上野樹里『監察医 朝顔』で伝えたい陸前高田の今「まだまだ復興のための力は必要」

フジテレビュー!!
上野樹里『監察医 朝顔』で伝えたい陸前高田の今「まだまだ復興のための力は必要」

上野樹里さんが、最近見つけた“小さな幸せ”について語りました。

娘・法医学者×父・刑事という、異色の父娘を描く『監察医 朝顔』が、1年半ぶりにスペシャルドラマ『監察医 朝顔2022スペシャル』(9月26日/フジテレビ)として放送されます。

監察医 朝顔』は、同名漫画作品を原作に、第1シーズン(2019年)、第2シーズン(2020年~2021年)を月9枠で放送。今年、国際メディアコンクール「ニューヨーク・フェスティバル」のドラマ部門で『監察医 朝顔』が、演技部門では上野さんがそれぞれ銅賞を受賞したことでも話題に。

興雲(こううん)大学法医学教室の法医学者・万木朝顔(上野)が解剖で遺体の謎を解き明かし、見つけ出した“生きた証”で生きる人々の心まで救っていくさまを描く物語。そして、東日本大震災で被災した母・里子(石田ひかり)を失った悲しみを抱えた朝顔が、父・平(時任三郎)、夫で刑事の桑原真也(風間俊介)、娘のつぐみ(加藤柚凪)ら家族とともに、少しずつ乗り越えていく姿を描いていく心温まるヒューマンドラマです。

フジテレビュー!!は、主演を務める上野さんにインタビュー。第2シーズンから1年半後を描く今作の撮影エピソードや、撮影で訪れたという陸前高田での思い出などを聞きました。

1年半ぶりに演じる朝顔は「あのときとは違う現実に直面」

上野樹里 インタビュー>

──前作から1年半後の物語が描かれる今作。その1年半を埋めるために、準備したことはありますか?

「埋める」という考えはなかったです。

台本を読むときは、前作までの朝顔や作品の雰囲気などをイメージして読みました。でも、人は生きていくうえで“変化”していくもの。朝顔自身も私たちと同じように1年半の時間を生きていて、当時とは異なる現実に直面しています。

だから、今の自分ができる朝顔を演じられたらいいなと思いました。

──久しぶりの『監察医 朝顔』チームの撮影はいかがでしたか?

セットが残っていたのがうれしかったです。興雲大学法医学教室の解剖室や研究室、万木家がスタジオの中に建っていて、それによって朝顔に引き戻される感覚はありました。セットの中でキャスト、スタッフが揃って撮影をしていると「この感覚、懐かしいな」と思いました。

でも、今回はスペシャルドラマなので、1度の収録でクランクアップしてしまう人もいて。また再会できたらうれしいですが、それが叶うかはわからないので、一緒にお芝居をしている瞬間を楽しみながら撮影していました。

昔から知っている地元の友だちに会うと、瞬時に当時の感覚に戻ることがあると思うのですが、『朝顔』のチームの関係性もそれに近い領域にきている気がします。

陸前高田が祭り、花火、屋台で大にぎわい!活気ある様子に「うれしかった」

──母・里子(石田ひかり)の故郷という設定の、岩手県・陸前高田市を久しぶりに訪れたと聞きました。以前との変化など、感じたことを聞かせてください。

一番変化を感じた出来事は、お祭りが開催されていたこと。以前、今作にも登場する陸前高田の「七夕まつり」に行きたくて、ホテルの予約などもしていたのですが、コロナ禍で中止になってしまって。

今回、8月にドラマの撮影で訪れた時には、大船渡で泊まったホテルに観光客の方もたくさん泊っていらして。夜には花火が上がり、屋台もたくさん出ていて、すごくにぎやかでした。

地の魚とか果物が食べたいなと思ってスーパーに行ったら、お刺身はほとんど売り切れていて。売り切れていたこと自体は残念でしたけど、「みんな楽しもうとしているんだ」と感じ、すごくうれしかったです。

──撮影の一環ではありますが、「七夕まつり」も見たそうですね。

はい。撮影で一瞬ではありましたが、浴衣を着て参加することができてすごく楽しかったです。

山車がぶつかり合う様子を見ることができたのですが、山車の大きさや、何十人もの男性が大きな掛け声を出しながら太鼓を叩いている姿を間近で見ることができて、とても感動しました。

陸前高田の伝統的なお祭りを、ドラマを通じて伝え、それを見てくださった視聴者の方の中に「私も行ってみたい」と訪れてくれる人が増えるといいなと思います。

──久しぶりに『監察医 朝顔』の世界に戻ってきたことで改めて感じた、作品の魅力を聞かせてください。

一つは、昭和の風景がところどころに残っていることでしょうか。ちゃぶ台でご飯を食べているドラマ、今はあまりないですよね(笑)。でも、そんな日本の古き良き風景を残せているのも、魅力の一つかなと思います。

そして、一番の魅力は、陸前高田の“今”を伝えられること。その点においては、ドラマを超えてドキュメンタリーの要素もあると考えています。

東日本大震災から10年以上が経ち、日本でオリンピックが開催されるなど大きなイベントもあり、震災や被災地のことを考える機会が少なくなってきていると感じています。

でも、今もさまざまな思いを抱えて生きている人がいるし、まだまだ復興のための力は必要です。被災地の“今”を伝えられることにもやりがいを強く感じています。

朝顔から学んだこと「吐き出すこと、心と向き合うことの大事さ」

──今作の撮影で大変だったことはありますか?

