『VIVANT』役所広司=テントのリーダーで、いよいよ全面対決が本格化!

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『VIVANT』役所広司=テントのリーダーで、いよいよ全面対決が本格化!

回を重ねるごとに、浮かび上がる真実。はたしてこの壮大な冒険譚はどこへ辿り着くのだろうか。

日曜劇場『VIVANT』(TBS系、毎週日曜21:00~)第5話は、乃木憂助(堺雅人)の生い立ちがついに明らかとなった。

乃木の愛国思想は何がきっかけなのか

公安が調査した乃木の経歴には、実はダミーが隠されていた。記載されている高校に乃木の在籍記録はなく、乃木が高校時代に通っていたのはミリタリースクール。そこで乃木は優秀な成績をおさめていた。

幼少期に両親と離れ離れになった乃木は人身売買されるなど過酷な状況下を生き抜いてきた。そのストレスから記憶を失っており、戦場ジャーナリストに保護され日本に帰ってきたあとも、バルカ共和国でのことは何も思い出せない。

18歳になった乃木(櫻井海音)は偶然テレビ番組で見かけた家紋から、自らがたたら製鉄の御三家・乃木家の生まれであることを知る。そして、その家紋こそがテロ組織・テントのシンボルマークだった。

別班として活動するようになった乃木はこの符合の謎を解くべく、テントを追い続けた。彼の頭の中には、常に生き別れとなった父・卓(林遣都)の存在があったのだろう。もしかしたら父がテントに関わっているのかもしれない。その疑念は、アリ・カーン(山中崇)の証言によって確信に変わる。テントの首謀者・ノゴーン・ベキ(役所広司)こそが、行方知れずの父・卓だったのだ。

メインキャストでありながら、長らく役名も役柄も不明だった役所広司と二宮和也がこれでテントの中心人物であると確定。いよいよ別班vs公安vsテントの全面対決が本格化していきそうだ。しかもそこには乃木父子の因縁が入り混じる。美しい国を守るためなら汚れ仕事も厭わない乃木は、日本を混乱に陥れようとしている実の父とどう対峙するのだろうか。

まず気になるのが、なぜ卓がテントを創設したのかということ。今のところわかっているのは、40年前までは警官であったことと、警視庁を退職したのち、農業使節団として渡ったバルカで内乱に巻き込まれたことくらい。この内乱が、卓の人生を変えてしまったのだろうか。

そもそも卓は、生き別れとなった息子のことをどう思っているのか。卓という名を捨てたということは、日本人としてのこれまでの経歴を捨てたも同然。そこには、幼い息子との関わりを断つことも当然含まれる。なぜ過去も家族も捨ててまで卓はテントを立ち上げたのか。その背景が、この物語に大きな意味をもたらしそうだ。とりあえず林遣都の40年後が役所広司というキャスティング、妙な納得感があるので考えた人えらいと思う。

乃木の強い愛国思想がどの段階で植えつけられたのかも気になる。高校進学のタイミングでわざわざフロリダに渡ってまでミリタリースクールに通っているのだから、この段階でおそらくすでにそうした考えに傾きだしているのだろうが、何がきっかけだったのか。

最終的には生きていた、という安全装置は用意されていたものの、アリを自白させるために家族を次々と絞首刑にする(ように見せかける)など、日曜21時でオンエアするには思想的にも描写的にもかなり攻めている。今なぜこの作品を日曜劇場という最も間口の広いドラマ枠で放送する意味があるのか。このあたりは単にエンタメとして楽しむだけでなく、もう少し慎重に見極めていきたいところだ。

チンギスの傷に関するエピソードください

また、ある程度、敵味方の役割がはっきりしてきたからこそ、ここからどうオセロの目がひっくり返っていくかも注目したいポイント。おそらくまだ素性を偽っている者は一定数いそうだ。

たとえば、乃木の経歴を調査する係だった鈴木祥(内野謙太)。乃木の高校時代に関する調査だけ、問い合わせ先からの返信メールが未読のままだった。こんなケアレスミスを仮にも公安部に身を置く捜査官がするだろうか。意図的に伏せていたと考える方が自然な気がする。ポンコツで言えば、前回、尾行中に山本巧(迫田孝也)を見失った新庄浩太郎(竜星涼)も怪しい。このあたりに、別班とつながりを持つ人間がいることも十分に考えられる。

今後のフックとなってきそうなのが、少年だった乃木を助けたという戦場ジャーナリスト。こんな重大な役割を果たしたキャラクターが、このまま終わるとは思えない。登場人物の中に、実はこの戦場ジャーナリストが潜んでいるとしたら、胸の熱い展開になってきそうだ。

どんどん影が薄くなる一方の柚木薫(二階堂ふみ)もまだ隠された役割があるのか読めないキャラクター。ジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)の手術の行方が「世界中を巻き込む大きな渦」を食い止める防波堤になりそうなのだが、ここのエピソードだけあまり展開が進んでいない。彼女の命が救われたとき、一体何が起きるのだろうか。

とりあえず今回も河合幸二(渡辺邦斗)に謝罪を要求するときの怒濤の早口台詞で、鮮やかすぎる滑舌を披露するなど、「俺たちの見たい堺雅人」がたっぷり。暗がりの中、アリの背後に近づくシーンはもはやホラー。しばらく夜道にふっと堺雅人が現れるトラウマにビビらされることになりそうです。

堺雅人に向かって意味深に微笑みかける阿部寛など、この胡散臭さも阿部ちゃんの真骨頂といった感じで、堺雅人と阿部寛という二台巨頭の競演をたっぷり楽しめるつくりになっている。

個人的に気になって仕方ないチンギス(Barslkhagva Batbold)も戦線復帰。しぶしぶながらも野崎守(阿部寛)に協力するなど昨日の敵は今日の友パターンで、あのツンデレ感は完全にベジータ。たぶん最後は「がんばれ、野崎。お前がナンバー1だ」とか言ってくれると思う。

眉毛の傷も歴戦の猛者って感じがしてカッコいいので、あの傷がついたエピソードをぜひスピンオフでつくってください!