松本若菜、甘美でセクシーな復讐シーン「色気のない私でも色気を感じてもらえるはず」

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ドラマ『ミステリと言う勿れ』『やんごとなき一族』(共にフジテレビ系)でのインパクト抜群の役柄で注目を集める女優の松本若菜さん。そんな彼女が連続ドラマ初主演を務める『復讐の未亡人』(テレビ東京、毎週木曜26:35~)が、7月7日(木)にスタートします。

本作は、Netflixでオリジナルドラマ化もされた『金魚妻』で話題の人気漫画家・黒澤Rさんの同名漫画が原作。主人公の鈴木密/美月(松本さん)が、夫・優吾(平岡祐太さん)を死に追いやった職場のターゲットたちに素知らぬ顔で近づき、真相を探りながら巧妙な罠を仕掛ける密の復讐劇です。

“甘美でセクシーな復讐”を仕掛ける密を体当たりで演じている松本さんに、インタビュー。連続ドラマ初主演となった本作や演じる役への思い、また最近の躍進をご自身でどう感じているのか、伺いました。

――2007年、『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)で女優デビューしてから15年目で連ドラ初主演という大役に抜擢。初めてお話を聞いた時はどういうお気持ちでしたか?

デビュー15年で連ドラの主演ができるとは、夢にも思っていませんでした。本当に縁遠い物だったので、「主演が決まったよ」と言われた時は驚きもありましたが、自然と笑いながら涙が出て。俳優という職業の中で、主演は特別なものなんだなと感じましたね。

――クランクインした時はプレッシャーと楽しみ、どちらが強かったですか?

プレッシャーはやっぱりありました。ですが、今回の現場はキャストもスタッフさんも「大丈夫だから乗っかってきて」という方がすごく多くて、私は「いいの? 本当に乗っかるからね」という感じで(笑)。

一応、座長としての立ち振る舞いは、今まで私が見てきたさまざまな主演の方たちを真似させてもらいながら自分なりにしていましたが、あまり気負い過ぎずに、なるべく自然体でやろうと気を付けていました。

――現場の中で主演を感じた瞬間はありましたか?

みんなから「座長」と言われる時ですね。あと、差し入れを多く入れている時など(笑)、日々のちょっとしたところで主演だなと感じていました。

――黒澤Rさんの原作作品に出演するのは、Netflixオリジナルドラマ『金魚妻』に続き、2度目になりますが、原作コミックを読んだ感想をお聞かせください。

『復讐の未亡人』はとにかく画がリアルで、復讐をしている時の主人公の表情や相手の表情に、すごく恐怖を覚えて。『金魚妻』とのギャップが、印象的でした。

――実際に出来上がったドラマ映像をご覧になられてどう感じましたか?

監督は色味など、画にすごくこだわられていて。復讐場所として一番多く登場するオフィスのセットには赤い壁があるのですが、出来上がった映像を見ると、登場人物たちの背景に真っ白で無機質な中に赤がバッとでてきて、視覚での恐怖は考えて作られているのだと改めて思いました。そういったところも注目して見ていただけたら、面白いかもしれないです。

――演じる密は、IT 企業の派遣社員として勤める有能なプログラマー。美月から密という偽名を使い、夫を死に追いやったターゲットたちに妖艶さと狂気を武器に復讐を遂げていきます。役にどんな印象を抱きましたか? また、演じる上で意識したことを教えてください。

密は仕事が完璧で、みんなが憧れる存在なのですが、その場に実際にいるのか錯覚を起こしてしまいそうなくらい、存在自体が不思議な女性だなと感じました。

そんな無機質な繊細さを出すために意識したことは、極力動作を減らすことです。特にオフィスのシーンでは、同僚たちから慕われてはいるけど、どこか異質な違和感をもたせられるよう、腕や足を組むことは極力せず、目の動きも減らして、台詞も気持ちのいい間ではなく敢えて少し気持ち悪いテンポで話すなど、見ていて違和感を抱けるよう人間っぽさを出さないようにしました。

あと密は、執着心の強い女性だとも感じていて。最初のターゲットとなる課長に対しても、もっと簡単に復讐する方法がありますが、時間をしっかり使い、徐々に徐々に精神的にも肉体的にも追い詰めていきます。

