『あなたがしてくれなくても』危険な色気と優しさを兼ね揃える永山瑛太の魅力が爆発!思わず息を呑む裏切りの告白シーン

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『あなたがしてくれなくても』危険な色気と優しさを兼ね揃える永山瑛太の魅力が爆発!思わず息を呑む裏切りの告白シーン

永山瑛太が呆然としながら鼻水を拭う場面に、胸が苦しくなった。5月18日放送の『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)第6話は、吉野みち(奈緒)に対して陽一(永山)が過去の不倫を告白する衝撃的な展開に。今回はまさに、俳優・永山瑛太の凄みを改めて実感できた回となった。

焼き肉のシメで何を頼むかで浮気度がわかる?

欲しいのは穏やかな暮らし。セミダブルサイズのベッドで、お互いに数秒見つめ合い、手をつないで眠りにつく。みちと陽一の暮らしはそれでよかったはずだった。新名誠(岩田剛典)と“ただの同僚”に戻ったことで、みちは元の暮らしを思い出そうとする。

「大丈夫、私たちは永遠を誓った夫婦なんだから」というみちのモノローグを聞いて、改めて“婚姻”という契約の強固さに驚く。「死がふたりを分かつまで」。結婚とは、人間には逆らうすべのない死以外に夫婦でなくなることを認めない、恐ろしい契約だ。

陽一は、夜が来ることを恐れている。それはみちとの夫婦の時間が怖いから。他の人とはできるのに、みちとだけできない。「妻だけED」という事実が明るみになれば、みちは自分に魅力がないせいだという短絡的な結論を出しかねない。傷つけたり悪者にする意図があるわけでもなく、愛しているからこそ、陽一は自分を責めていた。

そんな中、陽一のカフェでは、オーナーの高坂仁(宇野祥平)が三島結衣花(さとうほなみ)の歓迎会をやろうと提案。みちまで参加する展開にはドギマギした視聴者も多かったことだろう。表面上は穏やかだけど、ここにいる全員が肉体的であれプラトニックであれ不倫経験者なのだから。

さらに高坂が「焼き肉のシメで何を頼むかで浮気度がわかる心理テスト」をぶっこむものだから、みんな何も注文できなくなってしまうという展開は滑稽だった。

心理テストは占いと同じで、自分が見透かされたように感じることが多いけど、実は誰もが当てはまる要素でつくられていることが多い。血液型性格診断だってそう。まったく根拠がないのにドキッとしてしまうのは、自分がそれに思い当たる節があるからだ。

感情が読めない、永山瑛太の底しれぬ魅力

それにしても、ドラマの陽一は永山瑛太の魅力で成り立っていると思う。自分勝手にみちや三島を傷つけてきた陽一は、演じる人によってはもっと非難の嵐に晒されていてもおかしくない。

魅力的なクズ男の典型、うますぎか! ちょっと陰があって危ない感じが色気として溢れ出ている。なにより一瞬目があっただけで、すべてを吸い込むような吸引力を永山瑛太自が持っている。

こんな店員がカフェにいたら、実際はもっと大繁盛しているんじゃないかと思う。だからこそ、みちがお店で一目惚れした設定もうなずける。

永山瑛太といえば、『それでも、生きてゆく』での悲しみを抱えた実直な青年役、『最高の離婚』と『リコカツ』で見せた、理屈っぽくてプライドが高いのに愛嬌がある夫役、最近では『エルピス―希望、あるいは災い―』で見せた狂気的な謎の男の役など(ほかにも挙げたらきりがない……)とにかく幅広い役を飄々とこなしてきた。

今回の陽一の役では、他の作品で演じた役のイメージがクロスオーバーして見えるときがある。ただのクズ男かと思えば、恐ろしく冷酷に見える瞬間があり、またあるときは優しいほほえみで包み込んでくれる。

感情が読めない、何者かわからないミステリアスさが、何よりも陽一の魅力となっている。どんな心理テストも必ず誰かが当てはまってしまうように、人にはいろいろな側面がある。その多面性を存分に見せてくれる陽一に、私たちは惹きつけられてしまう。

何より陽一自身は、そんな自分の魅力に気づいていないというところがいい。もしかしたらそこにみちや三島は惹かれているのではないだろうか。iPhoneの画面がバキバキに割れているところや、人の親切や好意には鈍感で無頓着なところにも陽一の性格はあらわれている。

隠し事ができない、正直でずるいところもそうだ。キッチンでの不倫告白は6話のハイライトであり、もしかしたら全話を通しても最高の見せ場の一つだと思う。

まばたきの数、目のうるみ、かたくなる口元、紅潮する耳と鼻。毛穴の一つひとつから悲壮感が放たれた永山瑛太の演技からは目が離せなかった。みちに対して声を荒げるシーン、どういう気持ちで演じたのだろう。

“理想的な夫婦”像はさまざまな犠牲でカバーするしかない

一方、新名と楓(田中みな実)夫婦も引き返せない手前まできていた。楓の発した「嫌いにならないで」という言葉は、もう末期の会話だ。

楓は献身的に家事をこなしていたが、仕事量を考えるとあきらかにキャパオーバー。どこかで手を抜かなければ、壊れてしまう寸前だと思う。

それでも新名のためにアクアパッツァ、タコとジャガイモのソテー、小エビのリゾット、ルッコラのサラダ、コンソメスープを仕上げている。

新名がそれを当たり前に受け入れている姿にも少しぞっとした。生活水準が高いのもそうだけど、“完璧で理想的な夫婦はこうあるべき”という像をずっと演じているようにもみえる。

岩田剛典のパブリックイメージもあり、新名のことを人当たりがいい優しいキャラクターだと思ってみてきたけど、完璧主義なのは楓だけでなく新名も同じ。二人は似た者夫婦だ。

新名はまだみちに未練があるけど、みちがつくる、具がはみでた餃子をみたら一気に気持ちが冷めたりはしないだろうか。なんでも完璧にこなす新名、他者にも相当の水準を求めてきそうな気がする。

結婚記念日のときと同じような花束を楓に差し出したのは、楓との仲を修復する決意なのだろうか。

(文:綿貫大介)