森川葵「いいところを見つけてあげる愛情」『ザ・ノンフィクション』で思う

公開: 更新: フジテレビュー!!
森川葵「いいところを見つけてあげる愛情」『ザ・ノンフィクション』で思う

森川葵さんが、「人との接し方」について思うところがあった、と収録後に話しました。

森川さんは、7月31日(日)14時~放送の『ザ・ノンフィクション「ありのままでいいじゃない ~いしいさん家の人々~前編」』(フジテレビ/関東ローカル)の“語り”を担当。

※後編は、8月7日(日)14時~放送。森川さんが“語り”を務めます。

認知症や統合失調症などを患い、家族やほかの施設の手におえない利用者を“ありのまま”受け入れ、お世話する「いしいさん家」の物語です。

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暴言を吐こうと、暴れようと、どんな人でも受け入れる“家”

千葉県にある「いしいさん家」は、認知症や統合失調症などの利用者を預かる介護施設。ここには、暴力・暴言といった問題行動を理由に、ほかの施設から“お断り”された人たちが集まっています。自宅での介護も難しいため、家族にとっては“駆け込み寺的存在”です。

この施設を運営するのは石井英寿さん(47)。既存の介護施設のありかたに疑問を感じ、「誰もがありのままに過ごせる場所を」との理想を掲げ、16年前に立ち上げました。

車椅子を押す「いしいさん家」の石井英寿さん 車いすを押す石井さん

そんな施設にいる認知症の女性(73)の口癖は「バカ野郎」。何が気にいらないのか、いつもご機嫌ななめで、スタッフを叩いたり、引っかいたりと問題行動が止まりません。統合失調症の男性(46)は、人に話を聞いてもらえないとストレスを溜めてしまうという特性の持ち主。ストレスが頂点に達すると、感情を抑えきれず、怒りを爆発させます。

「いしいさん家」の石井さんと利用者のたまえさん 石井さんと利用者の女性

そんな“ワケありな人々”に対して、石井さんとスタッフは、彼らの個性を尊重しながら、ユーモアあふれる接し方で介護してきました。

ところがある日、ふとしたことがきっかけで、男性が“事件”を起こします。同時に、ほかの人々の問題行動も激しさを増し、スタッフから不満の声が上がり始め、施設は危機的状況に追い込まれることに。

「どんな人でも受け入れる」という理想は崩れてしまうのでしょうか。社会に居場所をなくした人々と、彼らを懸命に支える人々の1年にカメラが迫りました。

フジテレビュー!!では、ナレーション収録を終えた森川さんにインタビュー。「いしいさん家」の印象、石井さんに対して感じたことなどを聞きました。

森川葵 インタビュー>

『ザ・ノンフィクション』の語りを担当する森川葵

――ナレーション収録はいかがでしたか?

ザ・ノンフィクション』のナレーションは、過去に二度ほどやらせていただいたことがありますが、前後編というのは今回が初めてでした。

ナレーションの仕事はそれほど経験があるわけではないですが、とても好きな仕事のひとつなので、長い時間をかけて読めるのがうれしかった半面、やっぱり長いは長いで、大変ではありました。

――入居者の“ありのまま”を受け入れて介護する「いしいさん家」には、どんな印象を持ちましたか?

まず、ありのままでいい、という言葉がとても素敵で、どの介護施設でもそうだったらいいのにな、と感じました。

例えばこの先、自分の親がお世話になるとしても、あんなふうにそのままを受け入れて接してくださるようなところがいいな、と思いました。

それでも言葉で言うのは簡単だけど、現実はそう甘くはない、ということもよくわかりました。ほかの施設では受け入れてもらえないような方々を受け入れるのですから、介護する方の負担も増えて、人手はいくらいても足りなくなってしまう…。

理想と現実が成立しないこともあって、読んでいても、もどかしい気持ちになることもありました。

――その中心にいる石井さんは、どう映りましたか?

すごいですよね。大手の介護施設で働いていたときに感じたことや経験をいかして、自身が思う、よりよい介護を目指して施設を起こしていくという。

介護業界の異端児として、この番組もそうですし、メディアでも取り上げられていても、(そこに甘んじるのではなく)自分が現場で一番背負っている。それをできる人ってなかなかいないのではないかと思いました。

石井さんもすごい方ですが、奥さまや一緒に働いているスタッフのみなさんもすごい。お互いに助け合っていますし、辞めてしまったスタッフさんも愛情があるから石井さんに助言して、石井さんもそれで気づくことがあったり、吸収することがあったりして。

石井さん自身も愛にあふれていますし、いろいろな方々の愛情を受けて今の石井さんという人ができあがっているのかな、と感じました。

――愛情を感じた回でしたか?

どんな人でも相手を突き放したくなる瞬間って、あると思うんです。でも、統合失調症の男性の奥さまがおっしゃっていたように、人には悪い部分だけじゃなくて、絶対に素晴らしいところがあるのだという。

それがすごく印象的で。人と接していて嫌になる瞬間があっても、それがその人のすべてではないから、いいところを見つけてあげる――ひとつの方向から見るのではなくて、別の角度から見て、いいところに気づいて、それを知るっていうのが、愛情なんだ、と思わされました。

<ナレーションの一部を先取り紹介>

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