強いだけではなく、儚さや復讐に対する執着心を持ち合わせた繊細な部分を、少しでも台本から汲み取って演じるようにしたので、そこが伝わったら嬉しいです。

――1話で密が「復讐って気持ちいい……」と口にするシーンはすごく印象的でした。

そこは、監督とすごく悩んだシーンです。笑顔で言うのか、つぶやくように言うのか、いろいろ考えましたけど、密は復讐を快楽でやっているわけではなくて。なので、監督と「狂気に近いような感じに見えたらいいね」という話になり、それを意識しながら演じました。

――『金魚妻』に続いて、劇中では、夫を自殺に追い込んだ職場のパワハラ課長・の橋本雅也(松尾諭さん)や、同僚・斎藤真言(桐山漣さん)と夜のオフィスで急接近する大胆なシーン、在りし日の夫と美月の甘くセクシーな思い出の夜の場面など、甘美で美しいシーンも多いですね。

私は昔からドラマで男性を誘うシーンなど、カメラマンさんたちに「本当に色気が無い」と言われ続けてきたんです(苦笑)。なので、エロティックな作品でお話をいただいたときは、「私が出来るのかな……」という心配はありました。

この作品の前に撮影していた『金魚妻』は、皆さんの力を借りて何とか撮影を終えられて。その後に入った本作は、地上波ということもあり、Netflixのように露出も多くできずにさまざまな制限がありましたが、その中でもいかにセクシーさを表現できるか、みんなで考えながら演じました。色気のない松本でも、色気を感じてもらえるはずです。

――夫・優吾の元部下で現在は密の同僚である斎藤真言を演じる桐山さん、優吾の弟で探偵の鈴木陽史を演じる淵上泰史さん、密の夫・鈴木優吾役には平岡さんとは、現場でどのようなやりとりをされていたのですか?

3人とは同世代だったので、現場では同年代トークをして楽しんでいました。中でも、2度目の共演となる淵上くんは、今回、私が初めて主演をすることを知り、「役をもらった時に、“松本若菜座長”を支えるようにと思った」と言ってくれて、その気持ちがすごく嬉しくて。主演は初めてだったので、余計に気負っていたことも多かったのですが、一機に肩の荷が下りました。私は皆さんの言葉に甘えて、大きな船に乗った感じで。3人とは、とても強い絆で結ばれているなと思いましたね。

――今年はドラマ『ミステリと言う勿れ』『やんごとなき一族』など出演作が続き、話題を集めていますが、周りの反響はいかがですか?

今年になってからタイミングよく出演作が続いて、「すごく忙しいでしょ?」とよく言われますが、休みがないなんてことはなくて(笑)。一つひとつの作品にしっかりと向き合い、楽しみながらやっています。

『ミステリと言う勿れ』に出させてもらったあたりから、わかりやすくSNSのフォロワーやコメントが増えて、こんなに見ていただいているのだと実感しました。そしてその後の『やんごとなき一族』では、「こんな役もできるんですね」と言っていただく中で、7月からは『復讐の未亡人』が始まります。いろいろな役を見ていただけるのは、私の15年の経験値を短期間で皆さんに見ていただけるということ。それはすごく幸せなことだなと思っています。

――大役となった『復讐の未亡人』の撮影を終えた時は、どんなお気持ちでしたか?

達成感がありましたね。あと撮影がただただ楽しかったので、終わった時はすごく寂しかったです。「もう密じゃないんだ……」「あのメンバーに会えないんだ」と思えるのは、それぐらい撮影時間が濃密なもので、印象深い日々だったんだと感じています。この役とこの作品に出会えたのは、自分の俳優人生の中でのターニングポイントだと思っています。

――このドラマを通じて、視聴者の方にどういうことを感じてほしいですか?

何かに憤っていたり、ストレスを抱えて生活していたりする方々に、スカッとしてもらえるお話だと思います。あと私自身、密の台詞や行動に生きるためのヒントや考え方をもらって。視聴者の方にも、何か感じてもらえることがあったり、人生の助けになったりする言葉があったらうれしいです。

<第1話あらすじ>
IT企業に勤める有能な派遣プログラマー・鈴木密(松本)。密が働くのは、夫・鈴木優吾(平岡)が自殺した元職場だった。開発部課長・橋本雅也(松尾)の怒号が響きチームリーダーの斎藤真言(桐山)がなだめるもパワハラは止まないひどいブラック企業だ。夫を追い詰めた同僚に復讐を誓い密と作業員に扮した優吾の弟・陽史(淵上)も潜入し、ターゲットに近づく。密は巧みに誘惑し甘い口づけを交わし……!

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