松本清張の傑作『一年半待て』を菊川怜の“新たな視点”でドラマ化

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松本清張の傑作短篇『一年半待て』を、フジテレビがスペシャルドラマ化。菊川怜主演で、4月15日(金)21時から放送することが決定した。

物語は、弁護士・高森滝子(菊川怜)がある弁護依頼を受けることから始まる。いわゆるDVの被害を受けているという保険会社勧誘員の須村さと子(石田ひかり)が、ひとり息子のタカシ(鴇田蒼太郎)を守るため、無職の夫・要吉(渋川清彦)を殺害。女性の人権に関わる問題だと世間の注目を集め、滝子はさと子の弁護を引き受ける。裁判では懲役3年、執行猶予2年の判決を勝ち取ることに成功。正当防衛で無罪を主張し控訴することもできるが、さと子は「裁判は一事不再理ですよね」と問い、「タカシのことを考えると、これ以上、裁判を続けるのは辛い」と控訴しないことを決意する。こうして敏腕弁護士の名をほしいままにした滝子のもとに、ある日、おぞましい悲劇の始まりを告げる電話が鳴り響く……。

これまで10回以上ドラマ化され、歴代作の多くが“容疑者・さと子目線”で描かれてきたが、ジェームス三木が脚本を手がけた本作では、菊川が演じる“弁護士・滝子目線”で物語は展開。1982年の名取裕子主演「けものみち」、1983年の佐久間良子主演「波の塔」といった名作を生み出した“松本清張×ジェームス三木”の最強タッグによって、“新たな視点”で『一年半待て』の世界観が描かれていく。

菊川は、5作目となる松本清張作品への出演について「今まではどちらかというと、精いっぱいひたむきに犯人を追っていくというタイプだったのですが、今回は大人のいろいろな善悪を織り込まれているような部分があり、難しいですがやりがいのある役だと思いました」とコメント。そして、ドラマのみどころの一つとなる法廷シーンについては、「ある意味、法廷は“舞台”のように感じました」と語り、「演説ではなく弁論なのですけど、誰に向かって、何を聞かせ、どう訴えるのが効果的なのかを、監督と意見を交わしながら演じました。あまり強く言っても逆に軽く見えますし、サラっと言ったほうがいいのかなど、どうやって色を付けていくのがいいのか非常に難しかったです。また難しい言葉がたくさんあったので、滑舌には苦労しました」と撮影を振り返った。

また、松本清張作品の魅力については「根底に横たわる雰囲気というか、得体の知れない魅力というか、物語に引きずり込まれる部分が毎回すごくある」と語り、「微妙な心情の変化や欲とかは、誰しもどこかに持っているもので、誰にでも当てはまるものだと思います。そういうちょっとヌメッとうごめいているような、目に見えない空気の動きのようなものを味わっていただければ面白いと思います。この作品を通じて、やっぱり人生は割り切れないことだらけだと改めて感じさせられました。人間の本質的な部分をえぐり出し、ウソがないからこそストーリーに引き込まれると思います」と作品をアピールした。

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