井浦新、阪神淡路大震災実話ドラマで主演『BRIDGE』野村周平、葵わかならもキーマンに

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阪神・淡路大震災後、六甲道駅をわずか74日間で復旧させた人々の物語を描いたカンテレ開局60周年特別ドラマ『BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸』(カンテレ・フジテレビ系)が、2019年1月15日(火)21時から放送されることがわかった。主演を井浦新、そのほか、野村周平葵わかな椎名桔平ら豪華キャストが出演する。

1995年1月17日午前5時46分、未曽有の大震災が関西を襲った。6000人を超える犠牲者を出した阪神・淡路大震災。圧倒的な自然の力は、容赦なく人々の命を奪い、生活を破壊した。神戸の街は、一瞬にしてがれきの山と化し、交通は分断され、陸の孤島となった。中でも線路ごと崩落するなど被害の大きかったJR六甲道駅。一刻も早く鉄道を復旧させ、人と物資を運ばなければならない。そんな過酷な状況のなか、倒壊した駅をわずか74日間で復旧させた人々がいた――。

井浦が演じるのは、震災直後、JRからの依頼により、倒壊した六甲道駅の復旧工事を担う建設会社・磐巻(いわまき)組の工事所長・高倉昭(たかくら・あきら)。その高倉とふいに出会い、突然工事の記録係を命じられ、ビデオカメラを回し続けた少年・春日豊を、野村が、六甲道で生まれ育った春日の幼馴染の女性を葵が演じる。そして時を経て、2018年秋、42歳になった春日は、このエピソードを現代の若者に語り継ぐ。語り部として重要な役割を担う春日を椎名が演じる。

実は、井浦が演じる高倉には、モデルになった実在の人物がいる。1995年1月、実際に六甲道駅を74日間で復旧させた工事を指揮した奥村組の岡本啓(おかもと・あきら)氏だ。岡本氏は当初、六甲道駅の惨状を目の当たりにして、この復旧には少なくとも1年、もしくはそれ以上の時間を要すると考えた。しかし、六甲道駅は、大阪から神戸へと東西を繋ぐ東海道本線の要所。ここを開通させなければ、人や物資を運べず、神戸は陸の孤島のまま。一刻も早く、電車が走る“日常”を取り戻さなければならない。非常事態の中、使命感に突き動かされた岡本氏は、仲間らと共に、この難工事を指揮し、見事にわずか74日間で電車を開通させた。

以下に、井浦のコメントを紹介する。

<井浦新 コメント>

――阪神・淡路大震災で崩壊した六甲道駅の復旧」という実話を元にしたドラマですが、高倉を演じるにあたっての心境をお聞かせください。

(阪神・淡路大震災が起こった時は)20歳で、甚大な災害が起きたときにどうするべきか、という知識も経験も全く持っていませんでした。あの時の自分はただただ未熟で、すぐに行動を起こすという手段も発想もなかったですね。実際に、(主人公・高倉のモデルになった)岡本さんにもお会いすることができ、その当時どんな心境だったのか、くやしさ、怒り、疲弊、気持ちの面を細かくお話を伺うこともできましたので、役作りへの大きな力になったと思います。

――高倉という役は、どんな男のイメージですか?

僕が思っていた以上に、このドラマの高倉という男は、強いリーダーシップを持ちながらも、人情がある。岡本さんも、いかに仲間を思い、この状況で皆をどうするかと、先を見据えて考えていらっしゃいました。そこは、高倉を演じていくうえで想像していたリーダーシップをはるかに超えていたので驚きました。他にも岡本さんは、ヒーローではなく、想像以上に人間で、例えば理不尽な要求には、しっかり怒りを持つ。でも、それを力に変えて、仕事への爆発力にしていくところにすごく惹かれました。非日常の中で、やったことのない工法を進める、強いリーダーシップを発揮しつつも様々な感情をあらわにする人間味豊な高倉でなくてはならないと感じました。

――今回の脚本には、たくさんの登場人物が存在し、それぞれのストーリーが重なり合っていますが、井浦さんご自身ではこのドラマをどう受け止めていますか?

これは台本をもらった最初の段階も、撮影が始まった今も変わっていませんが、復旧をした人たちがヒーローだというわけではなく、災害が起きたときに“そこにいる人たちがどう生きてきたか”を描くドラマだと思います。被災した人たちが絶望しても、次の日になればまた太陽が昇り、明日がくる。と同時に、その横ではコンクリートを粉々にし、撤去をしている人たちもいる。その混在した姿がこのドラマの神髄ではないかと感じています。

――視聴者の方へメッセージをお願いします。

阪神・淡路大震災から24年。震災を忘れないように、風化させないように、とも思いますが、一方で忘れたいという人もいると思います。でもこの物語は、記録ドキュメントではありませんし、あの日から必死で生きてきた人たちが、どうやってそこから頑張って生きてきたのか、ドラマを通して描き、24年たった今と復興のため動き始めた当時がつながっていくドラマだと思います。ドラマとしてしっかり震災と向き合いながら、そこで一生懸命生きる姿を描いている。地震の怖さや誰がどう頑張ったかだけではなく、そこで生きようとした皆を描いた、生命感にあふれたドラマだと思うので、そういうドラマをお届け出来たらと思っています。

<あらすじ>
1995年冬・神戸。阪神・淡路大震災は、数多くの命を奪い、人々の生活を容赦なく破壊。電気・ガス・水道、そして鉄道。インフラは寸断され、神戸は陸の孤島となった。中でも被害の大きかったJR六甲道駅は、線路ごと崩落し物資も届かない状態に。

そこに現れた一人の男・高倉昭。六甲道駅の復旧を担う建設会社・磐巻組の工事所長だ。通常2~3年かけて復旧させる規模の工事を、JRからの指示のもと、工期を大幅に短縮できる工法で復旧工事を進めることを決意。

そんな高倉と、ふと出会った一人の少年、春日豊。六甲道で生まれ育ち、ビデオカメラをぶら下げている春日を、高倉は工事の記録係に任命する。春日はある秘密を抱えていた。彼がいつも手にしているビデオカメラに記録されている幼い少女の姿。彼にとって大きな意味を持つ、その秘密とは……。

そして、2018年秋。神戸で阪神・淡路大震災の慰霊碑にスプレーで落書きをした少年の前に謎めいた男が現れる。23年後の春日だ。人を煙に巻くような態度で正体を明かさないまま、春日が少年に語ったのは、1995年の冬に見た、六甲道での物語だった――。