『ポケットに冒険をつめこんで』ガルーラになるのはパパ!西野七瀬“まどか”が令和時代の板挟み男性を救う?

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『ポケットに冒険をつめこんで』ガルーラになるのはパパ!西野七瀬“まどか”が令和時代の板挟み男性を救う?

11月9日に放送された『ポケットに冒険をつめこんで』(テレビ東京系、毎週木曜24:30~)第4話のテーマポケモンはガルーラ。「また逃げられた!」そんな思い出がよみがえる人も多いだろう。第3話までで描かれた赤城まどか(西野七瀬)や小出優希(世古口凌)の成長物語とはややテイストが異なり、今回はポケモンを通じて、仕事と子育ての両立という現代社会のリアルな問題に触れる家族の物語だった。

ガルーラはメスしかいない、そんな時代は終わった!

第4話のテーマとなっているガルーラは、おなかの袋に子供を入れて育てるカンガルーモチーフのポケモン。カンガルーはおなかに袋を持っているのがメスだけのため、ゲーム内でもガルーラはメスしか出現しないという特徴があるが、今回、小薬一親(長谷川朝晴)は父でありながらガルーラになることを求められる。

本ドラマには、イメージポケモンが割り当てられている登場人物がいるが、ガルーラを女性にしなかったのは、明確な意図があるように思う。

働き方改革や男性の育休取得など、男女ともに働き、子育てをしやすい空気が整いつつあるのが令和の社会だ。しかし、小薬のような「承知いたしました」の一言で仕事をこなし、家庭も気にせずバリバリ働く父の背中を見て育つ時代はもう失われつつある。

実際、小薬の家庭は妻も時短勤務をする共働き家庭。しかし小薬が息子の週に1回のお迎えすら行けなかったことがきっかけで、妻は育児に協力的でない夫への不満が爆発してしまう。

さらに小薬は、自分の顔がぐしゃぐしゃに顔が塗りつぶされたショッキングな絵を見せられ、「上手く描けなくて諦めたんだって。あなたの顔が思い出せないってことよ。仕事優先するのも分かるけどさ、当番の日くらい迎えにいってあげてよ」と言われる始末。

母は家事・育児、父は仕事という完全分担制は、もはや当たり前ではない。仕事と家事・育児のすべてに父母が参加する新しい家族像を守るには、仕事の仕方を変えるしかないのだ。

ガルーラを男性キャラクターに当てたのは、同じような環境に置かれる中年世代への投げかけだったのではないだろうか。

情けないけど憎めないのが小薬という男

そうは言っても、数十年続けてきた働き方をいきなり変えるのは難しいこと。

翌日、明らかに様子がおかしい状態で出社した小薬は、渋りながらもまどかたちに事情を打ち明ける。そんな小薬の悩みをまどかは「なんでも人のお願い“承知”しちゃうからじゃないですか」と至極真っ当な意見でぶった切ってしまう。上京し、夢を叶えている真っ最中のまどかと、家族のためにも安定した仕事をしなくてはいけない小薬では、置かれている環境も考え方も違いすぎるが、まどかの指摘は直球過ぎた。

小薬もまどかの言葉で顔をしわくちゃに歪め、悲痛な面持ちで「だって無理ですよ。私、この会社に創業からいるので、仕事がなくなる恐怖がもう染みついちゃってて……」と泣きだしてしまう。まどかは心配より先にドン引きだ。情けない。情けないが、憎めない。それが小薬という男だと思う。

しかも、まどかたちの協力を得て動物園に行ったことで、これまで息子と出かけてこなかったことが浮き彫りになってしまうのだ。手を繋ごうとして不審がられたり、必死に暗記した動物の説明を語ろうとするがあまり上の空になったり、小薬の頭が作戦実行でいっぱいになっているのが分かってしまう。案の定、息子にもそのことを指摘されてしまう。

『ポケつめ』らしいコミカルな展開だが、語られている内容は実にシリアス。そんな問題を「ガルーラと出会うために徳を積みたい」という嘘みたいな動機で解決しようとするまどかの無邪気さが、第4話の救いなのかもしれない。

昔の子供も今の子供も、ワクワクはいつも一緒

まどかのプレイする「ポケモン 赤」では、ガルーラは“サファリゾーン”にしか出現しない激レアポケモン。仕事終わりに夜中3時まで粘ったり、占いのラッキーカラーに合わせた服で運気をあげようとしたり、カンガルーにお願いして捕まえようとしたり、とにかくゲーマーな姿が見られる。

分かる、分かる。なかなか出ないんだよ。何日もゲームに没頭するまどかに、プレイ済みの視聴者が懐かしさと共感を覚えているところに登場するのが、全ポケモンシリーズをプレイしている“師匠”こと唐沢空(渡邉斗翔)だ。回を追うごとに増していく2人の師弟関係が、ポケモン好きとしては見ていて楽しい。

師匠はまどかのゲームボーイを借りると、難なくお目当てのガルーラを出してしまう。「サファリゾーンはエリアによってポケモンの出やすさが変わるの」と教えてくれるだけでなく、肝心のボールを投げる部分でまどかにゲームを返す姿は、まるで弟のプレイを見守る優しい兄のようだ。

また、まどかを演じる西野七瀬は、最新作の「ポケモンSV」でポケモン図鑑をコンプリートするほどのポケモン好き。「来い、来い、来い!」と目を輝かせてボールの揺れを見守る姿からは、そのままゲームのCMに使われてもおかしくないほどポケモンを楽しんでいるのが伝わってくる。

師匠の「目の前が真っ暗になったみたいな顔」「入れ歯を落としたおじさん」発言や取引先の“フレンドリィストア”など、第4話も小ネタ満載の『ポケつめ』。来週はカビゴンが登場するが、ポケモンのふえが必要ということはシオンタウンが……? ポケモンと現実世界とのリンクが楽しみだ。

(文:天野スズ)