ヴィッセル神戸・立花社長が考える「今、Jリーグクラブができる事」

立花陽三(ヴィッセル神戸社長)
立花陽三(ヴィッセル神戸社長)

Jリーグ、ヴィッセル神戸の立花陽三社長が、10月10日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。変革する神戸のクラブ経営に迫った。

2017年に神戸の社長に就任し、アンドレス・イニエスタダビド・ビジャなど世界的なビッグネームを次々と獲得。2019シーズンの営業収益はJリーグ史上最高の114億円を叩き出し、天皇杯では悲願の初タイトルを獲得。日本のビッグクラブへと着実に進化させてきた。

近年の神戸について、番組アナリストの都並敏史は「効果的な補強を繰り返して、強く大きく華やかになっている」と語り、スペシャルアナリストの日向坂46影山優佳はダイナミックプライシングを例に挙げ「先陣を切って新しいことに取り組んでいる」と印象を語った。

実際、ダイナミックプライシングのほかにも、ハイブリット芝やキャッシュレスの導入など新たな施策を次々と打ち出してきた立花。実は異色の経歴の持ち主で、外資系証券マンとして活躍後、2012年にプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの社長に就任。経営、強化の両面で手腕を発揮し、2013年に球団初のパ・リーグ優勝、日本シリーズ制覇を成し遂げた。そして2017年、Jリーグ・ヴィッセル神戸の社長に就任。兼任社長として多忙な日々を送っている。

そんな立花が神戸で目指すのは「世界に通用するビッグクラブ」。その手始めが世界的ビッグネームの獲得だったが、イニエスタの推定年俸33億円という大きな投資に対して賛否両論があったという。しかし、実際に世界最高峰のプレーヤーに対する観客の反応は想像以上だった。「本物を連れてきて本物を見せれば、それが高くても皆さんは観に来てくれると証明できた」と振り返りつつ、一方で「ちょっと高すぎましたけど(笑)」と本音ものぞかせていた。

異業種出身ならではのフラットな視点でクラブ経営に関わる立花。しかし、だからこそ実感するスポーツビジネスの難しさもあるという。それがファン・サポーターや地域との関係。「100%我々のお金でクラブを買って経営したとしてもファン・サポーターのモノでもあり、もっと言うとみんなのモノでもある。これは一般企業と異なる部分」と述べ、さらにチームの勝敗に経営が左右される点にも難しさがあるという。

そこで神戸が掲げたのは、試合の主導権を握るプレースタイル。それが結果となって表れたのが今年の天皇杯決勝で、常勝軍団鹿島アントラーズを倒し悲願のクラブ初タイトルに輝いた。ゲームを支配する強さを追い求めたことで人気も上昇。2019シーズンの営業収入はJリーグ史上最高の114億円に達した。

しかし、更なる躍進が期待された2020シーズン。新型コロナウイルスによってすべてが崩れ去った。プロスポーツクラブがまず考えるのはスタジアムを満員にすること。しかし、コロナ禍においてはこれを目指すことができない。そこで、クラブとして何をすればいいのか。新たなビジネスモデルを作るために立花は動き出した。

9月26日、普段は決して見られない試合前の選手の姿を見ることができるオンライン配信サービスとして特別チケット「自宅で!バックステージパス」を販売。元所属選手の荻晃太らがMCを務め、選手だったからこそ語ることの出来る秘蔵トークが披露された。さらに、スタジアムの試合後の特設ブースとオンラインでつながれる「1day VIP DX」のチケットも10万円からと高額にもかかわらず人気を集めている。ここには試合を終えたばかりの選手たちが登場し、思い思いの会話を楽しむことができる。さらに試合で使ったボールにスタメン選手たちがサインを入れてプレゼント。その模様も映されるなどファンにはたまらない内容となっている。立花は「ファンの方々が知りたいだろうと思うことはたくさんあるのですが、出せていないものが多く、そこにビジネスチャンスはあるのだろうと思っています」と語った。

そして、新型コロナ禍によってチケット収入は激減し、放映権しか入ってこない。スポンサーの継続もわからない。「我々のクラブはほとんどのスポンサーが残っていただけたのでありがたいですが、そこで我々に何ができるのか。例えば、無観客の中で空いたスペースに広告を出して露出を増やすなど、こういう時こそお客様のニーズを捉えないと満足度が上がらない」と語り、やれることは何でもやっていこうという考えのもとに、選手がスポンサーの商品を実際に試してみる動画なども公開している。

そして立花は「現状でどうやって売り上げを取っていけるかを考えなくてはいけない。これは2021年や2022年ではなくて、2030年や2040年を見据えてやっていかないと難しいと思います」と語り、「Jリーグのポテンシャルはとんでもない価値だと思う。これだけ綺麗で安全でご飯がおいしくてファンも素晴らしい。この魅力あるJリーグをどうやったら世界でトップに持っていけるかがこの数年の課題です。この数か月、コロナで前を向いた大きなビジョンの話は出来ていない。これから次の25年でJリーグはどこへ向かうのか。どうしたいのかを我々クラブ経営者とJリーグが一緒に歩んでいくべき道なのではないかと思います」と語り、影山は「今の時代の中でどうしても下を向きがちだったのですが、トップに立たれる方が前を向いていることを知れて、クラブやJリーグをもっともっと前向きにできるように私たちも前を向かないといけないと思いました」と感銘を受けていた。

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