『テイオーの長い休日』の衣装に注目しました。
船越英一郎さん主演の土ドラ『テイオーの長い休日』(6月17日/カンテレ・フジテレビ系)第3話が放送されます。
このドラマは、仕事がなくなった“2サスの帝王”熱護大五郎(船越)が、ある事情を抱えた女性マネジャー・吉田ゆかり(戸田菜穂)とともに、人生のリベンジに奔走するヒューマンコメディ。
関わる人間の悩みを、2サスで得た 経験をもとになぜか解決してしまうのが見どころです。
毎回、熱護が演じてきたキャラに変身する展開は、「小京都シリーズも見たい」「次回は何の衣装?」と、往年の2サスファンを首ったけにしています。
マネジャー役の戸田菜穂さんもまた「美しすぎる」と話題に。今回、戸田さんは久しぶりのコメディ出演で、はじけた演技を見せていますが、「最高にキュート」「戸田菜穂はやっぱりステキだなあ…と思い知らされる」と視聴者をとりこにしています。
その裏には、衣装担当の緻密な作戦があるといいます。ドラマの世界観を作り、それぞれのキャラを際立たせる衣装へのこだわりを、担当したスタイリスト、キクチハナカさんに聞きました。
『テイオーの長い休日』第3話は、6月17日(土)23時40分より、東海テレビ・フジテレビ系で放送されます。
<キクチハナカ コメント>
戸田さんの美しさが立っているとしたらホッとします。そこは、意識してスタイリングしていたので。
戸田さんが演じる吉田ゆかりは、生活のために業界に復職した子育て中の女性で、役柄上、さほど裕福な人ではないという設定なんです。
なので、必然的に衣装もシンプルで、仕事着としてわかりやすいスーツ姿が多くなるのですが、ヒロインですから魅力的に映らないとダメですし、暗くもしたくなかったので、ソフトな色味を多くして、やわらかい印象でお美しい戸田さんをひきたてるようにしました。
ただ、何よりも戸田さんのコミカルで明るい演技が、ゆかりの魅力を最大限に引き出してくれていると思います。
衣装はあくまでキャラクターの魅力を引き出すお手伝いなので。

熱護の変身シーンに関しては、視聴者の方が『テイオー』を見たときに「あ、船越さんが出ていたあの作品だ!」と思い起こしてもらえるように作っています。
オリジナル要素も加えたうえで、かなり忠実に再現している衣装もあります。
たとえば、第1話の火災調査官は、船越さんが2003年から13年間に渡って演じられた『火災調査官・紅蓮次郎』(テレビ朝日)がモデルです。
熱護が、火災調査官・遠藤萌としてゆかりの洋食店に乗り込むときのコスチュームなのですが、第1話ということもあり、船越さんとも相談のうえで、紅蓮次郎を忠実に再現することを意識しました。

第2話で、熱護が変身する闇の外科医・ジャック小笠原は、2004年から放送された『外科医・鳩村周五郎』(フジテレビ)から、脚本の入江さんがイメージを膨らませて生まれたキャラクターです。
鳩村周五郎では、白シャツを着られていたと思いますが、今回は“闇の外科医”ということで黒シャツにアレンジしました。
船越さんのお芝居も「闇」感が足されていて(笑)、衣装でキャラ作りをフォローできていたらうれしいです。

第3話では、プロゴルファーに扮しますが、このキャラクターは、実は船越さんの過去作品には似たものはないんです。
むしろ熱護だからこそのキャラだろうということで、船越さんと相談をして、襟の部分をちょっとカッコよくしたり、形にこだわりました。
変身シーンとのギャップを作るために、練習シーンは別の衣装にしたりと、見せ場をどう盛り上げるかも、船越さんと一緒に考えています。

スタイリングに関しては、私の発想より、“熱護大五郎改め、船越英一郎さんご自身”が着ている服や、スタイリングをベースに、形にさせていただきました。
熱護の部屋着である薄い生地のガウンも、船越さんご自身、ご自宅でシルクのガウンを着てらっしゃるということで、採用されました。
まさに、熱護を通して「船越英一郎さんという存在そのもの」が、今回のドラマに出ているという印象です。すごい貴重ですよね(笑)。

