赤裸々に映し出されていきます。果たして二人の未来は?
自身も長い下積みを経験している松本さんは「グサグサ刺さった。よくわかる」と二人に共感を示していました。収録後のインタビューで、感想などを聞きました。
30代で上京し、夢を追うタクシードライバーのリアル
タクシードライバーをしながら、夢を追い続ける人たちがいます。
東京・練馬区にある「コンドルタクシー」は、「タクシードライバーと芸能活動の両立OK」という雇用形態を取っているタクシー会社です。
2022年春、タクシー運転手を始めた中島由依子さん(35)は、都内の道を悪戦苦闘しながら走る傍ら、グラビアモデル、女優としての成功を夢見ています。

30歳を過ぎてはじめた芸能活動は、撮影会の水着モデルや小規模な舞台公演など、“鳴かず飛ばず”の状態で、彼女が思い描く芸能界での成功には、まだまだ遠い道のり。さらに30代後半に差しかかる年齢も、重い現実として乗りかかります。

一方、声優になる夢を追い、30代になって上京した仲田泰浩さん(31)は、親しみやすいキャラクターで、年配の客から人気の運転手。月に数万円のレッスン費と東京での一人暮らしを、タクシードライバーの収入で支えています。声優になるためにも、大事な仕事ですが、ある日、仲田さんの姿が会社から消えていました。
30歳を過ぎて上京し、大きな夢を追いかける二人のタクシードライバー。もがきながらも前に進もうとする二人は、目的地にたどり着くことができるのでしょうか。
<松本まりか インタビュー>

――夢を追う2人の30代が出てくる回でした。ご覧になってどんな印象を持ちましたか?
いやぁ、かなり刺さりました。中島さんが実家で親と話すときの姿にも、久々に「本物のドキュメンタリーだ」と感じるものを見せていただいた気がしました。
私は、日頃フィクションをやっていますが、本物は引力が違うなって。リアルな人間の素の面白さに引き付けられました。やっぱり、ドキュメンタリーが好きだなと思いました。
――刺さった、というのはどのようなところでしょうか?
本当にグサグサ刺さりました。私も中島さんと同じようなことを思っていましたし、オーディションでの、「はい。ありがとうございました」という、審査する方にまったく刺さっていなくて、恥ずかしくなっちゃうあの感じ(苦笑)。
別のことに緊張して、演技が演技じゃなくなってしまい、グルグルしちゃうという…。ああいうのを15年以上もやってきたので、よく分かりました。
あの頃の自分とすごく重なって、言ってあげたいことがある気もするし、逆に私がもらうところもあるし、といった感じで。
でもやっぱり、「夢をあきらめない」という強い気持ちは、すごく大事。今は、みんなに見てもらえないし、認めてももらえないけど、それでも熱い気持ちを持ち続けているというのに、グッと来るものがありましたし、惹きつけられました。
絶対に失ってはいけない気持ちだと感じさせられました。
――中島さんと親御さんの意見がぶつかる場面もありました。そんな経験はありますか?
芸能を反対されたことはないですが、その方向性みたいなところで理解されないな、と感じたことはありました。
親は肉親でも、他人なんですよね。自分とは違う感性を持つ別の人間だから、全部を理解してもらうのは難しいし、そこは望まなくなりました。
本当に戦うべきは、自分のみ。自分の弱さや磨き切れていない能力を磨いたり、開花させたりすることのほうがよっぽど大事で難しい。でも、それでしか、自分を引き上げられるものはないんですよね。

――「30歳を過ぎてるのに夢なんか追って」と年齢を言われる場面も出てきます。
私自身、年齢にはすごく鈍感で、全然関係ないや、って思って来たところがあります。それよりも、30代になったら恥じない自分でいよう、とだけ思っていて。自分自身が恥ずかしくない自分でいれば、他者からも恥ずかしくない人に見えるだろう、と。
ふと、「私、結婚してないのか…」みたいに思う時もありますが、楽観的に考えているところもあって(笑)。それよりは、いくつになっても素敵な人であり続ければいいし、そうしたら、結果はついてくると思うから。
誰かが決めた固定概念を意識したら終わりなんじゃないかなって。私も、年齢らしくないと言われることもあるけど、それはしょうがない。だって、“らしくない”んだから。もう、全然気にしない、と思っています。
年齢ではなくて、自分が納得できるように生きることが大事。私はタクシードライバー&グラビアでやりたいんだ、でもいいし、そうじゃなくても、自分が「こう」と思える生き方をすれば個性は認められると思う。
中島さん、声優を目指している仲田さんの、30歳を過ぎても夢を追いたいんだという絶対にぶれない強さっていうのは、ちょっと凄(すさ)まじいものを感じました。
心を打たれて「夢を持つ人の強さっていいものですね」と感じました。
――松本さんもこの5年、がむしゃらに走ってきたなかで一度、立ち止まり、今、次のステップを考えているそうですね。
本当に5年間、ひたすら走り続けてきて、最近やっと息を吸えたというか、やっと、自分が何者で、周囲で何が起きているのかが、だんだん分かり始めたんです。
そこで、一回休めたことで、ここからもう一段グンと上がりたい、ネクストステップに行きたいと思うようになって。
40歳になっても、変わり続けたいし、守りに入るようなことはしたくない。
すべてを捨てて次に行きたくなる性(さが)なのかもしれませんが(笑)、もうずっと面白くいたいというか、自分自身を面白がれる人でありたいと思っています。
今までがむしゃらに走ってきたから、ここからさらに自分が面白いと思う、ワクワクできることを選びながらやっていきたいと思う。そうすることでもっと成長できるんじゃないかと思っています。
<ナレーションの一部を紹介>
<予告動画>
YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!
6月25日(日)14時~「夢を追うタクシー ~目的地はまだ遠くても~」 予告