『パリピ孔明』向井理“孔明”が占う“断琴の交わり”、上白石萌歌“英子”と路上シンガーの数奇な出会い

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『パリピ孔明』向井理“孔明”が占う“断琴の交わり”、上白石萌歌“英子”と路上シンガーの数奇な出会い

10月18日に放送された『パリピ孔明』(フジテレビ系、毎週水曜22:00~)第4話は、天才ラッパー・KABE太人(宮世琉弥)と天才軍師で“論破お化け”・諸葛孔明(向井理)のMCバトルから始まった。

孔明の独特すぎる抑揚のない“お経ラップ”は対オーディエンスというよりも、とにかく目の前のKABEたった一人に向けられている。ステージに立つことから逃げ回っていた彼に対して「MCバトルはただの口喧嘩」とけしかけ、「必罰と信賞」を与えた。彼の学生時代の友人・佐々木の協力を得て、KABEのラップの原点であり“無邪気にラップを楽しんでた”文化祭の原風景を思い起こさせる。そして、もう帰りたくても帰れないラップが自分だけのものだった頃を懐かしんでホームシックになっている場合ではなく、現にこうやって彼のラップを待ち望み受け止めてくれるオーディエンスがいることを肌で直に実感させる。

KABE太人(宮世琉弥)、諸葛孔明(向井理)
KABE太人(宮世琉弥)、諸葛孔明(向井理)

漢詩まで取り入れ、故郷に帰りたくても帰れない者や亡き者の無念さを乗せたバイブスで背後に何人もの文官まで立ち上らせてしまう孔明のラップは、KABEに“何者でもなかった”頃にただただラップに夢中になった感覚を取り戻させた。

有能な密偵(石野理子)によって知らぬ間に盛られていた胃薬の力もあって、KABE太人はステージに返り咲き完全復活を遂げた。

上白石萌歌“EIKO”× 長岡亮介の豪華セッション

KABEを音楽にて天下泰平の実現を目指す仲間に迎え入れることに成功した孔明らは、ついに超大型フェス『サマーソニア』への月見英子(上白石萌歌)の出場権をかけた“10万イイネ企画”を本格始動させる。

月見英子(上白石萌歌)、赤兎馬カンフー(ELLY)
月見英子(上白石萌歌)、赤兎馬カンフー(ELLY)

孔明が打ち出した策は、期限まで残り3日前となる来るべき“Xデー”にSNS投稿をし、その1つの投稿で10万イイネを獲得するというもの。それまでに英子のオリジナルソングに完璧に歌詞をつけアレンジも加え披露できるようにして、そこにKABEのラップをつければ10万イイネなど容易いと事もなげに言う。

孔明がアレンジを依頼した凄腕の編曲家というのが、「ペトロールズ」でギター&リードボーカル、「東京事変」でギタリストを務める長岡亮介扮するスティーブ・キド。肩の力が抜けていてどこまでが冗談でどこからが本気かわからないキドが醸し出す空気感は、まさにクセ強で一筋縄ではいかない大物スターそのものだ。

長岡の演奏するギターに乗せて、上白石がマリア・ディーゼル(アヴちゃん女王蜂)の「I'm still alive today」を歌う。こんな豪華なセッションをあくまでドラマの一場面として見せる世界線に、心がときめかずにいられない。

月見英子(上白石萌歌)
月見英子(上白石萌歌)

キドが指摘した「君は自分がないね。君の歌から君が見えてこない」というのはまさに英子の無色透明な歌声や本人の特性を言い表している。それは自らを“アマチュア歌手”だと名乗り、オリジナルソングを一切持たずカバー曲ばかりを歌ってきた英子が、一皮むけるために必ず乗り越えなければならない壁なのだろう。そしてそれを見越して、孔明はキドの待つスタジオに自身は赴くことはせず、“いざという時”のために英子の身を助けるツールや助言を忍ばせた3つの巾着袋を授けたのだろう。今回のオリジナルソング完成までは英子と程よく距離をとった上で、大舞台への切符を英子自らに掴み取らせたいという孔明の軍師としての気概や覚悟が見える。

次なる好敵手との数奇な巡り合わせ、吉と出るか凶と出るか

そして、この「I'm still alive today」が路上ライブシンガー・久遠七海(八木莉可子)と英子を引き合わせる。英子同様に透明感溢れる歌声が魅力的な七海だが、孔明はこの出会いを「断琴の交わり」と占った。

実はこの七海はアイドルユニット「AZALEA」のベースボーカルというもう一つの顔を持ち合わせているようだ。「AZALEA」といえば今回の「サマーソニア」出場権をかけた10万イイネ企画にも参加しており現在3位となるイイネ数を獲得している3人組女性ユニットで、孔明が英子のライバルになるとマークしている存在だ。所属アーティストを売るためには手段を選ばない大手レーベルに所属しており、敵に回したくないタイプでもある。孔明が言う通り“運命とは数奇なもの”。せっかく歌で繋がった英子と七海の直接対決は避けては通れそうにない。

諸葛孔明(向井理)
諸葛孔明(向井理)

しかし、七海も身元を隠してこっそり路上ライブをしていることを考えると、レーベルやプロデューサーの方針に納得していないようで、なぜ彼女が2つの顔を持つことになったのかも気になる。意気投合した七海との触れ合いを通して、英子は歌の中にまで自然と滲み出る“自分”を見出せるのか。キドにとって納得できる曲に仕上げることができ、孔明が彼の軍師になってしまうことを阻止できるか。

さて、KABEが自身の本音に向き合わざるを得なくなった孔明とのラップバトル中に孔明からの挑発が刺さりまくっていたのは、どうやら司会を務めていたオーナー・小林(森山未來)も同じで、何だか自身の中にも思い当たる節がありそうな表情を見せていた。前園ケイジ(関口メンディーEXILE・GENERATIONS)と小林の関係もまた“断琴の交わり”だったのだろうか。

EIKO初のオリジナルソングは無事完成するのか。今こそもう一段、彼女の歌や夢に懸ける思いと本気度、そして自分や仲間を信じ抜く力が試される。

文:佳香(かこ)

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