「不倫された女はどう変貌するのか?」稲森いずみ&吉沢悠&優希美青『夫婦が壊れるとき』の魅力を語る

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「不倫された女はどう変貌するのか?」稲森いずみ&吉沢悠&優希美青『夫婦が壊れるとき』の魅力を語る

稲森いずみ主演の『夫婦が壊れるとき』(日本テレビほか、毎週金曜24:30〜)が、日本テレビで新設された大人女性層をメインターゲットにした「金曜ドラマDEEP」枠の第1弾として、4月7日より放送をスタート。現在、民放公式テレビ配信サービス「TVer」では、第1話が配信中だ。

同作は2015年・2017年にBBC(イギリス)で放送され、各賞を総なめにした『女医フォスター 夫の情事、私の決断』(原題「Doctor Foster」、原作・脚本マイク・バートレット、制作Drama Republic)のリメイク作品。2020年に韓国で『夫婦の世界』として放送され、韓国ケーブルドラマ史上最高となる視聴率28.4%を記録するなど、大きな話題を呼んだ。日本版となる本作では、主人公・真壁陽子(まかべ・ようこ)を稲森が、陽子の夫・真壁昂太(まかべ・こうた)を吉沢悠が、夫の不倫相手・佐倉理央(さくら・りお)を優希美青が演じ、第1話冒頭から夫の不倫が明らかになるなど、目が離せないような怒涛の展開が連続する。

メインキャストである稲森、吉沢、優希の3人に本ドラマの見どころや撮影の様子、互いの印象などについて話を聞いた。

不倫する側・される側を丁寧に演じていく

――このドラマの出演のオファーをもらった時はどんな心境でしたか。

稲森:世界的にヒットしたドラマということでプレッシャーも感じましたが、プレッシャーを糧に一生懸命演じていきたいなと思いました。あとは、各国版がいろいろあるんですが、新しい日本版を作っていけたらいいなと思いました。

吉沢:このお話をいただいて、イギリス版と韓国版を見たんですが、国は違えど、どの国でもこの物語が受け入れられたのは、本が面白かったり、芝居が面白かったり、演出の部分でいろいろな人に受け入れられる要素がたくさんあったんだろうなと思いました。

優希:お正月に実家に帰った時に、母から「このドラマ面白いから見てみて」と韓国版の『夫婦の世界』を勧められたんです。お話をもらってすごくびっくりしたのと嬉しかったのと……。この作品で理央を演じて、放送された時に母がどんな反応を見せてくれるのかが楽しみです。

――原作やリメイク版を見た感想を具体的に教えてください。

稲森:原作を見た時は率直に面白いなと思いました。とにかくヒロインが魅力的で、夫に不倫をされても、決して泣き寝入りせずどんどん行動を起こしていくんです。傷つきながらも手を抜かず、夫や周りの友人たちに復讐していく姿が、狂気じみているんですが、そういう面も含めて魅力的で、爽快感があるなと思いました。ヒロインの心理描写もすごく丁寧に描かれていて、素直に演じてみたいなと思えました。

吉沢:イギリス版を見た時は、主人公の女性が魔性の女で強いなと感じて、それが韓国版になった時には、その表現が抑えられていて、国によって違いがあることを面白く感じました。同じアジアでも韓国と日本は違う。稲森さんが演じる真壁陽子がどんな風になるのか、また、この夫婦の話をどういう風に演じられるのか、それが今から楽しみです。

優希:今まで不倫ものの作品を見る機会がなかったので、不倫ものってこんなに面白いんだと思いながら見ていました。原作やリメイク版のいいところが今回の作品にも生かされていて、見ていて重くなり過ぎず、スカッとする復讐が出てきて、(日本版も)すごく面白いなと思いました。

――それぞれ演じる役をどのような人物と捉えていますか? 演じられて感じたこともあれば教えてください。

稲森:陽子は、女性が憧れる強さを持った女性だと思ったのと、仕事をしながら妻として、母として完璧でありたいと努力している人だなと思いました。あとは大胆な行動力が魅力です。時に過激な行動に出るんですけど、それまでに至る女の気持ちというのはすごく共感できる部分があって、そこをしっかりと演じていきたいなと思いました。嘘が嫌いという部分は自分と似ています。それと、自分の中でなんとか消化しようとして、気持ちが積もっていく感じも似ているなと思いました。

吉沢:僕の演じる昂太は映画監督で、理央と不倫をする役なのですが、この役をやるにあたって、正直にいうと共感できないことが多く、演じていて苦しいです。上手に不倫をしているタイプではなくて、すぐにバレそうなラインで不倫をしている人なんです。どうやったらこんなことができるのかなと……。客観的に見ると、あまり考えていないところが、子供なんだろうなと思いました。

自分の子供と仲良くしているところは理解できるんですが、女性に対する感情に関しては、理解が難しい人だなと思います(笑)。オファーをもらって原作を読んだ時点では、作品として「面白い」という感想だったのが、台本をいただいて読み進めていくと、とんでもない役を受けてしまったなと(笑)。

優希:私は理央があまり嫌な女になり過ぎないようにと、それを心がけて演じています。理央はすごく純粋に一途に昂太を愛しているだけ。それが、たまたま奥さんがいる方で、自分のものにしたい、振り向いてもらいたいと思って起こす行動が、周りの人から見たら嫌だなと見えてしまう。