そんななかでも、大切にしているのは「熱護らしさ」です。
熱護という“こだわりの俳優”がいて、その熱護が自分で納得のいかないコスチュームは決して着ないだろうという前提でスタイリングを考えています。
たとえば、熱護はパステルカラーの服にOKを出すことなど絶対にないだろう、ということで、熱護の私服は黒をはじめ、シックな、はっきりとした色ばかりになってます。
「熱護らしさ」については、とにかくカッコよく作りたかったので、そういう意味では、うまくいったかなと思います。
スタイリングで意識したのは、画面に登場したときに、風などがなくてもふわっとなびく感じが出るようにした、という点です。
ガウンもシルク素材なら、風がない部屋の中でも熱護が動いたときに、服の動きが軽やかに映りますからね。
熱護大五郎に限らないのですが、個人的に“動きが出る衣装”が好きでして…。熱護の
外出着では、トレンチコートも取り入れました。
船越さんからアイデアをいただいたのですが、すごく動きが出るので、登場シーンで着ていただき、熱護のカッコよさを強調できたと思っています。
最も遊べるのは、白石隼也の衣装
そんなキクチさんが、今作でスタイリストとして「一番遊べる(自由度が高い)」衣装なのは、人気俳優・伊集院大樹役の白石隼也の衣装だといいます。
伊集院の衣装に関しては、演じる白石隼也さんの普段のお洋服を見る、ということから始めました。
変な言い方をすると、それを見ることができるのは、衣装メイク部の「特権」とも言えるわけですが(笑)、「ああ、こういったワードローブを着られていらっしゃるんだな」とわかると、ご本人をベースに足し引きでスタイリングができるので。
人によっては、本当にラフな服で現場においでになる方もいらっしゃいますし、すごいカッコいいな!と思えるいでたちを、しっかり私服としている方もいらっしゃいます。

白石さんご自身も私服がおしゃれな印象があったので、伊集院に関しても、「わりと普段からおしゃれな人なのかなぁ?」とイメージしながら作りました。
伊集院は、今回の作品の中でいちばん遊べる、つまり、いろいろな服を着させることができるキャラクターだと思って、私の遊びたい願望をかなえさせてもらっています。
出演者の中でいうと、おしゃれなベージュのセットアップ着て、ハット被って、サングラスして…みたいな今っぽい服装の方もいたので、そういったイメージを全部、「伊集院」に詰め込んでみました(笑)

後は、人気俳優の役なので、スタイリングでは「いつどこでみても伊集院」という存在感は出せるようにしたつもりです。私服だったとしてもラフ過ぎず、“隙(すき)がない”。それが伊集院かなと。
伊集院は、役柄として、どこにいてもすぐに伊集院だと気づかれるような存在なんです。
だとしたら、トレランスの看板人気俳優・伊集院大樹として、常にカッコいい見え方にこだわっているんじゃないかなと。
そこは、熱護の場合と似ている部分があるかもしれません。熱護も、プライベートでも、いつでもどこでも、熱護大五郎なので(笑)。
白石さんとも「こういう俳優さんていますよね?」とか会話しながら、お知恵を拝借したり、あるいはそこから引き算したりして伊集院を作っています。
そこで生まれたリアルな“人気俳優感”は、視聴者の方にも共感してもらえるんじゃないかな、と思っています。

細かいところではあるのですが、オリプロのシーンで出演されている久保田磨希さんの衣装はすごくポップにして、毎回工夫をしています。
アクセサリーも(これは衣装部でなくメイク部の担当)、メイク部さんと相談して、すごく遊んで作っています。

そういったところも含めて、若い方から、上の方まで、幅広く楽しんでいただける面白いスタイリングになっていると思いますので、そんなことも気をとめながら、見ていただけたらうれしいです。
<第3話あらすじ>
せっかくの人気ドラマ出演をふいにした熱護(船越英一郎)。相変わらず仕事はなく、バラエティNGのため、ゆかり(戸田菜穂)は営業にも困り始めていた。
そんななか、再現ドラマの仕事を取ってくるゆかり。バラエティとはいえ芝居の仕事!これなら熱護もOKするのではないか!?しかし、熱護が興味を持ったのは別のことだった。

ドラマ志望でくすぶっているディレクター・豆原(市川知宏)に才能の片鱗を見出した熱護は、豆原とある特訓を始める。

そのころ、ゆかりの長女・陽向(宮下結衣)が友人関係で悩んでいることがわかり、「自分のやり方を貫くには、強さが必要だ」と、熱護は…。

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