『泥濘の食卓』吉沢悠“夏生”との不倫沼から抜け出せない!齊藤京子“深愛”の歪んだ愛がエスカレート

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『泥濘の食卓』吉沢悠“夏生”との不倫沼から抜け出せない!齊藤京子“深愛”の歪んだ愛がエスカレート

もはや「沼にハマる」「沼落ち」という言葉では軽すぎる。11月4日に放送された土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』(テレビ朝日系、毎週土曜23:30~)第3話では、那須川夏生(吉沢悠)の“泥濘”から抜け出せない捻木深愛(齊藤京子日向坂46)の「私が助けなきゃ」精神がエスカレート。那須川ハルキ(櫻井海音)​と尾崎ちふゆ(原菜乃華)​の恐ろしい関係性も明らかになる。

魔性の男・那須川夏生の沼

愛する不倫相手・夏生を助けるためなら、偽チラシの投函という犯罪まがいの行動も悪気なくしてしまう深愛。ポストの前で願掛けし、アルバイト先のスーパーでは、店長である夏生のデスクの引き出しから家族写真を当たり前に持ち帰るのも怖すぎる。そんな中、深愛に不倫沼から抜け出すチャンスが訪れる。

ある日、深愛はメンタルクリニックから出てきた妻・ふみこ(戸田菜穂)を献身的に支える夏生を目撃。長年連れ添った夫婦の絆を目の当たりにし、「私の入れる余地なんてない」と身を引く決意をする。

代償として深愛はショックで寝込み、スーパーを辞めることにもなるのだが、不毛な不倫関係を続けるよりはマシだ。別の恋を探しなさい、と口を挟みたくなったところで、「会って話がしたい」という夏生の言葉に踊らされ、深愛は再び密会をしてしまう。

夏生は「痩せてない? もしかして僕のせい?」と深愛を気遣いつつ、「こんなんで僕は終わりにしたくないな。こんな突然会えなくなるのは嫌だ」「これからも傍にいてほしい」と自分の思いをストレートに伝える。ずるい男だと思う。第3話の時点で私たち視聴者が、夏生の本心なのか、都合のいい嘘なのか判断できないのが悔しい。

なぜなら、夏生は第1話で妻を理由に別れを切り出しているから。自分から別れようと言ったのに、「終わりにしたくない」とはどういうことだ! と気の強い主人公なら胸倉を掴み始めてもおかしくない掌返しなのである。

夏生を演じる吉沢悠は、4月期クールドラマ『夫婦が壊れるとき』でも不倫夫を演じていた。同ドラマでは、稲森いずみ演じる妻に不倫がバレるとヒステリックに暴れるシーンもあったが、今回の『泥濘の食卓』では今のところそのようなシーンは皆無。深愛の頬に手を添えて「これからも傍にいてほしい」と涙目で懇願する無精ひげと白髪が混じるくたびれたその中年男性は、同じ不倫夫でも、映画監督でプライドだけが高かった『夫婦が壊れるとき』での彼とは真逆の危うさを放つ。

まっすぐすぎる瞳で見つめられた深愛は、ドラマの主人公にありがちな“強い”主人公ではない。自己肯定感がとてつもなく低く、人に優しくすることを教え込まれて生きてきた子なのだ。案の定、「私が助けなきゃ」と強く思いこみ、再び夏生という泥濘にハマっていく……。だから行っちゃダメなんだって。

そして、医療支援団体を装ってふみこに接触するという恐ろしい行動を取り始める。メンタルクリニックの待合室でふみこを待つ深愛は、自分の行いが正しいと信じて疑わない。不倫相手という後ろめたさが一切感じられない深愛の笑顔は、第3話で一番ゾッとするシーンだった。

行き過ぎた愛情は時に狂気となる

第3話で深愛たちの物語と平行して描かれているのが、夏生の息子・ハルキと尾崎ちふゆの関係性だ。深愛の考え方や行動もなかなか世間一般とはズレたものだが、ちふゆはもっとヤバイ、多分。

幼馴染として仲良くしているうちに相手を好きになってしまうところまでは、少女マンガでもよくある展開だが、問題はそのあと。ちふゆの思いを知ってなお「今まで通り普通に仲良く」しようとしたハルキとは裏腹に、ちふゆの愛情表現はエスカレートしていく。

ある時、「義理だから」と渡されたバレンタインチョコレートの中には大量の髪の毛が。ハルキの口からねちょねちょした毛が出てくる映像はかなりグロテスクで、ちふゆの歪んだ愛情を感じさせる。その後も、事あるごとに満面の笑みで手作りお菓子を渡してくるちふゆの愛情表現は「好き」を通り越して、もはやヤンデレ味を感じる。こんな調子なら「ハルキのためなら」とナイフを出してきても視聴者は驚かないだろう。怖いけど。

ハルキが深愛に抱く思いを知ってしまったらと思うと恐ろしいが……今後、どんな展開が巻き起こるのか気になるところだ。

ハルキを襲う悲劇!父の不倫現場を目撃

メンタルが不安定で、ヒステリックになりやすい母のいる家庭。止まらないちふゆからの連絡。同級生からのいじめ。家、スマホ、学校のすべてに居場所をなくし、追い詰められていたハルキが最後に見つけたオアシスが深愛だった。

だが、心が安らいだのも束の間。ハルキは、深愛を探している最中に2人がキスをしている不倫現場を目撃してしまう!

第3話最大の事件だろう。控えめに言って地獄の展開だ。父親の色恋沙汰なんて誰が見たいと思うのか。一歩譲って、父親が病気の母を放って不倫していたことはまだ飲み込めても(それも酷いと思うが)、相手が自分の好きな人だったのだからやり切れない。

「声かけてみようかな。……いや、迷惑か」と深愛を見つけた途端、嬉しそうに顔をほころばせて考えていたハルキのピュアな気持ちを返してあげてほしい。

今のところ、幼馴染のちふゆや母・ふみこに振り回される可哀想な人物であるだけに、追い打ちをかけるような展開に同情してしまう。

しかも、次週は深愛が那須川家にやってくるようで……。ハルキに救いはあるのだろうか。

(文:天野スズ)