望月歩、苦悩経て取り戻した“熱”「いま心が動いているって…」【連載PERSON】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。

今回は、絶賛公開中の『映画 妖怪シェアハウス—白馬の王子様じゃないん怪—』でイギリス育ちIQ180の天才数学者・AITO(あいと)役や、6月30日から放送される新ドラマ『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』(テレビ東京系、毎週木曜24:30〜)で高木真司役を演じる望月歩さんが登場します。

2014年に公開され大ヒットした映画『ソロモンの偽証』の柏木卓也役を怪演し話題になった望月さん。『3年A組―今から皆さんは、人質です―』連続テレビ小説『エール』『元彼の遺言状』など、立て続けに話題作に出演し、ドラマや映画ではなくてはならない存在となっています。

本インタビューでは、空気ばかり読んできた主人公・目黒澪(小芝風花さん)が、妖怪たちと一緒に生活する中で、たくましく成長していく姿を描いた『妖怪シェアハウス』と、平均的タイプの女子・小向璃子(与田祐希さん)が、プラモデルに出会って自分を見つめ直していく『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』の2作品の魅力はもちろん、芸能界に入ったきっかけとなったあのアイドルの話や、プライベートでやってみたいことなど、幅広く語っていただきました。

『妖怪シェアハウス』で人見知り克服!?

――『妖怪シェアハウス』で演じられたAITOは、澪が恋する王子様で、一風変わった人物。演じる側からすると、やりがいのあるキャラクターだったのではないでしょうか?

“日本に慣れていない”といった役を演じるのが初めてだったので、すごく新鮮だった分、難しいところもありました。今までやってきた準備の仕方では無理なんだろうな、という感じでしたね。

――演じる上で、こだわったところを教えてください。

“言葉”です。(天才数学者のため)すごく難しい言葉がたくさん出てくるんですよ。最初は“なんだこれ~!”と思いながら台本を読んでいましたが、そうした難しい言葉を、自分に馴染ませる作業を丁寧にしました。

あと、黒板に公式を書くシーンがあるのですが、あれはきちんとした公式らしく、識者の方から見ても違和感のないもの。そういった細かな部分にこだわれたのは、(説得力を持たせる意味でも)自分の中で大きかったです。

――『妖怪シェアハウス』はもともとドラマで2シリーズ放送されていました。できあがったチームの輪に入るのは、どんなお気持ちなんですか?

最初は怖かったんですけど、初日から妖怪たちがいて、“自分はこの世界・この作品に迷い込んでしまった!”という感覚になれたので、その恐怖心はすぐになくなりました。みなさん、ウェルカム状態で迎え入れてくださいましたね。

――やりやすい環境だったんですね。

キャストの方はもちろん、スタッフのみなさんとも仲良くなれました。今回は、それがとても大きかったです。僕、もともと人見知りだったんですよ。もう“だった”と言うようにしているのですが、もうおさまったというか……。この作品をきっかけに、ほかの作品でも、スタッフさんとコミュニケーションをとるようになりました。

――小芝さんとは初共演だそうですね。印象はいかがですか?

僕より年上の方ですが、シーズン1を見て現場に行ったのもあって、“抜けている感じなのかな”と思ったら、現場でいろいろな方に気を配っていらっしゃるし、自分にも話かけてくださって……。“イメージと違う。大人の女性がいる!”と思いました(笑)。もちろん天然で可愛らしいところもあるんですけど、とても大人な方だなって。

――小芝さんがいることで現場も明るくなりそうですね。

空気が明るくなっていくのを実感しました。“こう振る舞うことで、現場の空気が良くなるんだ”と勉強になりました。

――小芝さんとは、どんなお話をされたんですか?

何事にも興味を持っていろいろなことを聞いてきてくださったり、「絵を描こう!」と誘ってくださったり、とても楽しかったです。僕も絵が下手なんですけど、小芝さんもあまり上手ではなく(笑)。みんなでやったのですが、特に(ぬらりひょん/沼田飛世役の)大倉(孝二)さんがお上手でした。

――望月さん自身は、映画に出てくる「妖怪」の中で、誰と絡んでみたいですか?