撮影の期間は2週間弱でした。あっという間じゃないですか、2週間って(笑)。その中で2時間の番組を撮るのですが、連ドラの2時間(2話分)とスペシャルドラマの2時間の濃さは全然違うんです。

連ドラは、起こったことの結果を翌週以降の放送で伝えられるので、演じる側もはっきりと「こうだ」という答えを自分の中で作らずに、ゆとりを持って演じられます。でも、スペシャルドラマでは、「ここで思ったことが次にこうなって、最終的にこうなった」と、しっかりと考えて、ステップを踏まないと、話が成り立たなくなってしまいます。

もちろん、そこだけを頑張ればいいわけでもありませんが、1回の放送の中で物語を成立させなければいけないし、ブランクも感じさせないほうがいいと思うので、監督とは時間を見つけたはたくさん話をしました。

そのうえで、いざ撮影となると、話したときから撮影当日までに生まれた別の意見も出てくるので、さらにチームで話し合って撮影を進めていく。短い時間での撮影は大変でしたが、『監察医 朝顔』のチームワークがあったからこそ無事に撮影を終えられたと思います。

──朝顔を演じる中で、自身の生活でも実践したいと思う“気づき”はありましたか?

日々忙しくしていると、外で刺激を受けて、あれこれ頭で考えることも多いと思いますけど、自分の心と向き合うことが大事だな、と。

「今、自分がどれくらい踏ん張ってるか」、意外と自分は分かってない。それにみんな「頑張らなきゃ」と思わなくても頑張りすぎている。

だから、吐き出すことが大事。吐き出せるときに吐き出して、自分の弱い部分や頑張っている部分を全部認めて、受け入れて、前に進んでいけるといいなと思います。

「夫と犬と猫の4人暮らしを楽しんでいます」

──『監察医 朝顔』は、朝顔たちが悩みや問題を抱えながらも、日々の小さな幸せを大事にして生きる姿が印象的な作品です。上野さんは最近“小さな幸せ”を感じた瞬間はありますか?

いっぱいあります!朝起きて愛犬を見に行ったら、ぬいぐるみをうまく使って枕にしていて、人間と変わらないようにすやすや眠る姿を見てクスッと笑いました。

あとは、今朝、朝食でアジの開きなどを食べたのですが、私が食卓についたら、猫が「私も食べる」という感じで隣にちょこんと着席していて(笑)。人間をちゃんと見ていて、「ご飯を食べるときは、ここに座ればもらえるんでしょ」と学習している。かわいくて、アジを分けてあげました。

そういうふとした瞬間に幸せを感じます。夫と2人暮らしというより、犬と猫との4人暮らしの生活を日々楽しんでいます。

──“小さな幸せ”を、見逃さないように意識していますか?

特に意識はしていないです。私は、もともと小さいことも気づくタイプなのかも。その分、良くないことにも気づいてしまうこともあります。でも、「良くないこと」があるから、「良いこと」に気づけたときの喜びは大きいです。

ちょっと話が変わるかもしれないですが…、今、髪が傷んでいるので早く美容室に行きたいのですが、お仕事のために伸ばしているから我慢しなきゃ、と思っていて。オフの時間は自分の好きなように楽しめるはずなのに、簡単には楽しめない役者の“潜伏期間”のつらさ(笑)。美容室に行ってもいいんです。でも、1ミリでも伸ばしたいという意地もあって行っていないんです。

いざ美容室に行けたときには「好きにやってやる!」と思ってます(笑)。トリートメントをしたり、髪を染めたり、自分の思っていたイメージを具現化できたときに幸せを感じられるので、今は我慢をしているんです。

──考え方一つで、“幸せ”はいろいろあるということですね。

一つひとつ、そうやって感じながら生きていると楽しいです。

お仕事帰りに家に直帰せず、寄り道をするのも幸せ。最近ふらりと寄ったお店で、ステキなイヤリングを見つけて買ったんです。そのあと、別のお店に入ったら、もっと安い値段で同じようなイヤリングを見つけてしまって。そっちも買っちゃいました(笑)。

安いものを見つけてガッカリというより、「2つも買っちゃった!ラッキー」。2つのお店を知ることができましたし、自分だけの知識が増えるということはすごく楽しいです。

──では、最後にドラマの見どころをお願いします。

法医学教室のチームはあまり大きな変化はないのですが、桑原くんが務める野毛署はいろいろと変化しています。桑原くんが昇進して、立場が変わりました。その人間関係の変化なども楽しんでもらえたらと思います。

次女の2歳になる里美(中村千歳)も加わり、さらににぎやかになった万木家も見られます。朝顔は一人っ子だったので、2人の子どもを育てることが想像できていなくて、手一杯になりながら奮闘しています。

そして、1年半前から父・平の認知症の進行具合はどうなっているのか、朝顔はそれをどう受け止めていくのか。クスッと笑える軽いテンポを交えながら、大事なことをまっすぐ伝えていく『監察医 朝顔』を最後まで見て、いろいろと感じ取っていただけたらうれしいです。

撮影:今井裕治
ヘアメイク:清家いずみ
スタイリスト:岡本純子

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