小栗旬主演『信長協奏曲』45億円大ヒット!松山博昭監督の演出のヒミツ

小栗旬主演で、今年1月に公開され興行収入45億円を越える大ヒットを記録した映画『信長協奏曲』のBlu-ray&DVDが、7月20日(水)にリリースされる。このほど松山博昭監督にインタビューを行い、撮影や編集へのこだわり、撮影舞台裏エピソードなどを語っていただいた。

歴史オンチの高校生の・サブロー(小栗旬)が、突然、戦国時代にタイムスリップ。サブローがそこで出会った自分の顔とそっくりな本物の織田信長に、「自分と入れ替わって欲しい」と頼まれ、信長として天下統一を目指していく物語。

2014年に放送されたテレビシリーズでは、信長の妻・帰蝶(柴咲コウ)や家臣たちと絆を深めていく姿や、桶狭間、上洛、金ヶ崎、浅井朝倉との戦いが描かれ、映画では、その後に起こる本能寺の変などの様子が、映画ならではのスケールで紡がれていく。


<インタビュー>

――テレビ放送から約1年を経て映画が公開され、興行収入45億円を越える大ヒットとなりましたが、手応えはどこで感じましたか?

公開してからですね。これまでにテレビドラマを色々やってきて、ザワついている感じが耳に入ってくる時と、入って来ない時があります。正直、このドラマはそのざわつきがあまり伝わってこなくて、大丈夫かな? と思っていました(笑)今回やってみて、ドラマとしてザワつくものと、映画としてお客さんが足を運ぶものは違っていて、メディアの形による向き不向きや適正があるのだなとわかり、良い経験になりました。

――今回の映画化は、『信長協奏曲』プロジェクトの発足当初から発表されていましたが、ドラマと映画の物語はどのあたりまで決まっていたのですか?

元々の構想では、ドラマはサブローという人間が織田信長として生きて本能寺の変までを描き、映画では、その後に、サブローが明智として生きる数日間を描こうと思っていたんです。しかし、ドラシリーズで浅井長政との関係が面白く描けていたので、そこを連ドラの最終回のクライマックスに持っていくことになりました。ドラマ第1話での柳楽君の切腹と、最終回での長政の切腹。この二つの切腹を通じてサブローの成長を描く終わらせ方はあるなと。それが見えた時に、映画の方向性は決まったと思っています。

――そして、本作の撮影へと入っていったわけですが、映画としてスケールアップして、大変だったことはありますか?

合戦シーンや本能寺の撮影はもちろん大変でしたが、意外とイベントごとなので、“ワァー”っと勢いで進んでいくんですよ(笑) それよりもサブローと帰蝶の別れのシーンや本能寺の中のシーン、首を切られるシーン、最後のビデオレターのシーンなどで、どうやって芝居を切り取るかに力を注ぎました。

――どのようなところ意識されたのですか?

一番意識したのは、映画館のスクリーンサイズがあるからといって、引きの画に頼らないということです。劇場作品ではありますが、敢えてアップを多くして、表情で色々なことを伝えようとしました。現場でも「アップが多過ぎるのでは?」という意見もありましたが、合戦のシーンなどで、引いた迫力のある映像は撮れるという算段もあったので、そこは貫き通しました。

――テレビ放送と同じ16:9の劇場作品も多々ありますが、さらにワイドな画角を採用されましたよね?

本能寺や天王寺の戦いなどでダイナミズムを出すためですね。だからと言って、映画っぽくしようと気負い過ぎると逆に失敗するかもしれないと思っていました。テレビの時は、物理的に収まるようにしなくてはいけないので、いかに7日間で撮りきれるようにするかを考えて台本を作っていました。しかし映画の場合は、予算も時間も規模が違うので、そこの縛りを外して作れるので、必然的にテレビドラマとの違いが生まれると思っていました。

――この作品は、時代劇に現代要素が持ち込まれるのが特徴だと思います。それはストーリーだけでなく、エレクトロサウンドを使うなど演出面にも現れていると思います。

ドラマは、フジテレビの月9枠でやっていたので、メインターゲットとなる若い層は恐らく時代劇から一番遠いところにいる人たちですよね。もちろんキャスティングはターゲットにあった方々ですが、それだけでは厳しいのかなと。それで出来るだけ見やすく、テレビをつけた時の“時代劇へのアレルギー反応”を消せるものにしようという思い、作為的にやりました。また、調べていくと戦国時代の色彩感覚が思っていたよりも豊かで、そういう意味で、嘘にならない程度に衣装をカラフルにしたり、旗を過剰にしたり。そこにサブローが来てからは、彼の感覚で色々なものを変えていって、この作品の世界観を構築しました。

――松山監督と言えば、キャストの方々が言われているように、ギリギリまで粘る撮影スタイルが特徴だと思います。一番の核にしている、これだけは譲れないポイントを教えてください。

僕は台本がすべてだと思っていて、自分の演出や狙いはすべて台本に書き込み、その上で意見を聞いて修正します。なるべくきっちり台本を作って、いるものいらないものを自分の中で精査して、いらないものは可能な限りそぎ落としていく。残している部分は残すだけの理由があって、各シーンに “これ”というのが明確にあるんです。それがちゃんと映像として残っているか、そしてそれが、ご覧いただいたお客さんにしっかり伝わるようになっているかということかが一番の判断基準になっています。

――松山監督の演出は“間”が魅力的だなと思うのですが、何を意識して撮影されているのでしょうか?

無駄をそぎ落とすという部分に繋がるのですが、ダラダラするよりはコンパクトにしたいですよね。“リズム”と“間”というのはすごく大切だと思っていて、そこは自分の気持ちいいようにしていきます。こればかりは自分の感覚としか言いようがない部分になってきますが、最後の編集では1~2フレームを調整して、気持ちいいリズムになるように試行錯誤していきます。現場でも絶えず編集を意識して撮っていますし、ちょっと今の違うなと思った時も、この映像を撮っておけば編集でリズムが生まれるなどを考えて、撮影カットを増やすなどしています。それで撮影が長くなることもあるんですけどね(笑)

――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

この作品にはあるシンプルなテーマがこめられています。ぜひ、Blu-ray&DVDを手に取っていただき、何かしら感じてもらえたら幸いです。

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