12月10日(金)から35th Anniversary THE CONVOY SHOW vol.41『コンボ・イ・ランド』を上演しているエンターテインメント集団・THE CONVOY。
今回の公演は、過去に上演された作品を脚本・演出の今村ねずみが新たに脚色し、THE CONVOY SHOWの歴史を振り返るスペシャルな内容となっている。
さらに、今村ねずみ、瀬下尚人、石坂勇、舘形比呂一、トクナガクニハルのオリジナルメンバーに、本田礼生、伊藤壮太郎、佐久間雄生、加藤良輔、後藤健流、バーンズ勇気、帯金遼太、古賀雄大、山野光ら若手も加わり、総勢14名が参加している今回のステージ。
座談会前編では35周年を迎えた心境や長く続けることの秘訣を聞いたが、この後編では記念公演への期待や、若手が加入したことによる化学反応について尋ねた。
エンタメ界のレジェンド集団が結成35周年!「自分に未来を感じるからTHE CONVOYは走り続ける」

若手メンバーに「CONVOYの現場に来たときはすべて出しきって帰れ」と言っている
――2017年の公演から若手メンバーが「THE CONVOY SHOW」に加わりましたが、彼らが参加したことによる変化や影響などはありましたか?
今村:新しい風が入った瞬間から稽古場の雰囲気が変わったのは事実です。彼らから学ぶことも多かったし、自分たちが言ってあげられること、やってあげられることをセッションしていった。THE CONVOYをやるうえで、若手だろうがジジイだろうが関係ないというのがわかったことも発見でした。THE CONVOY SHOWはこのメンバーをイメージして書いてきたけれど、若手の参加で作品の許容範囲が広がったことも事実です。
若い子たちが自由に飛び跳ね、歌って踊っている姿を見て、かつて、自分たちががむしゃらだったころを思い出させてはくれたけど、俺たちのパフォーマンスはもっと野性的だった。なぜなんだろうね…。彼らにはこうなったらこうなるという方程式があって、答えの情報を早めに得ているのかな?
石坂:よく言えば自立している感じ?まだ若いのに一人一人が出来上がっていて、物足りなさを感じるんですよ。
今村:いろんな顔つき、体つきがあるのに、みんな似てるよな。

――現代の若い世代は「人と同じじゃないと怖い」という風潮があるようです。
今村:そういう存在じゃないと仕事がこないっていうこと?
石坂:仕事というか、人間的にこうあれみたいな教育が、戦後の日本に近いんだよね。日本ってそうだったじゃない。飛び出ると叩かれるし、下にいるとこき使われるから「中間層でいろ」みたいな。
今村:こういう場って唯一、正々堂々と吠えていい場所じゃない?そのへんを彼らの中で決めつけている感じがするよね。
石坂:自分の未来をある程度、決めてかかっているところがありますね。
今村:ワイルドなやつはワイルドなのかな…。
瀬下:飛びぬけていいこともなければ、悪いこともない。みんな平均点なんだよね。
今村:THE CONVOY SHOWに関しては、若い子が入っても最近の風潮に染まることはないです。ステージの中身はもちろん、パンフレットやチラシ作りにしてもそう。「時代錯誤ですよ」とか「ちょっとズレてるよ」と言われても、修正する気はありません。
話を戻すと、THE CONVOY SHOWに来る若い子たちにもっともっと個性があっていいと思っていて、「この現場に来たときはとにかく出しきって帰れ」と言っています。
ずっと応援してくれたファンには、100倍返しで喜んでもらえるステージに
――今回の公演に期待していることや意気込みを聞かせてください。
トクナガ:僕はTHE CONVOY SHOWに参加するようになって25年になるのですが、この年齢になって思うのは、シンプルに物事をとらえ、それをシンプルに表現することが一番大事だと。リーダーが僕を指名してくれたことを素直に受け止め、シンプルに表現したいと思っているので、一度すべてをリセットしてやりたいなって。
盛りだくさんの歴史の中で育んできたものは財産ですし、お客さんにとっては宝物だと思うんです。その宝物を新たにブラッシュアップして、お届けできたら最高ですね。

瀬下:35年間やってきたことが今回の台本に集大成として詰まっていて、それを表現できることがまず楽しみです。自分ではここがスタート、自分にはここしかないんだということを再確認して、今まで応援してくださったお客様に喜んでいただける作品をきっとお見せできると思いますので、期待してください。
舘形:今回の公演には35年の歴史の中のいろんなTHE CONVOYが詰め込まれていて、若いときの作品もあれば、年齢を重ねてからの作品もある。かつての自分が演じたシーンを、年月を経て再びそのシーンに身を置いたときにどういうことを感じるのか、どういうことを発見できるのか、そんなことを楽しみにしています。
35年間ずっと応援してくれたファンの人たちと心地よい旅をしながら、改めて幸せを感じられるような作品になるんじゃないかな。お客さんにとっても、僕自身にとっても、素敵な転換期になればいいですね。

石坂:若いメンバーには舞台上で僕たちの背中を見せなければいけませんし、そこは威張りながら言うのではなく、「THE CONVOYってこれだけカッコいいんだぜ。わかる?男の子のカッコよさってこういうことだよ」と提示したい。確かに年はとったし、テクニックも衰えているかもしれないけれど、お客さんに対しても「まだ未来に向かって歩いている僕らってカッコいいでしょ」とプレゼンもできる。
お客さんより高いところから「ありがとうございました」なんて言うのは慇懃無礼なことだけど、それをできるのが演劇の醍醐味でもあると思うんですよ。いろんな演劇ユニットがいるけれど、「申し訳ないけど、俺たちが一番カッコいい」という気持ちでやりたいと思っていますし、できるという自信に満ちあふれています。だって1人じゃないし、仲間がいますから。
今村:今回の公演は、自分たちの足跡や、歩んできた道を振り返ったとき、思い出にひたるのではなく、それを力に変えてまた歩き出せるようなものにしたい、そう感じてもらいたいと思って制作を決めました。ずっとCONVOYを応援してくれたお客さんがこの公演を観て、「あの時のあれだ」と共に感じてもらえる瞬間をたくさん詰め込もうと思っています。
今のCONVOYがやるとこうなるんだというもの、とにかく自分がやりたいことを詰め込みましたので、長く応援してくださったお客さんには100倍返しで喜んでいただける作品に、初めて観るお客さんには「こんなオッサンたちがいたんだ」と、CONVOYワールドを存分に楽しんでいただきたいです。

最新情報は、35th Anniversary THE CONVOY SHOW vol.41『コンボ・イ・ランド』公式サイトまで。
撮影:河井彩美