世界屈指の大都市でサッカーを!JFLのクリアソン新宿が掲げるクラブの理念と未来

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4月22日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、東京都新宿区をホームタウンとするJFLのクリアソン新宿を特集。地元ファンから絶大な支持を受けるクラブの魅力に迫った。

クリアソン新宿が所属するJFLは、プロであるJリーグに次ぐ全国リーグで、アマチュアサッカーの最高峰。今シーズンからはJ3との入れ替えがスタートし、リーグ戦2位までのクラブに対し、Jリーグ昇格の権利が与えられる。

解説の都並敏史もJFLのブリオベッカ浦安で監督を務めており、「ここを超えていかないとJリーガーにもなれないし、Jクラブにも行けない。しかも選手たちは働きながらサッカーをしている状況で、それをやるわけです」と、JFLで勝ち上がる難しさを語った。

しかし、JFLは上のカテゴリであるJリーグを目指すチームばかりではないという。例えば、企業チームの雄であり、リーグ最多優勝を誇る絶対王者のHonda FC。「門番」の異名を持つ通り、Jクラブに匹敵する実力がありながらも、JFLに留まり、他のクラブのJリーグ参入を阻止してきた。

Jリーグを目指すチャレンジングなチームと、参入を目指さない強豪が混在するJFLは、世界でも類を見ないリーグだと言われており、個性的なクラブも多い。クリアソン新宿もその一つで、都並によれば「クリアソン新宿が面白い」と、JFLの中でも話題になっているのだとか。

まず、クリアソン新宿の圧倒的な個性として挙げられるのは、世界でも屈指の巨大都市である新宿がホームタウンだということ。人口約34万人のうち外国人が1割を占め、オフィス街に歓楽街、学生の街など様々な表情を持つ新宿。多様性に富んだ街をなぜホームにしたのか。クリアソン新宿の代表を務める丸山和大は、ビジネス的な規模があることが前提としながら、「サッカーは個人の強みを組み合わせて魅力的なサッカーを作り上げていくスポーツだと思っていて。これに合致するエリアを考えたときに、新宿の掲げているコンセプトに共感したので、ここをホームに選びました」と説明。様々な価値観や強みを持つ新宿は、サッカーに相通じるものがあるというのがその理由だった。

クリアソン新宿では「エンリッチ・ザ・ワールド(サッカーで、世界を豊かに)」という理念を掲げており、実際にスタジアムでは、クラブの存在がサポーターたちを笑顔にしていた。試合後にはピッチを子どもたちに開放。試合を終えたばかりの選手とコーチ陣が子どもたちと延長戦を繰り広げていた。

クリアソン新宿の“ファン目線”は、クラブに協賛するパートナー企業にも向けられている。新宿は多様性に富んでいるが故に、かつては企業同士の関係が薄かったのだとか。クリアソン新宿の存在は、そんな企業間の溝を埋めるのに一役買っていた。新宿ゆかりの老舗企業やサポーターが有志でグループを結成し、クラブ発展のためにそれぞれが培ったノウハウを提供。クラブが中心になることで、新宿という街に少しずつ一体感が生まれていた。

さらに、新宿に住む外国人たちを集めて、フットサル大会を運営したり、新宿区と提携して、地域の課題解決に取り組んだりと、サッカーの力で街を良い方向に変えようとするクリアソン新宿。一方で、すでにブランドが確立されている新宿という街にサッカークラブとして入り込むことの難しさもあった。

クラブの立ち位置について、丸山は「新宿自体が困っていない街」と前置きしながら、「どうやってサッカーを使っていただくかという観点で、コミュニケーションを取っています。僕らのサッカーを見てくださいではなくて、今、何に困っていますかという話をしながら、積み重ねています。街の力になろうとしていることを認めていただいたというのが第一歩だったかもしれないですね」と打ち明けた。

そして、クリアソン新宿を支えるスタッフには、クラブの理念に賛同する超一流大学や大企業の出身者がずらり。各人の能力を最大限に活かしていた。ポジションごとに人を募集するのではなく、クラブの思いに賛同して集まった人を適切なポジションに配置するというクリアソン新宿のやり方に、MCの勝村政信も感心。都並はクリアソン新宿の選手にも言及し、「地に足が着いている選手が多いんですよ。やっぱりクラブ全体がそういう姿勢でしっかり進んでいるから、現場もそうなるんだなっていうのはすごく感じますね」と評していた。

4月9日には、クリアソン新宿のホームゲームが国立競技場で開催。都並が率いるブリオベッカ浦安と熱戦を繰り広げた。試合当日は「新宿の日」と銘打ち、新宿区内の学生が主催する子ども向けの体験コーナーや、高校や大学の学生によるチアやダンスのパフォーマンスなど、新宿にまつわる様々な催し物も実施。結果として、昨年に引き続き、国立競技場に1万人以上の観客を呼び寄せることに成功した。

新宿がホームのクリアソン新宿だからこそなし得たアマチュアチームによる国立競技場での試合開催。スタンドには、新宿区に住む多くの外国人サポーターも詰めかけた。勝村は、竹﨑由佳アナウンサーと共に歴史的な一戦を観戦。「プロではないカテゴリが国立競技場でこうやって試合をするのは、ものすごいことなんですよ」と力説していた。

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