ずん飯尾和樹、ウド鈴木が“笑いの姿勢”に影響「そば屋は客が残したそばを見て…」【連載PERSON】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、4週連続オムニバス DRAMA『5分後に意外な結末』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜24:29~)で高校教師の結島末吉を演じるずん飯尾和樹さんです。

2000年にやすさんとお笑いコンビ「ずん」を結成した飯尾さん。『ZIP!』水曜日パーソナリティ、冠番組『飯尾和樹のずん喫茶』など数々のレギュラー番組を抱えるだけでなく、ドラマ『着飾る恋には理由があって』や映画『沈黙のパレード』など役者としても注目を浴びています。

今回、飯尾さんが出演する本作は、シリーズ累計430万部を突破した桃戸ハルさんの同名小説をドラマ化したもの。予想を裏切られる「5分で終わるドラマ」の魅力にハマった結島と女子高生の五分市りさ(莉子)のナビゲートパートと、5分で結末を迎える2本のショート作品が楽しめる画期的な構成となっています。

今回、オムニバスドラマの魅力をユニークに紹介する飯尾さんにインタビューを行いました。「5分ドラマ」のハラハラ感にハマった飯尾さんの所感から、ずんのターニングポイントまで、癒しのトークをご堪能いただきたい!

5分で起承転結が訪れるドラマ

――特殊な形のドラマです。オファーが来たとき、どんな感想を持ちましたか?

(飯尾さんが演じる)“生徒からタメ口をきかれる隙だらけの先生”に興味を持ちました。相手役がZ世代の人気者である莉子ちゃんということで(共演を)楽しみにしていましたね。

あと、ドラマが5分で完結するってなかなかだなと思いました。“大丈夫かな?”といらぬ心配をしていました(笑)。

――「5分で完結する」というドラマコンセプトについてどんなことを思われましたか?

最近、映画やドラマを倍速で見る子も一部いるらしく。5分だったら見てくれるだろうし、その良さをわかってくれたら、次は10分見ようかなとか……できれば、映画やドラマも、ちゃんとしたスピードで見てほしいじゃないですか。その入り口として最適な企画だと思います。やっぱり面白い映画って始まりから面白い。だから、このドラマは、普通の映画が何十分も使うところを数十秒で心をつかんでくるので、見事だと思いました。

――第1話は「呪いの指輪」(出演:北乃きい田口トモロヲ)、「隣に住む殺人鬼」(出演:城桧吏津田寛治)が放送されました。

おそろしい話ですよね。「呪いの指輪」はコトコト弱火と中火の間で火をつけて、恐怖心がどんどんあって……。「隣に住む殺人鬼」はタイトルから嫌だったんですよ。結末まで見たあと、面白くて“いろいろなパターンがあるんだな〜”と思いました。

とにかく演技力と脚本が本当にすごかったです。先日、制作の方から「見てくれましたか?」と聞かれたとき「見ましたよ〜。本格的じゃないですか!」と返したら「本格的ですよ!」って怒られましたけどね(笑)。制作陣の5分にかける思いを感じましたよ。

――その熱を感じて、飯尾さんも“もうひと頑張りしよう”と思ったんですね。

さらに“番宣一生懸命頑張らなきゃな!”と思いましたね。ちょうど、気合いが入ったときでしたから(インタビュアーに向かって)いいときに出会いました!

――(笑)。結島先生は、飯尾さんを当て書きしたようなキャラクターです。彼についてはどんな印象でしたか?

まさに自分そのものでしたね。そりゃこの先生もナメられるな、と思いましたよ(笑)。あと、(結島が)今の技術についていけていないじゃないですか。僕もそんなに詳しくないので、マネージャーに教わったり、やすに聞いたりしています。

――飯尾さんはSNSもされていますが、それは大丈夫だったんですか?

やっていくうちに慣れましたけど、動画を載せることはできないんですよ(笑)。文字打って送信は、ショートメールと同じパターンなので、ようやく使いこなせている感じです。

――今回の現場では、莉子さんとのやり取りがメイン。どんな話をされていたんですか? 

ドラマを見て感想を言いあう役なので、(撮影の合間に)「本音はどうよ」「イヤですよあの人!」とか、あとはお腹空いてきたら「何食べたい?」とかね(笑)。莉子ちゃんはコミュニケーション能力が高かったですよ。

――ジェネレーションギャップを感じたことは?

僕は(年齢差を)埋めようとしませんでしたけど、莉子ちゃん側は大いにギャップを感じていたでしょうね〜。鈍感なおっさんはそこもわからないので(若い人から)「そういうところだよ!」と怒られるかもしれないですね(笑)。

――今回は先生と生徒がデバイスを使ってドラマを楽しみますが、飯尾さんも動画をご覧になりますか?

YouTubeだと霜降り明星のチャンネル(「しもふりチューブ」)は見ちゃいますね。ふたりのことが好きなんですよ。せいやの全力感がいいし、粗品はボケたことに関してすかさずに拾って、自分からもいきますからね。

あとは、事務所の先輩で恩人でもある関根勤さんのチャンネル(「関根勤チャンネル」)も好きです。サザンオールスターズの桑田(佳祐)さんが「面白い」といってまた火がつきましたけど、やはりすごいなと思いますね。関根さんはどんなことでも掘り下げてくれますから面白いなと思います。やはり同業者の動画は見ちゃいますね。

飯尾和樹を突き動かしたウド鈴木からの電話

――ここからは、飯尾さんとテレビとの関わりについてお聞きしたいです。TVerでご覧になっている番組はありますか?

