磯村勇斗、料理にドラム、アクションシーンも自分で。作品きっかけでサウナにもハマり「人生が変わった」

公開: 更新: テレ朝POST

2015年、『仮面ライダーゴースト』(テレビ朝日系)で仮面ライダーネクロムに変身するアラン役を演じて注目を集めた磯村勇斗さん。

同作品のスピンオフオリジナルビデオ『仮面ライダーゴースト アラン英雄伝』で初主演。2017年には連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)に有村架純さん演じるヒロインの夫となるヒデさん(前田秀俊)役で出演。2018年には『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で極悪非道のツッパリ・相良役を怪演。

さわやかな好青年から見るからにやばそうなワルまで幅広い役柄を演じ分けて話題に。

 

◆仮面ライダーの金髪をタオルで隠して朝ドラオーディションに

磯村さんは、オーディションで連続テレビ小説『ひよっこ』に出演することに。ヒロインに思いを寄せ、後に結婚相手となるヒデさん(前田秀俊)を好演し、老若男女の人気を集める。

「『仮面ライダーゴースト』の撮影の終わりぐらいに『ひよっこ』のオーディションがあって受けたという感じです」

-自信はありました?-

「いいえ、なかったです。髪もアランのヘアスタイルで行っていたので(笑)」

-半分金髪のままで?-

「そうです。台本も事前にいただいているので、『これは時代的にも絶対合わないよな』って思いながらも、朝ドラはやっぱりやりたかったので、何とか金髪がわからないようにタオルみたいなのを巻いたりして行って、『やりたいです!』という気持ち、意思はすごい伝えていました。決まったと聞いたときは本当にうれしかったです」

-決まったと知らされたときは、役柄についてどの程度聞かされていたのですか-

「東京編で出てくるということと、後にみね子(有村架純)が働きにくる洋食屋の若いコックさんということくらいです」

-後にみね子の恋人になるということは?-

「最初は聞いていなかったです。そのことを知ったのは、半分以上撮影が進んでから、台本をいただいて知ったという感じです」

-ヒデさんは、みね子の元カレで友人の島谷(竹内涼真)に告げてから交際を申し込むという、筋の通った男。ステキな役でしたね-

「そうですね。岡田(惠和・脚本家)さんの描く温かい青年の役を演じさせてもらって、すごくうれしかったです」

-料理のシーンは吹き替えなしで全部ご自身でやられたそうですね-

「はい。もともと料理はしていたというのもありますし、せっかく料理をするコックの役であれば、吹き替えではなく、ちゃんと自分でやっていたほうが、いろいろと画も撮りやすいだろうなと思って、『なるべく自分でやりたいです』と言って教えていただきました。

やっぱりプロの調味料の振り方みたいなのはわからないので、そういうところを料理指導の方に教えていただいたりして、一個一個身につけていきました」

-プロの方にいろいろ教わったりしてさらに料理の腕というか、幅は広がりました?-

「調理器具みたいなものは、プロが使うようなものが増えましたね(笑)。それまで鉄のフライパンは持っていなかったんですけど、洋食屋では鉄のフライパンが必要なので買いました。

包丁もステンレスのではなく、鋼(はがね)の包丁を自分で持って料理をすると、感覚が違うというか、『料理したなあ』という感じがあったりするので、だいぶ変わりました。料理に対するアプローチの仕方も含めて」

-今は多忙で料理を作っている時間などないのでは?-

「毎日ではないですけどちゃんと作っています。何か食べたいものがあったときに自分で作るほうが早かったりするので。栄養のバランスもしっかり取れるし、作っています」

2017年には『ひよっこ』より前に撮影された映画『覆面系ノイズ』(三木康一郎監督)も公開。磯村さんは覆面バンドのドラマー・黒瀬歩役を演じるにあたり、ドラムに初挑戦。約3カ月間猛練習して撮影に臨んだという。

-ドラムは今もできますか?-

「いいえ、今はもう忘れているんじゃないかな。ドラムはあのときが初めてだったので、猛練習してやりましたけど、基本、劇中で叩(たた)く楽曲に合わせて練習をしてきたので、ほぼ基礎がないんですよね(笑)。だから、グジャグジャになっちゃいそうな気がします」