圧倒的に座敷童子(和良部詩子/池谷のぶえさん)です。池谷さんが怒るシーンがあったのですが、その怒り方が可愛くて可愛くて……。あれを生で見てみたいなと思いましたね。“面白い”だけではなく、納得できる演技をされていて、すごいと思います。

――現在、TVerではドラマ全話を配信中。復習をしてから劇場版を楽しむことができます。映画『妖怪シェアハウス』の見どころを教えてください。

シーズン1から面白いのに、シーズン2にかけて、エネルギー値がすごく上がっている感じがするんですよ。映画はもっとその値が強くなっていると思うし、あの掛け合いを劇場の音とスクリーンで楽しめるって贅沢で面白いところだと思います。

僕は、作品の“カロリーの低さ”が、すごく大事だと思っていて。たとえば重い内容のものは、デートでは見にくいじゃないですか。だから、家族で楽しんでもいいし、恋人と手を繋いで見てもいいし、1人で見てもいいし、娯楽の1つとして楽しめるのが『妖怪シェアハウス』の魅力。その中でも、見応えある作品だと思っています。

プラモデルに悪戦苦闘!

――続いて『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』についてもお聞かせください。璃子の後輩・高木役を演じられますが、こちらはどんなキャラクターですか?

オタク気質で、VTuber(ブイチューバー)が好きで、口数が多く、すごく分析もするんですけど、表立って前には立てない。できるなら責任をとりたくはない……といった人物です。

――自分と似ていると思うところ・似てないと思うところは?

自分は目立ちたいタイプで、前に立ってやりたい側だったので、そこは違うところかなと。ただ、アニメ・ゲームが好きで趣味嗜好が似ていると思いますし、(高木は)言い訳や何かをごまかすときにまくしたてるんですけど、自分もそうなので、そこは近いかもしれません。友だちと待ち合わせして遅刻しちゃったときの言い訳もすごくうまいです(笑)。

――たとえば、どんな時にどのような言い訳をするんですか?

僕、ゲームに対してプライドが高いところがあって、勝負をして負けたときに「これはこうでこうだから、いま負けたのは仕方ないでしょ?」っていろいろな理由を並べます(笑)。

――(笑)。すでに撮影は始まっているそうですね。現場の雰囲気はいかがですか?

とても良いですが、1つ問題があって。押す(予定より遅れる)のはまったくかまわないのですが、良くも悪くもみんな焦らないんですよ。雰囲気が良すぎて誰も急ごうとしないというか……もちろん順調には進んでいるんですけどね(笑)。

あと、みんな仲良いんですけど、いつのまにか、イベント3部という部署に所属する高木役の僕、璃子役の与田さん、中野京子役の藤井(夏恋)さんと、役柄として仲良い同士で固まることが多いかもしれません。

――スタッフさんとはいかがですか?

『妖怪シェアハウス』の豊島(圭介)監督が今までで一番褒めてくださる方だったんですけど、『量産型リコ』のアベラ(ヒデノブ)監督が超えてきましたね。とても褒めてくださいますし、腰が低すぎて、たまに困ります。廊下ですれ違って目があっただけで「すみません」と言われるんですよ(笑)。そういう方が中心になって作っているので、雰囲気がいいですね。

――プラモデルが登場するドラマですが、実際に作ったことはありますか?

