鈴鹿央士さんが、役作りや、共演者の印象を語りました。
現在放送中の木曜劇場『silent』(毎週木曜22時〜)で、主人公・青羽紬(あおば・つむぎ/川口春奈)の恋人・戸川湊斗を演じる鈴鹿さん。
本作は、紬がかつて本気で愛した恋人である佐倉想(さくら・そう/目黒蓮)と、音のない世界で“出会い直す”という、切なくも温かいラブストーリーを描く完全オリジナル作品です。

鈴鹿さんは「メンズノンノ」専属モデルとして活躍し、映画デビュー作となった「蜜蜂と遠雷」(2019年)で国内映画賞の新人賞を総なめにして話題に。ドラマ『クロステイル 〜探偵教室〜』(東海テレビ/2021年)では主演を務め、映画「バイオレンスアクション」(2022年)に出演するなど、数々の作品で活躍しています。
そんな鈴鹿さんが演じる湊斗は、とても優しい性格。紬の現在の恋人で、想の高校の同級生でもあります。鈴鹿さんに、演じる際に意識していることや、共演者の印象を聞きました。
SNSで話題!“#鈴鹿央士くんを幸せにしたい”に「すごくうれしい」

――現在の撮影状況や反響を踏まえた心境を聞かせてください。
当初から「湊斗の心境は複雑だな」と思っていましたが、やっぱり複雑です。湊斗は「紬といられて幸せ」とか「想と話せた」だけじゃなくて、プラスもマイナスも、いろいろな感情を抱えています。
そして、紬や想など、周りの人のことをずっと考えています。スタッフさんとも「湊斗は、普通の表情をしているときがないよね」という話になって。そういうところに、人のことを考え続ける“湊斗らしさ”が出ているかもしれません。
ドラマが始まってから、「#鈴鹿央士くんを幸せにしたい」というハッシュタグもできたそうで(笑)。湊斗を応援していただけて、鈴鹿央士は幸せです。湊斗の優しさがみなさんに伝わっているんだなと思うと、すごくうれしいです。
――オリジナル作品ならではの楽しさや難しさはありますか?
原作ものだと、ある程度ストーリーが決まっているので、「ここはこれくらいのお芝居で」というように、決めないといけない部分もあるんですけれど、今回は撮りながら変わっていくところもあって。自分が準備してきたお芝居から、変わることもあります。そのぶん、キャラクターの幅が広がったり、シーンに深みが出たりしていると思います。台本の行間を詰めていく作業は難しいですが、それも面白くて楽しいです。
今作はラブストーリーですが、視聴者のみなさんがいろいろと考察してくださっているというのも、僕にとっては新鮮です。みなさんがドラマを楽しみにしてくださっているんだなと実感します。
“主成分優しさ”の湊斗は「優しさ95%、自分5%」

――湊斗は、紬から「主成分優しさって感じの人」と言われるほど。湊斗の中で「優しさ」の割合はどのくらいだと思いますか?
「優しさ」は95%で、残りの5%は「自分」だと思います。「優しさ100%」と言えるかもしれないですけど、やっぱり「自分」もあると思います。
湊斗はいま紬と付き合っていますが、高校時代は想と紬が付き合っていました。当時の湊斗は、「自分が紬と付き合いたい」という気持ちもありましたが、大好きな子と、大好きな友だちが一緒になるほうが良いと思って、キューピッド役になった。そうすることで、湊斗自身も満足していたんだと思います。
だから「優しさ100%」ではなく、「自分5%」もある気がします。
――湊斗らしい優しさを表現するために、意識していることはありますか?
第2話で湊斗は、紬にコーンポタージュ缶を渡したり、パンダの癒し動画を教えてあげたりしました。これは、その場その場の優しさではなくて、常日頃から紬の好きなものを考えているからこそ、できたと思うんです。
だから僕も、日々の暮らしのなかで「これは紬が喜ぶかな」とか「想とあんな出来事があったな」とか考えています。

――今作は“当て書き”で作られています。鈴鹿さんが普段話すときに、「うん」とよく言うことから、台本にも加えられたそうですね。
確かに「うん」は、よく言うので、セリフにもたくさんあります。プロデューサーの村瀬健さんも「そこがすごくいい」と言ってくださったんですが、言われると気になっちゃう…。
「うん」が4連続くらい出てくる場面もあるんですが、ぜんぶ同じ「うん」ではダメだなと。はじめは、工夫しなきゃいけないと思っていたんですけど、最近はあまり気にせずできるようになってきました。「普段、自分も言ってるなぁ」と思いながら演じています。村瀬さんの思惑通りですね(笑)。
目黒蓮と話して「(湊斗の)思いが強くなった」

――撮影が進むなかで、川口さん、目黒さんの印象に変化はありますか?
川口さんも目黒さんも、初めてお会いしたときと変わらず、すごく優しいです。お2人とも、ずっと見守って支えてくださっていて。すごく寛大な心を持っているので、同級生役ですが、僕は後輩のように甘えがちです(笑)。
川口さんは明るくて、朝あいさつをする時から「元気?」と声をかけてくださったりと、本当にフラットに接してくださいます。
目黒さんとはちょっとずつ、いろいろなことを話していますが、距離が縮まるにつれ、より気を遣ってくださるというか。本当は、僕が気を遣わないといけないと思うんですけど…目黒さんのほうが、周りをよく見てくださっていると思います。
紬の弟・光(ひかる)役の板垣(李光人)くんとは、映画・ドラマ「ホリミヤ」(2021年/MBS)で一緒だったんですけど、その時はあいさつを交わした程度で。今回は共演シーンが多いので、おしゃれな板垣くんに「服はどこで買ってるの?」とか聞いたりしています。

――第3話で、湊斗と想が対峙するシーンが印象的でした。目黒さんとは撮影前になにか話しましたか?
実はあのシーンは、撮影にすごく時間がかかってしまって。僕が感情をうまく出せなくて悩んでいたら、目黒さんが「2人で話そうか」と言ってくれたんです。湊斗と想の高校時代の思いや、再会してどんな思いがこみ上げてくるか、2人は何を考えているのかなど、目黒さんと話してから本番に臨みました。
目黒さんは、「想としては、湊斗が話しかけてくれる声を受け取れないのはすごく悲しいし、もう一度話したい気持ちになっている」と言ってくれて。
湊斗は、耳が聞こえなくなった友人を受け入れられないんですよね。紬は受け入れて手話も覚えるけど、自分は受け入れられない。その思いが、目黒さんと話したことで、より強くなった気がしました。
――第4話を楽しみにしているみなさんへ、メッセージをお願いします。
第3話では、湊斗の人間くささや、ずっと心に溜め込んでいたもの、苦しみが現れました。第4話で、湊斗は紬に思いをぶつけます。紬、想、湊斗の関係が今後どうなっていくのか、湊斗を見守りつつ、ぜひ楽しみにしていてください。