躍進のFC琉球、Jリーグ最年少社長が起こした「3つの改革」

躍進のFC琉球、Jリーグ最年少社長が起こした「3つの改革」

スポーツブランド“SFIDA”を運営する株式会社イミオ社長で、J3のFC琉球社長でもある倉林啓士郎が、8月18日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。サッカーに関する様々な取り組みについて語った。

パンダやウサギ、ライオン、ペンギン、トラなど、かわいい動物のデザインが特徴のミニサッカーボール「FOOTBALL ZOO」や、昨年行われた「EAFF E-1 サッカー選手権2017」の公式球になるなど、注目を集めるSFIDA。その始まりは、東京大学在学中に始めたサッカーボールビジネス。サッカーボールの生産量が世界シェア7割をほこりながらも、児童労働が問題になっているパキスタンにおいて、フェアトレードでサッカーボールの製造、販売をスタートさせた。

今回番組が取り上げた「FOOTBALL ZOO」は、柔らかい素材と子どもにも安全なインクを使いながらも、競技用と同じ製法で作られた本格仕様。子どもたちの親が「デザインがあるのとないのでは子どもの興味が違う」と語り、モダンアートの殿堂として知られるMoMAにも展示されるなど、このデザイン性は高く評価されている。倉林は「好きな動物を入り口にしてサッカーを始めたり、もっとサッカーを好きになってくれたりしたら嬉しい」と、このボールに込めた思いを明かした。

2016年12月には、Jリーグ最年少となる35歳でJ3のFC琉球社長に就任し、およそ1年で1億円あった赤字を半分に削減。近年J3の中位をさまよっていたチームも首位に立つなど大躍進を果たしている。一体どのようにしてこれらを実現したのか? そこには「3つの改革」がある。

1つは「財政面・クラブ認知度の改善」。クラブを盛り上げるには地元の盛り上がりは不可欠と考えた倉林は、週に数回、東京・沖縄間を移動し、宜野湾市のスポーツショップなどスポンサーをまわったり、年間60本以上のテレビ・ラジオに出演したり、あの手この手でクラブをアピール。社員には「クラブの伸びしろ、未来の部分の価値をしっかりと見てもらうことが営業として必要」と伝え、意識を改革した。その甲斐もあって、倉林の社長就任を機にサポート企業が56社から144社へ増加。スポーツショップ店長も「沖縄全体のサッカーを応援する熱が強くなったと感じている」と語り、実際に、平均観客動員は、2016年の1561人から、2018年は3140人へと倍増している。

2つ目の改革は「選手の環境」。沖縄という土地柄、アウェー戦はすべて飛行機移動が必要で、他クラブと比べてもコンディションの維持は難しい。そこで元日本オリンピック委員会強化スタッフという経歴を持つ三栖英揮フィジカルコーチを招聘。J3では珍しいフィジカルコーチを招くことで、長距離移動でかかる選手へのストレスを緩和しケガを防止することに成功。さらに、かつては7割がアマチュア契約でアルバイトをしながらプレーしていた選手たち全員とプロ契約を結び、サッカーに打ち込める環境を提供した。富樫佑太選手は「サッカーをやってお金をもらっているということで、観に来てくれたお客さんに恥ずかしいプレーはできないですし、自分の仕事に誇りや自信を持ってやらなくてはならないと考えるようになった」と、意識に変化があったことを打ち明けていた。

そして、3つ目の改革となるのが「スタジアム演出」。「金城さんと比嘉さんが入場料タダの日」など、地域の特色を生かした戦略で人を呼び、Jリーグマスコット総選挙でJ3の1位に輝いた公式マスコット・ジンベーニョがチアリーダーと一緒に軽快に踊るなどして、訪れた観客を楽しませている。さらに、倉林の思いに共感した人気バンドORANGE RANGEが応援ソングを担当し、スタジアムを盛り上げる。同バンドのHIROKIは「沖縄は離れているのでプロとして成立するのが難しい部分がある。それが自分たちの地元にチームが生まれたのはすごく嬉しい」と笑顔を見せる。一方で沖縄は、日本では南端に位置しているが、台湾、韓国、フィリピンなどに近く、東アジアの中心ともいえる場所。年間観光客960万人を誇る日本屈指の観光都市でもある。実際に、スタジアムには香港からの団体客が訪れており、倉林はここにも大きな可能性を見出していた。

さらにFC琉球はこの4月、Jリーグクラブとして初めて高校を開校。「FC琉球高等学院」と名付けられたこの学校は、スポンサーの専門学校が引っ越ししたところを居ぬきで借り上げた。倉林は「スポーツで育つ教育は重要。沖縄でスポーツ教育に挑戦したい」と語り、「将来的には、ここに通う生徒がFC琉球の選手になって、沖縄からプロの選手が増えると良いなと思っています」と話した。

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