約束されたラストがこんなにも嬉しいことってある? 9月20日放送の『みなと商事コインランドリー2』(テレビ東京系)最終話は、記憶をなくしたシンこと香月慎太郎(西垣匠)と、湊晃(草川拓弥/超特急)の関係がどうなっていくのかが見どころ。もちろん、悲しいままでは終われない!
思い合っているのにボタンを掛け違う二人
湊の「友達に戻ろう」宣言、やはり時期尚早だったと思う。シンは、記憶はなくても湊に惹かれ始めている。このタイミングでの「友達」は、突き放されたと感じるのも無理はない。
シンはコインランドリー経由で湊の家へ。「友達なんだから入れてください」とあえて「友達」を強調するのは、湊の発言をいじっているようにも感じられた。
そして風邪気味の湊の体調を心配し、ご飯をつくるシン。いつもの光景が戻った、と一瞬思う。ただ、ここで合鍵を返すという行動に出た。七夕で願うほど欲しかった合鍵を……。
それをみて、湊の感情が崩壊。「生涯、俺だけが好きって言ってただろ!」。なんだ、酒飲んでなくても素直になれるじゃん! と思ったけど、熱の影響もあるのか?
湊は忘れられたショックをぶつけるが、それはシンにとっては記憶のない自分という存在を否定されたように感じる発言だった。ここでシンは湊に思いのたけをぶつけ返す。
記憶のない不安と、その中で湊をまた湊を好きになっていること。年下としていつも敬語のシンが時々つかう湊への「アンタ」呼び、結構ぐっときてしまうのだけど、このときは惜しみなく「アンタ」を連発していた。理性が効いていない証拠だ。
シン的には以前の俺ではなく今の俺を見てくれ(恋愛的に!)、という告白だったが、湊は二人の思い出を忘れるのは嫌だと拒否。ボタンの掛け違いが起きてしまった。
個人的には、湊がシンの七夕の短冊(「合鍵がほしい」「好きと言ってほしい」)をちゃんと大切に取っていたことにびっくりした。子供の工作を捨てられない親じゃん……。湊、その愛情をまるごとシンに伝えてあげてくれ!
大団円のラストに感謝しかない!
気持ちの整理もつかないまま、アジフライ(湊の大好物)を作ってしまったシン。持っていくと、クロスワードパズルの記憶が蘇ってきた。雑誌のページを開くと、自分で書いた「アイキュウオクウ」(溺愛の意味の四字熟語)の文字が。
そして湊がシン宛てに書いた手紙を見つける展開に。やっと出てきた……この手紙がトリガーになると信じていたのに全然出てこないから心配してました。
内容は皮肉たっぷりのラブレターであり、第5話でシンが伝えてくれた「湊さんの好きなところ」(西野カナリスペクト?)へのアンサーソングでもあった。
まず、「顔と体」。これはまぁ冗談半分だとして、あとはとにかく本心を綴っているのだけど、ここに改めて書くよりも湊の朗読付きのほうが100倍いいのでTVerでぜひ。好きなところ10個というお題に対して17個答えちゃう、好きが溢れ出す返しをシンにしてあげているので。
手紙の最後には、「これからも一緒に暮らさないか?」という願いが書かれていた。なにより、それに付随する「頼むから、良い返事くれよ」という言葉がよすぎる……。
これまでシンは何度もこのまま一緒に暮らしたい、と湊にお願いしてた。それに対し、すでに約束されているはずのYESの返事を「頼むから」と懇願している。年齢差による上下関係なしに、対等な人間同士のコミュニケーションをしようとしているのだ。
これを読んだら、もちろん走り出すしかない。しかもシン、想像以上に全力で走っている。そしてまさか海辺で再会するなんて、ロケーションよすぎか!
ここで湊から「また俺と付き合ってください」と告白する展開もいい。いつもシンが押して押して押してきたけど、今回は湊からちゃんと言っている。お前の記憶がなくても俺が覚えている。これからまた思い出をつくりたいと。
湊のいう「お前がいいって言うまで、10年でも20年でも待つから」は、シーズン1でシンが湊に言った台詞の反復。お揃いの気持ちじゃん……これは食器やマグを揃えることよりも尊い。
またここから新しく恋を始めるのもいいな、と思っていたけど、シンは完全に記憶を取り戻したよう。もうハッピーエンドしか望んでいなかったから、この急展開は気にしない。
二人が抱き合って泣いているところをみると、本当に良かった……としかもう思えない(チョロすぎ)。海に飛び込むシーンのアオハル感も、夕暮れに光る海も全部最高。これでやっと、俺たち(全視聴者)の夏も終わるんだな……。
そして「寝室は別」の同居ルールはどうやらなくなったよう。情事展開に邪魔が入るのはお約束だから、はいはいお決まりの……と思っていたら、今回は違う。マジか、進展してしまうのか!
ついに小鳥たちのさえずりが聞こえる二人の新しい朝、迎えました! 想定外すぎて目が飛び出るかと思った。でもここで朝は律儀に服を着ているところが『みなしょー』なんだよな。こんな爽やかな朝チュン、ある?
食器もついにお揃いに。料理の一つひとつが全部が輝いて見えるぜ……。そしてなにより、湊からの愛情表現が増えたのは大きな進歩。忘れ物のキス、湊からできちゃうの? シンの愛情表現は今までギャグのように軽視されてきたけど、二人でそれをし合えるならもう、最強のバカップルの誕生だ。
そして最後に……英明日香(奥智哉)から連絡がくるまで、明日香と佐久間柊(稲葉友)のことを完全に忘れてました、ごめんなさい。二人のその後も気になるし、もちろん“シンみな”のその後も追いたいので続編絶対お願いします!「頼むから、良い返事くれよ」!
(文:綿貫大介)