川口春奈『silent』「この作品に出会えてよかった」TVerアワード2022 ドラマ大賞受賞

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川口春奈『silent』「この作品に出会えてよかった」TVerアワード2022 ドラマ大賞受賞

川口春奈さんが主演したドラマ『silent』(フジテレビ系)が、2022年にTVerで配信されたドラマ作品のうち、最も再生数が多かったドラマに贈られる「TVerアワード2022<ドラマ大賞>」を受賞しました。

『silent』は、主人公の青羽紬(川口さん)がかつて本気で愛した恋人・佐倉想(目黒蓮さん/Snow Man)と“音のない世界”で出会い直す、切なくも温かいラブストーリー。心を揺さぶる脚本と繊細な演出、川口さん、目黒さんをはじめ、鈴鹿央士さん、桜田ひよりさん、板垣李光人さん、夏帆さん、風間俊介さん、篠原涼子さんら豪華出演者の好演が話題を呼び、TVerの見逃し配信再生数の歴代記録を大きく更新しました。

TVerでは今回の受賞を記念し、川口さんの受賞コメント動画が特別配信されるほか、『silent』が3月1日から期間限定で配信。そして、このたび授賞式に出席した川口さんが、TVerプラスに作品への思いを明かしてくれました。

――「ドラマ大賞」おめでとうございます。まずは受賞の感想をお願いします。

率直に嬉しく思います。たくさんの方からいただいた温かいメッセージが、撮影中も何よりの原動力になっていました。これだけの方に見ていただけたことで作品も無事に終えることができたと思いますので、本当にみなさんに感謝しています。

――5000万再生超え(取材当時、※集計期間の最終では7300万再生超え)という圧倒的な再生数です。

すごいですよね。あまり実感がわかないというか、「5000万再生かぁ」みたいな。パッと想像ができないくらいの方に見ていただいているんだなと、圧倒されますね。

――テレビだけではなく、様々な場所やタイミングでドラマが見られるようになったことについてはいかがですか?

便利な時代だなと思うし、昔と比べていろいろなものが変化しているなと感じます。私自身は見逃し配信で見るという経験が少なかったんですけど、どうしても見られない時に、自分の好きなタイミングで見られるのはすごくいいなと。ここまでたくさんの方に見ていただけたのは、そういう理由があるんだと実感しましたね。

――作品への反響がものすごいですが、川口さんの周りでは具体的にどんな声がありましたか?

ドラマ以外のお仕事の現場に行っても、会う人、会う人に「見てます」と声をかけていただけて。その機会がこんなに多いのが初めてでしたし、「ふだんドラマは見ないよ」という友人がすごくハマってくれたりもしました。若い方だけではなく本当にいろいろな方にお声をかけていただけたので、そのたびに幅広い層に響いているんだなと感じていました。

――最終話の放送直前まで撮影されていたことも話題となりましたが、クランクアップを迎えた時のお気持ちはいかがでしたか?

「あぁ、終わっちゃうんだな」という気持ちと、達成感と。すごくいい空気感で終われて、みんなでみんなを称え合った夜になったので、とても幸せな日でした。

――最後のシーンでは、目黒さんと何かお話を?

「終わりますねぇ」みたいなことをボソッと言われて、「そうだねぇ」って(笑)。お互い手話があるシーンはあまり余裕がなかったので、その時もいろいろと確認しながら、いつも通りフラットな感じで撮影していました。クランクアップを喜ぶというよりは、噛みしめる感じでしたね。

――回を追うごとに世間からの期待が高まる中、撮影に臨む気持ちに変化はありましたか?

もちろん嬉しいんですけど、だからといって何か変わるわけでもなく、いい意味であまり意識しないで全うできたかなと思います。SNSをフォローしてくださったり、毎回コメントしてくださったり、たくさん話題にしてくださっていることを感じられたのはすごくありがたかったですし、リアルタイムで撮影していたので、「みなさんはどう思っているんだろう」ということを知りながら演じられたのはよかったなと思います。

――重圧というよりは、エネルギーにつながるようなところが大きかった?

そうですね。もちろんドラマなのでその人なりの解釈がありますし、100人いたら100人全員に満足していただけるかはわからないけど、「今、これがいいんだ」というベストに全力を尽くせる充実感があって、それがモチベーションにもなりました。

――演じた紬に対して、どんな思いがありますか?