経験はなかったんですけど、作品に向けてプラモデルを1つ作りました。ハイグレード(HG)やマスターグレード(MG)など、種類によってパーツが多かったり、精巧に作られていたり、いろいろ違いがあるんですけど、とにかく難しかったです。

当たり前ですけど、見えない箇所にもパーツはあって、しっかり作り込まれている。そういうところを作っていると、役作りもこうやって納得していく作業なんだなと思いました。

――本作の見どころを教えてください。

『妖怪シェアハウス』とつながる部分があるのですが、こちらも“カロリーの低さ”がいいなと思います。まったく重くはないので、深夜に見てスッキリして寝られるのが魅力。基本的に、登場人物たちが、一歩踏み出して成長していく物語なんですけど、彼らにとってはその一歩がとても大きなことで、その変遷が分かりやすいし、プラモデルと絡めて作っているので、“自分もプラモ作ってみようかな”と思える作品だと思います。

のメンバーに会ったらやりたいこと

――続いて、望月さんとテレビとの関わりについてお聞きしたいです。影響を受けたテレビ番組を教えてください。

嵐さんに憧れてダンスを習い始め、そこでの「ご縁」で気が付いたら俳優業を始めたんですけど、『嵐にしやがれ』や『VS嵐』など、みなさんが出演されているバラエティはよく見ていました。ああいった番組に触れて、いつのまにか嵐さんに憧れていました。そもそも当時は、“嵐に入りたい”と思っていましたから(笑)。

――嵐さんの魅力はどんなところにあると思いますか?

みなさんのノリみたいなものが全国に広がっていて、視聴者の方が“その輪に入っている感”を感じられるのが魅力だと思います。ゲームをされているのを見ていても、一緒に盛り上がれますし、敬称略させていただくと「おい、松潤~!」みたいにツッコミながら楽しめるのも、とても楽しかった記憶があります。

――メンバーにお会いしたことはありますか? 

それがお会いしたことなくて……。ただ、作品を撮影しているときに、隣のスタジオであるメンバーの方が収録されていたことがあって、あの日はテンション上がりましたね(笑)。お目にかかれませんでしたが、名前が書いてあるだけで興奮しました!

――お会いしたらやってみたいことはありますか?

一緒に写真を撮っていただきたいです。持ち受けにしたいです!

――(笑)。TVerは利用されますか?

自分が出ている作品など、ドラマを見るときにお世話になっています。移動中や空き時間によく見ていますね。

――TVerにはさまざまな機能がありますが、何か使っていますか?

最近、共演者の方から教えてもらったんですけど、リアルタイム(ゴールデン・プライムタイムのみ)で見られるんですよね。それを知らなくて……。最近、TVerで1番ビックリしたことです(笑)。時間が合えば、外でも見られるっていいですよね。

――現在21歳ながら、さまざまな作品に出演されている望月さん。役者をするにあたって軸になった出来事はございますか?

小学生の頃から演技レッスンをさせていただいていたのですが、先生に「自分が楽しめるものに汗をかきなさい」と言われたことが大きくて、そこがブレなかったから続けられたと思います。あと怒られて落ち込んでいたら「好きでやっているんでしょ?」と言われたときは“確かにな”と納得しました。先生から言われたこの2つの言葉は、俳優の軸になっていると思います。

――これから挑戦してみたいことを教えてください。まずプライベートは?

自分の好きな銃と装備を揃えて、サバイバルゲームをやってみたいです。1度やらせてもらったことがあるのですが、ゲームも好きだから、銃を見たら「これアレじゃん!」って興奮しましたし、すごく楽しかったんですよ。自分は仕事柄、人を観察することが多いのですが、大人たちがワクワクしながら銃を組み替えたり、装備を身につけたりしているのを見るのがすごく好きで(笑)、“あの輪に混ざりたいな”と思いました。

――お仕事ではいかがですか?

ここ数年、頑張ってはいたんですけど、コロナなどいろいろあって、心が生きている気がしなくて……。そういう時期が続いたとき、いろいろな方に相談すると「その年代はそうだから、たいしたことじゃないよ」とアドバイスされることが多かったんですよね。

今その期間から少しずつ抜けてきて、大人になったというか。“あ、心がいま動いている”、“生きてる!”といった感覚になってきたので、何かに挑戦したい熱量はすごくあります。今はありがたいことに、いろいろな役をやらせていただいているので、幅を広げたい気持ちもありますし、抽象的ですけど、主演をやりたいですね。

(取材・文:浜瀬将樹、写真:松本理加)

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