理央は不器用だけど、まっすぐでいい子だと台本を読んでいて思ったので、そういう部分を大事にしたいなと思いました。

――監督からは役について指示やリクエストは受けたのですか。

稲森:原作を気にしすぎずに「現場に入って感じた気持ちを思う存分出してくれたらいい」と仰ってくださいました。不安も抱えながら現場に行くんですが、監督も含めスタッフが皆さんあたたかくて、その場に居やすい、心地よい現場を作ってくださるので、とても感謝しています。

吉沢:衣装合わせの前に1時間くらい、スタッフさんと役について話す機会があったんです。その時に「今回は女と女の戦い、女と男の戦いだ」と言われたんです。なぜ昂太はこんなことをしたのかなど、台本には書かれていないことについて別紙をいただいて、丁寧に説明してくださいました。

昂太の役柄について、「“お金を集めて映画を撮る”という気概のある映画監督の性質」について話を伺い、それが自分の中でも腑に落ちる部分でした。この前、理央とのキスシーンがあったんですが、監督が本番中、隣に来て、耳元で「ちょっと今のは淡白だ。もっと相手を説き伏せるくらいのキスを」って(笑)。具体的に説明してくださるので、僕たちも安心して芝居ができる環境です。

優希:理央を「悪女にし過ぎない」ということと、「理央の若さゆえの儚さを出せたらいいね」と言われました。どちらかの女性を選ばないといけなくなった時に、「俺がついていないとこの子は危ない、俺がついていないと」っていう方を男は選ぶと。そういうことを感じさせる瞬間があるといいねと話してくださいました。

撮影合間には血液型トーク!?

――撮影の現場ではみなさん、どういう会話をしているんですか。

稲森:吉沢さんとは20代の頃に一度共演しているので、現場では話し相手になってもらっています。

吉沢:どんなスポーツをしているんですかとか(笑)。

稲森:普段何しているとか(笑)。夫婦の幸せな時期や、昂太への不満が募っていく段階のシーンを撮る前に、クライマックスのシーンを撮影することになったので、事前にコミュニケーションをとりたいなと思っていました。

理央とはまだ一緒のシーンがないので、そこまで話せていないのですが、敵対する役ではあるけど、同じ男を好きになった……のような、理央の気持ちがわかる部分もあって。撮影中は穏やかに一緒にいます。

――優希さんは大先輩でもあるおふたりとの共演です。

優希:私自身こういった役が初めて。不安は大きいのですが、お2人があたたかく見守ってくださるので、とても安心して撮影に挑めています。

――吉沢さんと優希さんから見て、稲森さんはどんな印象ですか。

吉沢:以前、血液型が同じB型なので、「Bっぽいところ何かあります?」といった話をしていたんですが、僕らは世間が思っているB型とはまた違ったタイプなんです(笑)。表に出さずに気持ちを内に隠しているタイプ。作品に対しても役に対しても、思っていることを芝居の中で出していく方が得意なタイプ。

今回の陽子も内に秘めた思いがあって、「堪えて、堪えて、ドン!」と爆発するような……。稲森さんが演じられると応援したくなるような雰囲気が出ていて面白いです。

優希:稲森さんはすごく品があって憧れの方。目が合って笑ってくださった時に、「あ、笑ってくださった」と笑顔で応えてくださるのが嬉しくて。同じシーンはこれからなので、現場での雰囲気が今から楽しみです。

――稲森さんから見て優希さんはどのような印象でしょうか。

稲森:本当に可愛らしい人です。小動物のような可愛らしさがあるなって。ずっと見ていられます(笑)。

――ここまで演じてみて、ドラマの見どころはどんなところにあると考えますか。

稲森:陽子が聡明に、時に過激に、夫や周りの友人たちを追い詰めていく変貌の様子を見ていただきたいです。あとは周りの友人たちの心理描写も丁寧に描かれているのも見どころです。

吉沢:昂太は不倫をして嘘をつくんです。言っていることは半分本当で半分嘘という感じ。昂太を見て「まじか!?」と思ってもらえたら面白く見られると思いますし、昂太の行動を受けて、陽子が苦しんで次にどういう行動をするのか。最後まで見ると、彼女がどういう決断を下すのかわかると思います。そこが見どころだと思います。

優希:私は個人的に、こういったラブシーンや大人の役が初めて。不安はありますが、綺麗に見えるように頑張っていきたいなと思うんです。そういう部分を見ていただけたら嬉しいです。

――最後に視聴者へのメッセージをお願いします。

稲森:「そこまでやるか」「こんな女の人はいない」と見てくださる方に思われないよう、女性の心をきちんと表現したいです。ほとんどの人がこういうことがあっても、復讐はしないと思うので、視聴者が私を通して“復讐”を経験して、爽快感を味わってもらえたら嬉しいです。今後は、ジェットコースターのようにいろいろな展開が詰まっているので、楽しみにしていてください。

吉沢:日本テレビの「金曜ドラマDEEP」の第1弾として世界でヒットしている作品を日本でやる。内容を知っている人もいると思うのですが、この枠は面白いと言わせるようなドラマにしたいと思いながら演じています。その気持ちがドラマを通じて伝えられたらなと思います。

優希:世の中的に不倫相手は嫌われる存在。でも、理央は彼女なりの信念があって、一つひとつの行動を起こしている。そういったところをあたたかく見守っていただけたら嬉しいです。

取材・文:名鹿祥史
写真:フジタヒデ

<衣装クレジット>
(稲森):theory luxe

<スタッフクレジット>
(稲森):スタイリスト・堀井香苗(Kanae Horii)/ヘアメイク・石川亜矢(Aya Ishikawa)

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