中田英寿が怒っていたのは…日本サッカー界に不足する“コトバ力”をプロが解説

中田英寿が怒っていたのは…日本サッカー界に不足する“コトバ力”をプロが解説

つくば言語技術教育研究所の所長で、JFAアカデミーコミュニケーション講師の三森ゆりかが、8月28日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。サッカーに必要不可欠な“コトバ力”について解説した。

JFAアカデミーコミュニケーション講師 三森ゆりか
JFAアカデミーコミュニケーション講師 三森ゆりか

サッカーにおいて、試合中に瞬時に戦況を見極め、ベストなプレーを選択するためには、言葉によるコミュニケーションが重要になる。言葉のスペシャリストとしてJFAアカデミーや、ライセンス講習の講師を務める三森は、これまで多くのサッカー選手に言語技術を指導。番組アナリストの名波浩もその一人で、指導者ライセンスの取得を目指していたときに三森の指導を受けたことがあるという。

名波が言葉の大切さを初めて意識したのは、セリエAのACヴェネツィア時代。27歳でイタリアに渡った名波は、当時の状況について、「言葉がしゃべれなかったらボールがこない。文法なんか関係ない、単語でもいいから、とにかく伝わるようにしなければ試合にも出られなかった」と振り返った。サッカーにおけるコミュニケーションの重要さを知った名波は、2014年にジュビロ磐田の監督に就任した際に、チーム低迷の一因が選手間のコミュニケーション不足にあると確信。三森に選手間のコミュニケーションの改善を依頼した。

番組では実際に三森が行ってきた“コトバ力”を高めるトレーニングを実践。目で捉えた情報に根拠や証拠を付け足す「絵の分析トレーニング」や、お題についての質問に次々と答えていく「対話のトレーニング」、順序立てて物を説明する「順序立てゲーム」などに、番組MCを務める勝村政信片渕茜アナウンサーが挑戦した。

三森のトレーニングは、すべて伝える力やコミュニケーション能力を養うためのもの。名波はジュビロ磐田でこれらのトレーニングを行った際に、日本人選手と外国人選手とで明確な違いが出たと話す。日本人選手よりも外国人選手のほうが積極的に意見を出していたそうで、その要因について三森は、海外では問題の意図や状況まで深く追求する教育が行われていると指摘。また、勝村は日本の文化的な側面に触れ、「日本人はしゃべらないのが美学だったりすることがあって、それが大きく影響しているかもしれない」と語った。

さらに、三森はサッカー選手にインタビューを行うメディア側にも“コトバ力”が不足しているとし、「日本のインタビューを聞いていてすごく感じるのが“どうですか?”の多用なんですね」と問題提起。曖昧な質問には選手も答えづらいと指摘した。これには選手や監督としてこれまで数々のインタビューを受けてきた名波も「“次の試合どうですか?”って言われても、抽象的な質問はなかなか難しいですね」と同意。「“今日負けたことによって、次のメンバーはどうしますか?”とかって言ってくれたら、こっちも“そうですね、変えようと思ってます”とか、“このまま選手を信じていきます”とか、言いやすいんですけど」と具体例を挙げて説明した。

また、名波は「中田英寿が怒ってたのはこういうこと」と、インタビュアーの安直な質問を嫌っていた中田についても言及。記者側にもプロであることを求めた中田の姿勢を評価し、三森も「きちんと聞きたいことをメディアの側が整理・分類して、ちゃんと言葉にして聞くべき」と提言した。

“コトバ力”の向上が日本サッカー界の発展につながることを学んだ勝村は「こういう小さなアナウンスをすることによって、ちょっとだけでもいいからコミュニケーション能力が上がっていくことがとても大事」とコメント。そして三森は、学校教育の場ですべての人が“コトバ力”を向上させるためのトレーニングを受けられるのが理想だと締めくくった。

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