-スクリーンではとても画になっていましたー

「ありがとうございます。とにかく叩けるようにならなきゃということで必死でした。バンドメンバーみんな頭を抱えながら練習していました。だから、無事に撮り終わったときには、『終わったー』ってビールを飲んだ後のような感覚でした(笑)」

 

◆さわやかな好青年から極悪非道のツッパリに

2018年、磯村さんは『今日から俺は!!』に極悪非道な“ワル”相良猛役で出演。見るからにやばそうな雰囲気でまるで別人のような姿に驚かされた。

「眉も潰しているし、髪型も金髪でオールバックですからね(笑)」

-相良役をオファーされたときはいかがでした?-

「すごいおもしろかったです。男ってああいうドラマは好きなので、それをあのタイミングでやらせてもらえたのもよかったです。『ひよっこ』の後だったので、好青年から一気に狂犬に変わっていくというのは、すごくいいアプローチができたのではないかなって感じています」

-磯村さんは高校時代、演劇を一生懸命やっていたと思いますが、劇中登場するような高校生は?-

「僕らのときは、もうツッパリとかはいない時代で、いわゆる不良ですよね。不良の時代だったので、劇中のツッパリはちょっとキャラっぽさがあるというか、ファンタジーだと思っているんですよ。僕にとってツッパリたちというのは、実際には見たことがないので。でも、ああやって撮影でやってみると、『ツッパリは実際にいたんだなあ』って思いました」

-同世代の俳優さんたちがたくさん出演されていて、それも皆さんクセのある役柄でしたけど、現場はどうでした?-

「和気あいあいとしていい感じでした。劇中では殴り合ったりしていましたけど、福田(雄一・脚本/監督)組というのもあって、笑えるシーンも多かったので、みんなすごく仲良くやっていました」

-アクションシーンも多かったですね-

「はい。アクションシーンは僕が好きなので、毎回楽しみにしていました。非常に派手にやらせてもらえたので、気持ちよかったです」

-あれだけの人数が取っ組み合っているシーンは壮観でした。映画にもなりましたね-

「うれしかったです。最初映画化は言われてなかったんですけど、ドラマが人気で勢いもあったので、映画化になるかもしれないとはなんとなく思っていました。だから、あまりびっくりはしなかったかな」

-映画もお客さんが入ってヒットしましたね-

「そうですね。よかったです。それまでわりとさわやかな役が多かったので、相良という卑劣で恐怖を感じさせるキャラクターを演じさせていただいて、俳優として非常にいいターニングポイントになった作品だと思っています」

 

◆テレビドラマがきっかけで無類のサウナ好きに

芸能界でもサウナ好きとして知られている磯村さんだが、そのきっかけとなったのが、2019年に放送されたドラマ『サ道』(テレビ東京系)。

これは原田泰造さん演じる主人公・ナカタアツロウがさまざまなサウナを訪れ、その施設の特徴や感想を語りつつ、「ととのう」(サウナ入浴後の多幸感)までの様子を描いたドラマ。磯村さんはサウナの常連客“イケメン蒸し男”役で出演。同じく常連客の三宅弘城さん演じる“偶然さん”と3人で毎回交わすユニークな会話も話題に。

「僕がサウナを好きになったのは、『サ道』がきっかけでした。最初は『おもしろいことをやろうとしているなあ』と思って、そういうのが好きなので『やりましょうか』ってなったんですけど、そこから僕はサウナにハマっていき『サウナ道』を磨くことになりました。

だから僕にとっては人生を変える作品。こんなにもサウナが自分にハマると思わなかったし、それが自分のもつ番組『サウナーーーズ ~磯村勇斗とサウナを愛する男たち~』(WOWOW)につながっていったということは、本当にこのサ道がなければあり得なかったことなので、今でも大切な作品になっています」

-最初は水風呂が苦手だったとおっしゃっていましたね-

「そうです。水風呂が苦手でした。それが今では普通に入れるようになって、大好きになりました」

-『サ道』があって、『サウナーーーズ ~磯村勇斗とサウナを愛する男たち~』ができて、サウナ発祥の地フィンランドでロケも-

「そうです。ビックリしました。『こんな風につながるんだ。サウナを好きになってよかったなあ』って思いました(笑)。その当時僕はまだサウナに対して新人だったので、『僕が本場フィンランドに行っていいのか?』っていう驚きもありましたけど」

