鈴木仁さんが主演を務めるドラマ『ギヴン』が、フジテレビが運営する動画配信サービス・FODで7月17日(土)から配信されます。
原作は、4人のロックバンドのメンバーたちを中心に、彼らの恋愛や成長を繊細に描くキヅナツキのBL漫画。ギターの上ノ山立夏を鈴木さん、ギター&ボーカルの佐藤真冬を今作が連続ドラマ初挑戦のさなりさん、ドラムの梶秋彦を井之脇海さん、ベースの中山春樹を栁俊太郎さんが演じます。「居心地がいい」とすっかり気の置けない関係になった4人に、じっくりと撮影を振り返ってもらいました。
――BL作品ということで、クランクイン前に意識したことはありましたか?
鈴木:僕は、そこまで意識したっていうことはないですね。BLというよりも、“好き”という感情を表に出さず、ずっと心の中で思い続ける役だったので、そこを強く意識していました。
さなり:たしかに、僕も同じ思いかもしれません。「あ、そっか、BLだったやん」みたいな。でも、演じるときに不思議な気持ちではありましたね。立夏のことが好きなんだ……俺、って。
栁:僕はBLということより、青春恋愛系のような作品をあまりやったことがなかったので、「キュンキュンするようなことができるかな?」という不安がありました(笑)。難しかったですし、映像を見るまではまだわからないですね。
井之脇:僕も抵抗はなかったです。ただ、僕は今まで女性のことを好きになってきたので、「男性を好きになる気持ちを、自分がどう感じ取れるのかな」という不安があったし、挑戦だなと思いました。でも、栁さんが素敵だったので、秋彦として恋ができました。
――キャストのお名前を聞いた時のお気持ちは?
鈴木:(栁を見ながら、「MEN'S NON-NO」モデルの)先輩がいたので……。映像でご一緒するのは初めてですよね?
栁:うん、そうだね。
鈴木:モデルという場所から、一緒に新しいところに行けることが楽しみでした。あとは、僕が好きになる真冬役のさなりが初めての連ドラだったので、引っ張っていくわけではないけれど、関係性を自分からも見せていかないといけないな、というのはすごくありました。楽しみながら、今後にも繋げられるように、って。海くんとは、個人的に共演してみたかったんです。なので、最初に聞いた時は「おっ! やってくれるんですね!!」って、嬉しかったです(笑)。
井之脇:あら、ありがとうございます(笑)。
栁:仁とは一緒にモデルをやっていますし、もともと役者をやっているのは知っていたので、まぁそんなに違わないかなと。単純に、楽しそうだなと思いました。さなりくんは“音楽の人”というイメージがあったので、新鮮な芝居を間近で感じられることが嬉しかったですし、海くんは、役者として一緒にお芝居できることが本当に楽しみでした。
井之脇:仁くんは、原作にぴったりだなっていう印象がありました。どのシーンも立夏としてそこに存在していたので、すごく助けられました。さなりくんは、お芝居がほぼ初めてなのに、現場でどっしりと構えていて。ちゃんと自分のペースで現場にいて、肝が据わってるんだな、と思いましたね。栁さんは、いろいろな作品で拝見してきたので、今回共演できることが本当に楽しみでした。特に秋彦と春樹は密接な関係なので、一緒に現場で話し合いながらお芝居できて楽しかったです。
――さなりさんは、今作で連続ドラマに初挑戦。先輩方に囲まれて、プレッシャーもあったのでは?
さなり:最初は不安で、どうすればいいんだろう? って(苦笑)。でも、みなさん優しくて、すごくリードしてくれて、やりやすかったです。
――なかでも、心に残っている声がけなどはありますか?
さなり:仁くんのチュウが……。
鈴木:ちょっと、なになになに(笑)。
さなり:いや、仁くんのチュウが本当に優しかった。
鈴木:なんだよ、それ(笑)。
栁:めっちゃ褒め言葉じゃん。
さなり:キスの仕方がすごく綺麗だったんです。こんなキスができるなんて、すごいなと思いました。
栁:どんな味がした?