よく見ているのが『凪咲とザコシ』。9月で終わっちゃうんですよね~。あれ楽しみだったんですよ。ハリウッドザコシショウにも、渋谷凪咲ちゃんにも「楽しみのひとつが減った」と伝えたくらいです。美女と野獣の組み合わせで本当に面白いから、局の垣根を超えて読売テレビさんでやってくれないかな?(笑)。

家だと全録で見られるんですけど、ロケや泊まりが多いので、外に出ていて“『ダウンタウンDX』見逃した!”とか自分でやっている『ずん喫茶』を見たいと思ったときに、タブレットでTVerを見ています。見逃したバラエティが見られるので助かっていますよ。

――そんな飯尾さんが影響を受けたテレビ番組は?

この世代の王道ですけど、伊東四朗さんや小松政夫さんが出ていらっしゃった『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』から、大将(萩本欽一さん)の番組、『ドリフ大爆笑』『THE MANZAI』がきて『オレたちひょうきん族』。(お笑い界に)ぺんぺん草も生えていないだろうと思ったら、とんねるずさんが出てきて、今度はダウンタウンさんとウッチャンナンチャンさん、清水ミチコさん、野沢直子さんの『夢で逢えたら』がはじまって……。よくいろいろなお笑いを見ていました。

あとは(憧れた作品で言うと)映画『男はつらいよ』ですね。両親が大好きだったので、映画館に行って、帰りに外でメシを食うのが恒例でした。子供ながらに(主人公の車寅次郎が)うらやましかったですよ。好き勝手に旅にいくじゃないですか。

――少々強引ですが、『ずん喫茶』も各地の素敵な喫茶店を巡って“旅気分”を味わえそうです。

最高ですよね。コーヒー飲んで、ナポリタン食べて、次の店ではレモンスカッシュ飲んで、プリン食べて……。昭和の“いいところの子”のような感じですよね(笑)。ありがたい仕事ですよ!

――飯尾さんが、バラエティ番組にのぞまれる際に大切にしていることは?

20代のころ、一回スベったら前に行けなかったんですよ。そしたら仕事が減って、気づいたらバイトをしていて……。そういう思いがあるから、前に出るようにはしています。

あとは『内村プロデュース』に出たとき、終わったあとみんなで飲みに行って、ゲラゲラ笑いながら反省会をしているときに教わったのは、“スベってから考える”ですね。『内P』は、スベっても編集やテロップで笑いにしてくれていたんで、“人に甘えていこう”と思いました。

――現在、多数のレギュラーを抱えている飯尾さん。ご自身が思うターニングポイントは?

37、8歳のころ、年末にやすとランチを食べたあと喫茶店でネタを書いていたんですよ。そのとき、キャイ〜ンのウド(鈴木)から電話がかかってきて、忘年会の約束をしていたけど仕事で遅れるとの連絡があったんです。喫茶店の外で電話を切ったあと、やすに伝えようと思ったほんの5、6m歩いているときに“あれ? 芸人さんの数が必要な年末、なんで俺たちは喫茶店で「昨日はお魚だったから今日は肉のランチに変えよう」なんてやってんだろう”と思って(笑)。

今、呼ばれていないのは、そうとうヤバいなと思って、やすに「スベることとか気にせずに、MCにふられたら何でも答えよう!」「ワードが出てこなかったら、自分の好きな食べ物でも叫べばいいじゃねーか!」と言いました。そしたら、やすも「そうだな!」と。やすは0か100の男なんで、いいと思ったら100吸収するんですよ。

――(笑)。

その年明け、ライブに出たときに、MCから「正月は何やってたの?」とふられたやすが、いきなり「ホタテ!」と叫んだんですよ。“あれ? 自分が正月何をやっていたのかも出てこなかったんだ……。そして、あいつの一番好きな食べ物はホタテなんだ!”とわかった新年でしたね。

――(笑)。でも、その気持ちが大事ということですよね。

そうですね。そこから徐々に仕事が増えていきました。『内P』で学んだこともあわせて、取り組み方も変わりましたね。

あと、ウドを見ていても思いました。ウドは(笑いをとりに)果敢にいくので、そういう姿を見ていると“そうだ。これは仕事だ!”と思いました。だって、そば屋さんが、お客さんが残したそばを見て、もう(そばを)打たないってことはないじゃないですか。“スベってから考える”と“何でも答える”というのは大切にしています。

――最後にドラマの見どころをお願いします。

じっくり話が進むのもあれば、パーンといくものもあるし、サウナみたいに最後水風呂入ってととのうやつもあって……いろいろなゾクゾクの仕方があります。5分でどうやって伝えるのか、興味ある方も見てほしいですね。

カップうどんもお湯入れて5分ですから。待っている間にでもご覧いただきたいです。“いや、私はかた麺が好きなんだ”という人は食べ終わってからぜひ(笑)。おっさんが張り切っているところや、莉子ちゃんがスッと処理する感じも、非常に楽しいと思います(笑)。

(取材・写真・文:浜瀬将樹)

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