-いろんなサウナに行かれていて、とても楽しそうでしたね-

「そうですね。フィンランドは5日間ぐらいのロケだったんですけど、とてもいい経験をさせていただきました」

-水風呂は極寒の湖で-

「そうです。ほぼ0度だったり、シングルといわれる1度とか2度の世界の水だったので、それはすごかったです。新人の僕にとっては、結構ハードな入り方を最初からしました。

だけど、あれがあってよかったかなと。帰ってきてから『日本の水風呂はちょろいな』って思ってしまうぐらいだったので(笑)。それがすごく水風呂にハマるきっかけにもなりました。

フィンランドに行ってなかったら、『ワーッ、水風呂冷たい。どうしよう?』ってなったかもしれないですけど、フィンランドでいきなり意味もわからないくらいの冷たさに入ったので、日本の水風呂にスッと入れるようになったのは大きかったですね」

-フィンランドでは『痛い!痛い!』って言っていましたものね-

「そうです。冷たいというより痛いという感覚ですね。痛かったです。地元の方たちはすごい。普通のおばちゃんも入って、ずっと泳いでいますからね。すごいですよ」

-フィンランドで購入されていたお帽子可愛いですね-

「サウナハットですよね。可愛いのが多かったです。ちょっといいなと思ったものとお土産用にはいくつか買いました。

本場の人たちがそんなにかぶっているかといったら、そんなにはいないんですけど、日本では結構サウナハットが流行(はや)っているので。今、いろんな形のサウナハットが出ていて、すごいブームになっているなあという感じはします」

-実際にかぶってらっしゃる方は多いですか-

「わりといますね。『あの施設のサウナハットだなあ』とか、『これはどこのサウナハットなんだろう?』って思うようなおもしろいサウナハットをかぶっている人もいたりします。まだたくさんはいないですけど、出会えるとうれしくなります」

-磯村さんはいくつぐらい持っているのですか-

「僕は多分15個ぐらいは持っていますよ。コレクションしています」

-コロナ禍の中『サ道2021』も作られました-

「はい。やっぱりコロナ禍だからこそだと思うんですよね。コロナ禍だからこそ、サウナはどうあるべきかということを伝えたかった。それで作ったんだと思います。いろんな情報が錯綜(さくそう)していた時期だと思うので」

-磯村さんは「エレガンス磯村」という熱波師ネームもお持ちだとか-

「はい、持っています。熱波師ネームは自分でつける人もいますし、そういう師匠からお名前をいただく場合もあるんです。

北海道に『ニコーリフレ』というサウナ施設があるんですけど、僕はそこの『エレガント渡会(わたらい)』さんという熱波師の方から『エレガンス磯村』という名前をいただきました。熱波をやるのであれば熱波師ネームがあったほうがおもしろいかなあと思って」

-その方に熱波のやり方も教わって?-

「はい、教わりました。だからちゃんと熱波を送ることができますよ(笑)」

次々と話題作出演が続く超多忙な毎日だが、ストレスと疲れを落としてリセットするためにサウナには行っているそう。

次回後編では『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、『恋する母たち』(TBS系)、映画『前科者』(岸善幸監督)などの撮影エピソード、監督として参加したWOWOW開局30周年プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」の短編映画『機械仕掛けの君』、2022年7月8日(金)に公開される初主演映画『ビリーバーズ』も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:佐藤友勝(サトウトモカツ)
スタイリスト:齋藤良介(サイトウリョウスケ)

©山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会

※映画『ビリーバーズ』
2022年7月8日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
配給:クロックワークス、SPOTTED PRODUCTIONS
監督:城定秀夫
出演:磯村勇斗 北村優衣 宇野祥平 毎熊克哉ほか
宗教的な団体「ニコニコ人生センター」に所属しているオペレーター(磯村勇斗)、副議長(北村優衣)、議長(宇野祥平)の3人は、無人島での共同生活を送っていた。3人は瞑想、夢の報告、テレパシーの実験…本部からメールで送られて来る不可解な指令“孤島のプログラム”を実行していたが…。

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