影山優佳、愛弟子の明かす“オシム伝説”に感激!「すべての言動に意味と愛がある」

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6月18日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)に、元日本代表の羽生直剛佐藤勇人日向坂46影山優佳がゲスト出演。5月1日に80歳で亡くなったイビチャ・オシムについて、MCの勝村政信とトークを繰り広げた。

今回は、ジェフユナイテッド市原・千葉を強豪チームに育てあげ、日本代表監督も務めた名将の素顔に迫る後半戦。前回に引き続き、影山がオシムにまつわる“噂の真相”を愛弟子の羽生と佐藤に質問していくことに。最初の噂は「オシムは預言者ではないか」というもの。佐藤が「ハーフタイム中にオシムさんが最後しゃべるんですけど、そのときに言ったことが後半その通りになるみたいなことがあったよね」と確認すると、羽生も同意。VTRで出演した阿部勇樹も、試合中にオシムから「このままだと負けるぞ」と言われたことがあり、1対0でリードしていたにも関わらず、逆転されたことがあったという。

なぜオシムは試合展開を読めるのか。羽生は、オシムが海外の試合から日本の高校生の試合まで、数多くの試合を見ていたと証言し、「“この状況でこうなっていったら勝ち”みたいなのがオシムさんの中で頭の中にあって、統計的に次はこうなるというのができるんじゃないか」と予想した。オシムは膨大な数の試合を見ることで圧倒的な知識を蓄積。その叡知によって、試合の展開をことごとく読んでいたという。

練習方法もオシムの知見に基づいており、その代表的なものが、縦105m×横68mのオールコートを3対3でプレーする“地獄のオールコート練習”だった。このハードな練習について、羽生は「オシムさんは選手の疲れた頃合いを見て“今のだったらこうやって崩せるぞ”というのを教えてくれるんです。だから、3対3はフィジカルトレーニングという位置づけじゃない。試合終了間際の逆転できるかもしれない3対3のシチュエーションをゴール前で作れたときに、コンビネーションで得点するところまで考えていたんじゃないかな」と、オシムの狙いを明かす。

ジェフはこの練習を取り入れたことにより、試合時間残り10分以降の得点数が2.5倍に増加。体力が限界を迎えても、常に攻められるチームに生まれ変わった。そして、オシム流の練習をこなし、2005年のヤマザキナビスコカップでは悲願の初優勝を果たす。しかし、初タイトル獲得時にも、オシムはいくつかの伝説を残していた。

ナビスコカップの決勝ではPK戦の末に勝利を手にしたジェフだったが、オシムには「PKを見ない」という噂があり、影山は「オシムさんってPKになるとロッカールームに戻っちゃうみたいな話を聞いたんですけれども、これは選手からしたらどうなんですか?」と質問。佐藤は「ナビスコカップの決勝の時も見ていませんでしたね」と、優勝の瞬間もピッチにいなかったことを打ち明けた。自身が掲げる「考えるサッカー」の必要性がないPK戦は、オシムにとって必要のないもの。「PKはサッカーじゃない」という思いから、PK戦を見なかったのだという。

また、優勝時の胴上げについても、オシムは断固拒否。ナビスコカップ決勝で勝利し、喜びを分かち合おうと選手が一斉に駆け寄るが、オシムは胴上げを断り続け、しまいにはブチギレてしまう。羽生は「こいつらに優勝を経験させてあげられたという感覚なのかもしれない」と、あくまで選手主体で考えているのではと指摘。佐藤は「あとはやっぱり次を見ている感じですよね。まだ終わってないっていう」と分析した。

羽生は、優勝しても浮かれないオシムのメンタリティを表すあるエピソードを披露。それは、ナビスコカップが終わって、リーグ戦に入った際の記者会見での出来事だった。オシムは記者からナビスコカップ優勝について聞かれ、「もうクラブハウスに届いたナビスコ優勝の花は全部枯れたよ」と答えたという。羽生は「過去のことだから、次の話をしようということだと思うんです。そういうのがいちいちカッコいいんですよ」と振り返った。

そして、ジェフを強豪に変えたオシムは手腕を買われ、日本代表監督に就任。ジェフにとってはシーズン途中の交代劇となったが、羽生や佐藤も寂しさや残念な気持ちは感じつつも、オシムのチャレンジを尊重することにしたという。

日本サッカーを変えるため、2010年の南アフリカW杯に向けて動き出したオシムJAPAN。代表に初招集され、全試合に出場した鈴木啓太は、オシムから「水を運ぶ選手」と評されていたことについて、「自分の生きる道っていうのは、周りの優秀な選手たちをどう気持ちよくプレーしてもらうかということだったので。自分はそういうプレーに徹していたつもりではあるんですよ。ただそれをうまい表現の仕方をしてくれた」と感謝していた。

オシムは、そんな鈴木をはじめ、中村憲剛本田圭佑など、A代表未経験の若手を積極的に招集。ドイツW杯メンバーから大幅な世代交代に踏み切った。ジェフから招集された巻誠一郎は、オシムからかけられたある言葉を反芻する。それは「巻はジダンになれない。でも、ジダンにないものを持っている」という言葉だった。巻は「僕にとってはサッカー選手を続けていく中での勇気になりましたし、自信になりましたし、僕のプレーのベースとなった言葉ですね」と明かす。

オシムの通訳を務めた間瀬秀一や昨年引退した阿部は、オシムの背中を追うように指導者の道へ。サッカーだけではなく、その人の生き方も変えるオシムの影響力について、勝村は「100年、200年経っても、オシムさんの名前ってサッカー協会の中に残っていると思うんですよね。こうやって影響を受けた人から僕も話を聞いて、直接ではないけどオシムさんに出会えて本当によかった」と話し、影山も「オシムさんのすべての言動に意味と愛があるっていうのを実感しました。本当にこれからも語り継がれていくし、みんなが思い出すというよりは、常に心の中にあるような存在なんだろうなっていうのを知ることができてよかったです」と締めくくった。

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