松本穂香さんが、記憶を失くした男性のドキュメンタリーを読みます。
松本さんは、『ザ・ノンフィクション「私は何者か… ~すべての記憶を失った男~」 』(6月4日14時~/フジテレビ※関東ローカル)のナレーションを担当。
ある日、目覚めたら駅前の石畳の前にいて、その日以前の記憶をすべて失ってしまった一人の男性。普通に話ができるのに、自分の名前や年齢、居住地さえ思い出せません。男性の身に何が起こったのか、番組は3年にわたり寄り添いました。
まるで、ドラマや映画かと思うような男性の状況に、松本さんも最初は「本当なのかな?」と思ったと明かします。収録後のインタビューで、感想などを聞きました。
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過去の自分をすべて消したくなるほどのショックとは
ある日突然、過去の記憶を失ってしまったとしたら…。
2019年12月、横浜市西区役所に一人の男性が保護されました。「自分に関する、すべての記憶がない」と言うのです。
冬の夜、男性は、横浜駅前の冷たい石畳の上で目を覚ました。持ち物は、ポケットから出てきた31円と、小さなカバン、汚れたタオルのみ。なぜここにいるのか、自分の年齢や名前に至るまで、すべての記憶がなくなっていました。

鏡に写った自分の姿を見ても、そこにいるのは、見覚えのない男。混乱のまま、当てもなく横浜を歩き回り12日目、食事もろくに取れずに衰弱していたところを、見回りのボランティアに発見されました。
名前が分からないままでは生活支援も受けらないため、仮の名前が付けられました。保護された場所、横浜市西区から、名字は「西」。同姓同名の住民がいないことを順番に確認し、付けられた名前は「六男」。この日から彼は「西六男」としての人生を始めることになったのです。

医師による診断は、「解離性健忘症」。心に受けた大きなショックから自らを守るため、それにまつわる記憶を全て忘れてしまう症状だといいます。
過去の自分をすべて消したくなるほどのショックとは一体…?自分に家族はいるのか?探してくれている人はいるのか?そして自分は一体、何者なのか…。
「本当の自分」取り戻すための日々をカメラが見つめました。
<松本穂香 インタビュー>

――ナレーション収録を終えての感想はいかがですか?
最初、原稿をサラッと読んでみたときは、(ある時点からの記憶が一切ないという)西さんの状況に「本当なのかな?ちょっと目立とうとしてるんじゃないのかな?」と思ってしまうくらい、ドラマの設定のようだと感じました。
ですが、西さんと周りの方(NPOのスタッフなど)との関わりを見て、西さんの人柄といいますか、すごく信頼できる方だというのが伝わってきて。(あの状況は本当で)ただただ、自分が何者で、どんな過去があるのか知りたいんだとわかりました。
もしかしたら、奥さんや子どももいるかもしれないけれど、誰も自分を探していないということは、自分が目の前に現れることで、傷つく誰かがいるのではないか…。
そういう考えができるというのも、すごく強い方だと感じましたし、ナレーションを読んでいて、とても複雑な感情になりました。
――ご自身が西さんの立場だとしたら、“記憶探し”をすると思いますか?
実際にそうなってみないと…想像するのは難しいですけど、やっぱり知りたくなるんじゃないですかね。でも、相当ショックなことがあったから、記憶を失くしてしまったのでしょうし…。
西さんがおっしゃったように、自分は知りたいけれど、1年以上誰も自分を探している様子がないということを受け入れて、西六男として生まれ変わるじゃないですけど、今の人生を誠実に生きていこうと思うんじゃないかな、と思います。
――NPOのスタッフなど、周囲にやさしい人が多いことは救いですね。
VTRの最後のほうで、西さんの報告を聞いたスタッフの方の反応もそうでしたけど、やさしくて素敵な方ばかりで、本当によかったと思いました。心から信じて寄り添ってくれる方がいるのは、当たり前なことではないでしょうし、そこは西さんがラッキーな部分だったのかなと思います。
――西さんは、心に受けた大きなショックが体にダメージを与えないように記憶を喪失する「解離性健忘症」と診断されました。ほかは、まるで問題がなさそうなのに、部分的な記憶だけが喪失されるという状態についてどう感じましたか?
よく、心と体はつながっていると言いますし、自分も普段の生活で、そう感じることもあるので、本当にその通りだと思います。
脳がネガティブな記憶をシャットダウンすることで、心と体を守ろうとしてくれているというのも理解できますが、西さんが、トイレの鏡で自分を見たときに、60年間その姿で生きてきたのに、「誰だろう?」と思った、というのは、私には想像のつかないことだと感じました。
――松本さんは、これまで多くの『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当していますが、どんな気持ちで作品と向き合っていますか?
今回の作品もそうですが、毎回、プレッシャーや責任を感じます。今回も、番組が3年くらい取材して作られたもののなかに、私がポンと入って、1時間や2時間で声を当てるということをしますので、それは責任を感じます。
『ザ・ノンフィクション』は、毎回、本当にいろいろな人がいて、いろいろな人生があるということを教えていただいている番組です。
――改めて、今回の見どころを教えてください。
見始めたら、途中で止める人はいないと思います。どこがというより、見てもらえればきっと感じるものがたくさんある回だと思います。
西さん頑張れ、というのではなく、西さんを通じて、今を生きることの大事さを感じ、「頑張ろう」と思えるのではないかと感じています。
<ナレーションの一部を紹介>
<予告動画>
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6月4日(日)14時~「私は何者か… ~すべての記憶を失った男~」 予告