坪井慶介、中村俊輔に感心!W杯用の最新ボールでゴールを決める姿に「すごさを感じた」

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6月4日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、元日本代表の中村俊輔が登場。カタールW杯で使用される公式試合球「アル・リフラ」を試し蹴りし、弾力性や空気抵抗の少なさを高く評価した。

スタジオには、これまでのW杯で使われてきた歴代の公式試合球が登場。ゲストにアディダスジャパンマーケティング事業本部・髙橋慶多を迎え、MCの勝村政信や解説の坪井慶介と共に、公式試合球の歴史を紐解いていった。

1930年に行われたW杯の第1回目となるウルグアイ大会では、サッカーの母国であるイングランド製の茶色い牛革製のボールが使われ、それ以降は主に開催国が公式試合球を製作。その慣例が変わったのは、1970年のメキシコ大会からだった。この大会から、公式試合球をアディダスが手掛けることになり、五角形と六角形のパネル32枚で構成された白と黒のボール「テルスター」が採用される。”テレビスター”を意味する「テルスター」はテレビ時代の到来を告げる象徴的なボールで、モノクロテレビでも観戦できるように白と黒のデザインにしたのだという。

続いて、劇的な進化を見せたのが1986年のメキシコ大会で使われた「アステカ」だった。このボールには防水加工が施されており、髙橋は「これまでは天然の牛革を使っていたが、アステカからは人工の革に変えたことが大きい」と説明。人工の革が水を弾き、これまでのような選手のプレーに悪影響が出ることを防いでいる。

2006年のドイツ大会では、ボールを作る工程を手縫いから熱圧着に変更。縫い目の凹凸が滑らかになると同時に、パネルの枚数も32枚から14枚に減り、より”真球”へと近づいた。真球になればなるほど、ボールは空気抵抗を受けなくなり、飛行安定性につながっていく。

ここからパネルの進化は加速。2010年の南アフリカ大会ではボールを構成するパネルが8枚になったことで、軌道が不規則に変化し、”ブレ球”を打つ選手が増える結果になったという。勝村が「空気抵抗があまりになさ過ぎて、想像のつかない揺れ方をする」と説明すると、坪井も「ディフェンダーはボールをカットしたいんですけど、ブレてくるからめちゃくちゃ奪いにくかった」と、守備側が苦戦したボールだったことを伝えていた。

2014年と2018年はパネルが6枚になったが、パネルの形や表面の加工で軌道の安定性は向上。しかし、理想のボールを追い求めてきたアディダスの最新作「アル・リフラ」は、なんとパネルが20枚と、これまでとは異なるアプローチで開発されていた。

番組では、フリーキックの世界的名手である中村に、カタールW杯でも使われる「アル・リフラ」を試し蹴りしてもらうことに。4月下旬、グラウンドに現れた中村は「アル・リフラ」でリフティングしながら、「よく弾むし、反発力があると思う」と、早くもボールの特徴をつかんでいた。

この日は、2014年の「ブラズーカ」と2018年の「テルスター18」も用意し、その違いを比較。3つのボールを続けてゴールに入れた中村は、「アル・リフラ」について、「いいね! いいキックのときは飛んでいく」と感想を述べていた。

実際に、3つのボールの軌道を比較してみると、カーブの頂点の位置は「アル・リフラ」が最も高いことが判明。さらに、中村は「反発が強い。でも足に吸いつくような感じもするかな。蹴りやすかったですね」と感触を伝え、「今はゲームも組織立っていて、そういう選手のスピーディーさにボールがついていくというか、ボールがより良いゲームをさせる感じがする」と分析していた。

スタジオでは、これまで以上に蹴りやすくなった「アル・リフラ」について、髙橋が「パネルの枚数を減らすというアプローチではなくて、パネルの形状や表面の加工に着目しました。結果としてパネルの枚数は増えたんですけど、飛行安定性などは向上させることができました」と自信をのぞかせる。さらにボール表面にわずかな凸凹を作ることで空気抵抗も軽減しており、バックパスのような低速の段階でも、高速の強烈なシュートレベルでも、空気抵抗が小さくなることを実験で証明した。

勝村は、ボールの性能もさることながら、確実にゴールを決める中村のシュートにも目がいったようで、「やっぱり技術の高い人っていうのはすごいですね」と感心。坪井も「ボールのすごさも感じましたけど、俊さんのすごさも感じちゃいましたね。3回とも同じフォームでしたし」と同意していた。

そして、どんなシーンでも軌道が安定し、ボールスピードも落ちづらい「アル・リフラ」を日本代表はどのように活かしていけばいいのか。坪井は「正確なパスワークで大きい相手や速い相手を崩していくのは、日本の選手たちが得意だと思うので、そこは非常に活きてくるのでは」と予想。一方で、「ボールに反発があるということは、遠いところからでもカーブをかけて落としていけるという利点もあると思う。フリーキックのスペシャリストがほしいですね」と訴えていた。

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