さなり:甘くて優しくて、甘美なキスをいただきました(笑)。
鈴木:こういう話ができるのも、ちょっと不思議ですよね。男同士だから言えるというか……。「なんでこのタイミングで言ったの?」とは思うけど(笑)、褒めていただけてよかったです。
――三木康一郎監督の演出で、印象的だったことを聞かせてください。
栁:三木さんとは何回かご一緒させてもらっているんですけど、印象としては「画角の中で感情を出せ」と言う人。「こういう感情だから、こう動きたいんです」っていうのがあまり通用しないので、技術的な勉強になる方だと思います。カメラやライティングがこっちだから、こういう向きで演じるとか、すごく勉強になりました。
井之脇:監督は、「一個一個ね」という言葉をみんなにかけてくれてくれました。「たとえ間延びしてでも、一個一個、気持ちが動いてから言葉が出るように丁寧にやってくれ」とおっしゃっていたので、そこは意識していました。画角の制限はある中でも、丁寧に一つひとつ、それぞれの関係性を見せることができたんじゃないかなと思います。
――撮影中、大変だったことはありましたか?
鈴木:やっぱり楽器は苦労したよね?
3人:うん。
鈴木:練習できる機会が4回くらいしかなくて、結構ギリギリでしたね。曲が撮影中の現場に届くような感じだったので、音楽指導の方に手元の動画を送ってもらって、まずはそれを見て「どうなってるんだ、これ!?」と思いながら練習して。その後、実際に教えてもらいました。
――かなりハードなスケジュールだったんですね。
鈴木:だから、半分勢いで弾いているというか、勢いで手を動かしている部分もいっぱいあります。でも、それがライブシーンでは迫力になっていると思うし、実際、ノリとか勢いって大切だと思うんですよ。そこが作品に繋がったので、よかったなと思っています。
――楽器以外で、何か苦労したようなことはありますか?
鈴木:僕、栁さんが演じる春樹を見るのが楽しみだったんですよね。あまりイメージになかったので。
栁:あ、そう?
鈴木:どちらかと言うと、秋彦なのかなって。
栁:たしかに、こんなに喋る役はあまりないかも。ムードメーカーのおちゃらけキャラで、こういう役は初めてでした。苦労したというか、楽しく演じさせてもらいましたね。
さなり:春樹と真冬が初対面の時に、春樹が「誰? お前」って言うんですよ。でも、その時、栁くんにも会ったばかりだったので、自分が「誰? お前」と言われた気がしてビックリして。「ハッッ! さなりですっ!!」みたいな(笑)。ちょっとドキッとしました。
栁:ははは(笑)。でも、本当に最初のほうだったもんね。読み合わせで一回会っただけだったから。
さなり:迫力がすごかったです。本当に言われている気になりました。
――撮影を経て、あらためて作品の魅力はどこに感じますか?
鈴木:『ギヴン』は、バンドが基準となって成り立っていく話なんですけど、世代がバラバラなところが面白い部分だと思っています。ギターとボーカルが高校生で、周りを支えてくれるのがちょっと年上の先輩たち、というチーム感がおもしろいですよね。
さなり:僕が演じる真冬は、感情を表に出すタイプではなくて。でも、音楽にだけは力を持っていて、歌声に感情が乗っていたり、ライブでいきなり上手なパフォーマンスができちゃたり。真冬を見ていると共感できるし、魅力的だなと思います。
――ありがとうございます。では最後に、一言ずつ視聴者へメッセージをお願いします。
井之脇:やっぱりバンドの演奏シーンがひとつの目玉ではあると思うんですけど、ただ演奏するだけじゃなくて、「僕たち4人の関係が見える演奏にしよう」と心がけていました。そういうところが音楽のシーンにはちゃんと出ていると思うので、注目して見てほしいです。
栁:演奏シーンは頑張ったので見てほしいですし、人間関係が結構複雑なので、繊細な部分も見ていただけたら。ピュアなところがみんなそれぞれ出ているので、その苦悩だったり、可愛さだったりに注目してほしいなと思います。
さなり:僕はずっと一人で音楽をやってきたけど、バンドみたいにみんなで一緒に音楽をやって、ライブもやるっていうことに憧れがなかったわけではないんです。だから、みんなが楽器を演奏して自分は歌を歌っているような、一体となっている姿を見てほしいなと思います。
鈴木:このドラマにはそれぞれ一対一の芝居があると思っています。登場人物たちの一対一の繋がりも見えると思うので、そういった部分も楽しんでもらえたらいいなと思っています。
(取材・撮影:nakamura omame)