山崎紘菜&北乃きい、壮絶現場でのほっこりエピソードと舞台裏を明かす!

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テレビ東京の新ドラマ枠で放送される『汝の名』(テレビ東京ほか、毎週火曜24:30~)、が4月5日よりスタート。本作で、愛憎入り乱れる姉妹をW主演で演じるのは山崎紘菜さんと北乃きいさんです。「輪(RINKAI)廻」で第7回松本清張賞を受賞した明野照葉さんの同名小説をドラマ化した本作は、“女王様”と“奴隷”のような関係性の姉妹が、憎しみ合いながらも、心の奥底では依存し合う、屈折した愛情が描かれる新感覚ホラーサスペンス。

第1話から壮絶なシーンが続く現場で、山崎さんと北乃さんは、どんな思いで撮影に臨んでいたのか――率直な胸の内をお二人にお聞きしました。

――台本を読んだときの感想をお聞かせください。

山崎:原作の小説は、話の骨組みがしっかりしているので、脚本もすごく面白くて。一度読み始めたら止まらなくなり、一気に読んでしまいました。とても素敵な作品に携われるんだと思い、光栄な気持ちでした。

北乃:私はこれまでいじめられる役が多かったのですが、そこから復讐していくという役はやったことがなかったので、こういう役を演じられるんだと嬉しく思いました。昔から心の中に闇を抱える役を演じるのが目標だったので、夢がひとつ叶ったという思いが強かったです。

――複雑な関係性の役柄でしたが、共演してみてどんな印象を持ちましたか?

山崎:北乃さんは本当にしっかりされた方で、現場でも頼もしかったです。

北乃:山崎さんは、これまでの役柄もあってクールな印象でしたが、現場でも常にニュートラルにいられる方だなと。山崎さんが演じた陶子は感情の起伏が激しい人なのですが、山崎さんはいつも冷静で、あまりプロセスを見せない、完璧なイメージでした。

――撮影中のエピソードで印象に残っていることはありますか?

山崎:北乃さん演じる久恵にビンタをしたり、頭からワインをかけたりと、結構激しいシーンが多くて、撮影前に北乃さんに「本当にすみません」とお話をさせていただいたら、北乃さんが「大丈夫、全然慣れているので」とサラリとおっしゃっていたのが印象的でした。

北乃:いじめられる役は慣れているので(笑)。でも初めて語りますが、撮影のシーンではワインではなくぶどうジュースが用意されていて、それをかけられたのですが、その撮影の日からぶどうジュースが飲めなくなりました。本来好きだったんですけれど……役が抜けても、ぶどうジュースだけが飲めなくて。慣れているつもりだったのですが、こういう現象が起こるんだと自分でも新発見でした。

――そんなシーンがあると、待ち時間でもあまり話をしなかったのでしょうか?

北乃:離れようとも、仲良くしようとも、あまり意識することなく、普通に接していました。

山崎:1月のすごく寒い時期の撮影だったのですが、北乃さんが温かい飲み物を買ってくださったときがあって、優しさが沁みました。

北乃:そのとき山崎さんが「シーンの中でいじめてばかりいるのに、嬉しいです」って(笑)。その後に、グミが好きか聞かれて「好きです」と答えたら、グミをくださいましたよね。

山崎:プレゼント交換しましたね(笑)。でも撮影時間がタイトで、しかもどちらかがものすごく台詞の量が多いシーンが続いていたので、あまりコミュニケーションをとることができなかったんです。できることならもっとお話させていただきたかったです。

――一番きつかったシーンは?

山崎:後半の状況が変わった後のシーンで、あまり瞬きをしないようにしていたときは、フィジカル的に難しかったです。

北乃:私は後半に、生花をつぶしたり、作ったばかりのご飯を捨てるシーンがあったんです。撮影中は全力でやりますが、終わって家に帰ったあとは、なんか心が苦しくなっているなと感じて結構きつかったです。

――憎しみ合いながらも、依存し合うという関係性は演じてみて理解できましたか?

山崎:私の勝手な解釈なのですが、陶子と久恵は、本心ではきっと愛し合っていたのかなと思っていました。好きの反対ってきっと無関心だから、相手への強い感情があるって、実は惹かれているからなのかなと。理解ができるかというと分かりませんが、なんとなく感覚的には腑に落ちるところはありました。

北乃:共感することは基本的にはなかったです。脚本をもらって最初に調べたのが共依存についてだったのですが、私は何かに依存をしたことがなかったので、やっぱり本質は分からなかったです。でも、共依存というキーワードで見ると、陶子も久恵も、似ていないようで似ているということは理解ができました。愛情が変化すると、こうなるんだという関係性は理解できたような気がします。

――先ほど北乃さんはぶどうジュースが飲めなくなったと話していましたが、役を抜くという作業は意図的にしているのでしょうか? それとも自然に抜ける感覚ですか?

北乃:私の場合は自然と抜けます。でも3日間ぐらいかかることはあります。逆に役に入っているときは、周囲から気づかれます。このドラマも撮影中は友達に「いまなんかの役に入っているでしょ?」と言われました(笑)。多分言い方とかきつくなっていたんでしょうね。

山崎:自分と違う人物を作り上げるというより、自分との共通点を探して、そこから膨らませていくイメージなんです。もちろん自分の延長線上に陶子がいるかというと違うのですが、小さな部分でもどこか共通点を見つけて大きくするという取り組み方なので、役が抜けないという感覚を味わったことはあまりないですね。

狂気に満ちた二人の姉妹の愛憎が、回が進むごとに変化していくさまは、切なくもあり、美しくもある。タイプが違う二人の女優のぶつかり合いは、見ている側に強い緊張感を与えると同時に、強い哀愁も想起させられる。
(取材・文:磯部正和)

<あらすじ>
美貌と才能を兼ね揃えた若き社長・麻生陶子(山崎)。一方、妹の久恵(北乃)は姉とは真逆の性格で、失恋を機に陶子の家で引きこもっていた。陶子は久恵のことを都合のいい存在として扱うが、久恵は陶子の役に立てることに喜びを感じ、お互い奇妙な共存関係を築いていた。

しかし壱岐亮介(EXILENAOTO)と陶子が出会ったことで、二人の隠していた過去が明らかになり、姉妹の立場も逆転していく……。

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