彼女はとてもまっすぐで、頑張り屋さん。いろいろな出来事や環境に翻弄されながらも、とにかくまっすぐで健気な姿に、心が洗われるような思いでした。本当に「がんばれ」と背中を押したくなるんですよね。そんな素敵なキャラクターを書いてくださったので、自分が演じているんだけれども、どこか彼女を応援したくなるような気持ちでいました。

――受賞を記念してTVerでは『silent』が再配信されていますが、改めて見てほしい場面を教えてください。

第5話は、個人的に思い出深いというか、好きな回です。

――ハンバーグを作るシーンでは、実際に湊斗(鈴鹿さん)と電話をつなぎながら撮影された、という回ですよね。

その回は、本当に難しかったんです。紬の気持ちを作っていくのがすごく難しくて、ずっと悩みながら撮影していました。もちろん電話のシーンも印象的ですし、思い入れがある回なので、第5話でお願いします!

――今作で川口さんは、紬の高校生時代も演じられました。TVerオリジナル『最強の時間割』で、村瀬健プロデューサーからは「目の開き方が違う」というお話もありましたが、表情で見せたいという意識が強かったのでしょうか。

番組、私も見ました(笑)。高校時代のシーンも、どうやったら8年前と8年後の違いが出るかなと、すごく悩みましたね。もちろんメイクや制服姿のビジュアルがそうさせてくれる、というのはありましたけど、未だに正解だったのかな、うまくいったのかな、と不安なくらい。表情もそうですし、声のトーンについても「どうやったら高校生らしく見えるのかな」と模索しながらやっていたので、「高校生に見える」と言っていただけてよかったです。

――同番組で、村瀬プロデューサーは「挑戦が多い作品」ともおっしゃっていました。

撮影中は「あれ? これって映画だっけ?」と思うような撮り方をしていて、実際に仕上がった映像もすごく綺麗で。本当に時間をかけて撮影していたので、贅沢だなと思いましたし、初めての経験に戸惑いもありました。

――時間の使い方が、ふだんの連ドラとは違ったと。

連ドラはスピーディーに撮らなきゃいけないことが多いので、たとえば天候に関して「太陽が出るまで待つ!」みたいな経験があまりなかったんです。初めは驚きましたけど、妥協しないからこそあの綺麗な映像が撮れたんだなと思うし、達成感を噛み締めながらやっていました。

――「その場で意見を出し合って作っていった作品」だと聞きましたが、そういった意味で印象的なシーンはありますか?

もう、本当に全部のシーンです。すべてのシーンに、まず監督と「ちょっとお話ししてからやってみようか」という時間があったので、お互いに「こう思います」と意見交換ができました。それに、自分が本を読んで抱いた感情と、実際に役者さんを目の前にした時では全然違う感情になることもあって。そういった中で、監督がイメージしている世界観や撮りたいものに全力で応えたい、という思いでやっていたので、そこでのコミュニケーションはすごく大切な時間だったと思います。

――ちなみに、想像とまったく感情が違ったシーンというのは?

第10話のラストで、想から手話で第1話と同じようなことを言われるシーンがあるんですけど、本を読んだ時にはあんなに激しく泣くような気持ちにはならなくて、どちらかというと「ずるいぞ、想」「これは紬がかわいそうだ」という思いが強かったんです。だけど実際撮影に入ってみると、悲しい、切ないだけの感情ではなく、悔しさみたいな思いが湧き出てきて。想と対面した時に初めてその感情を抱いたし、この作品では、そういったシーンがたくさんありました。

――お芝居をする中で、「想が目黒さんでよかったな」と感じた瞬間についても聞かせてください。

ほぼそうですね……目黒さんは、ほぼ想です(笑)。すごくたくさんお話ししたわけではないですけど、自分の世界があるというか。想もずっと音楽を聴いていて、自分のリズムがあって、譲れないところもきっとあって。目黒さんが想を演じてくれたから、私も“想と一緒にいる紬”としていられたし、引っ張ってくれた部分は大いにあります。

――最終話の放送前日に配信された『TVerスペシャル生配信』では、「湊斗は鈴鹿さん、光は板垣さんとリンクする」とおっしゃっていましたね。

本当にみなさん演じているキャラクターにしか見えないぐらい、きっちりとそこにいてくれる。そのおかげで、紬としての表情や心情、気持ちみたいなものを自然に引き出していただけたと思います。それぞれに当て書きしてくださったというのもあって、みなさんがすごくナチュラルで、私自身も自然体でいられました。

――最後に、川口さんにとって『silent』はどんな作品になりましたか?

本をいただいた時からグサグサッと心にくるものがあったし、これが映像になった時にはいろいろな方にグサグサッと刺さる、胸に響く作品になるんじゃないかなと思っていました。いい意味でのプレッシャーを感じながらやっていたんですけど、現場にいるスタッフ全員、キャストの方全員の力があって、こんな賞までいただけて。感謝していますし、本当にこの作品に出会えてよかったなと思っています。

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